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ドバイ市が共同居住の建築指針を公表|44区域と1年の是正期限

ドバイ市が2026年10月7日に公表した共同居住の計画・建築要件指針について、許可の対象となる44区域以上、寝室1人あたり5平方メートル、個人向けと家族向けの区分、2026年9月8日から1年の是正期間を、発表の記載だけで整理します。

ドバイ市(Dubai Municipality)は2026年10月7日、共同居住(shared housing)の計画・建築要件と、許可を出せる区域をまとめた指針を公表しました。名称は Planning and Building Requirements Guide for Shared Housing and Permitted Areas で、Law No. 4 of 2026 を実施するために出されたものです。建物とVillaを共同居住に充てられるのは、必要な許可を取得したあとだと書かれています。

ドバイの住戸を買って貸している読者にとって、この発表で実際に動く論点は3つです。自分の建物がある区域が許可の対象に入っているか、その建物を個人向けと家族向けのどちらに割り当てるか、そして既存の建物をいつまでに基準へ合わせるか。発表は44区域以上を特定したと述べ、例として区域名を挙げています。残りは承認され次第公表するとされており、区域の全一覧はこの発表には載っていません。

以下では、発表に書かれていることと書かれていないことを分けて並べます。許可の手数料、住戸あたりの上限人数、立入検査の頻度は、いずれも今回の発表の対象になっていません。内容はドバイ政府メディアオフィスが公表した発表本文からの転記だけで、当サイトの推計や他社の資料から持ち込んだ数字は含みません。価格や賃料の金額は出てこないため、AEDの売買価格も円の目安もこの記事には出てきません。

許可を取ってからでないと、共同居住には充てられません

発表の起点は許可です。建物とVillaを共同居住に充てられるのは、必要な許可を取得したあとだと書かれています。区域が対象に入っていることは出発点にすぎず、それだけで部屋単位の貸し出しが認められるわけではありません。許可の手続きについては、Build in Dubai というドバイ市の電子窓口が案内されています。

許可は、他の役所の仕組みともつながっています。発表によると、電子的な連携の相手として Dubai Land Department(DLD、ドバイ土地局)、Dubai Civil Defence、Security Industry Regulatory Agency(SIRA)が挙げられています。DLDとの連携は賃貸契約に関するもの、Dubai Civil Defence は火災と警報の設備に関するもの、SIRA は監視カメラに関するものとして示されています。

ここが、所有者の手続きの順番を決めます。発表は許可の取得を前提にして連携を説明しており、許可より前の段階で共同居住としての賃貸契約を登録する経路は示されていません。賃貸契約そのものを登録する仕組みはEjariの登録に分けて書いています。なお、許可の手数料、処理にかかる日数、申請に必要な書類の一覧は、この発表には書かれていません。手続きの見積もりを立てる段階では、この3つが未確定のまま残ります。

ドバイ市の指針が示した順序。区域の確認、用途の区分の決定、Build in Dubaiでの許可取得、許可の情報を使った賃貸契約の登録の4段と、DLD・Dubai Civil Defence・SIRAとの連携
4つの段は発表に書かれた手順の順序で、各段にかかる日数や費用は示されていません。許可より前に賃貸契約の登録へ進む経路も示されていません。 出典:Dubai Media Office|Dubai Municipality Issues Planning and Building Requirements Guide(確認日 2026-10-09)

建物は、個人向けと家族向けのどちらか一方になります

発表は、既存の建物それぞれを共同居住の1つの区分に割り当てなければならないと書いています。区分は個人向けの宿泊(individual accommodation)と家族向けの宿泊(family accommodation)の2つで、1棟の中で両方を混ぜる形は示されていません。所有者の側から見ると、建物ごとにどちらで運営するかを先に決める話になります。

寝室の基準は、1人あたり5平方メートル以上です。家族向けの場合は、家族ごとに専用の浴室がついた個室を設けることが求められています。発表は、これを快適さとプライバシーのためと説明しています。この5平方メートルは寝室について示された値で、住戸全体の面積の下限や、1室に入れる人数の上限として示された数字ではありません。

共用の設備についても、備えるべきものが挙げられています。台所、衛生設備、食堂、娯楽のための場所、洗濯と乾燥の場所です。これらは宿泊の区分と入居者の人数に応じた規模とし、公衆衛生と安全の要件、そして Dubai Building Code に従うとされています。一方で、住戸あたりの上限人数、Villaに固有の基準、既存の建物を改修する場合の工事中の扱いは、この発表には書かれていません。

個人向けの共同居住と家族向けの共同居住を列に並べた比較表。寝室は1人あたり5平方メートル以上で共通、家族ごとの専用浴室つき個室は家族向けだけに必要、建物の割り当ては1棟につき1区分、対象は建物とVilla、住戸あたりの上限人数と許可の手数料は両方とも記載がありません
2つの区分で違うのは、家族ごとの個室と専用浴室の要否です。上限人数と手数料は、どちらの区分についても発表に書かれていません。 出典:Dubai Media Office|Dubai Municipality Issues Planning and Building Requirements Guide(確認日 2026-10-09)

公表された項目と、書かれていない項目

右の列が埋まっているものが、いま確かめられる事実です。

項目 今回の指針の発表の記載
公表日 2026年10月7日
公表した機関 ドバイ市(Dubai Municipality)
指針の名称 Planning and Building Requirements Guide for Shared Housing and Permitted Areas
根拠 Law No. 4 of 2026(共同居住の占有と管理の規律)
対象 建物とVilla。必要な許可を取得したうえで共同居住に充てられる
区域 44区域以上を特定。承認され次第さらに公表するとされている
用途の区分 個人向けと家族向けの2つ。既存の建物は1つの区分に割り当てる
寝室の基準 1人あたり5平方メートル以上
家族向けの要件 家族ごとに専用浴室つきの個室
共用の設備 台所、衛生設備、食堂、娯楽の場所、洗濯と乾燥の場所
基準の参照先 公衆衛生と安全の要件、および Dubai Building Code
許可の窓口 Build in Dubai
役所間の連携 DLD(賃貸契約)、Dubai Civil Defence(火災警報)、SIRA(監視カメラ)
既存の建物の是正 施行日の2026年9月8日から1年
区域の全一覧 記載がありません
許可の手数料と処理日数 記載がありません
住戸あたりの上限人数 記載がありません
立入検査の頻度 記載がありません
運営事業者の免許 記載がありません

表の下半分が、この発表の限界です。手数料が示されていないということは、許可を取るためにいくらかかるかが分からないということです。上限人数が示されていないということは、何人まで入れられるかを寝室の面積から自分で割り出すほかに手がかりがない、ということです。担当者から具体的な金額や人数を説明されたときは、その根拠がどの公表資料のどこに書かれているかを必ず確かめてください。

指針が実施しているのは2026年の共同居住法です

この指針は、Law No. 4 of 2026 を実施するために出されたものです。もとの法律については、発令を伝えたドバイ政府メディアオフィスの発表に枠組みが書かれています。許可の有効期間は1年で毎年更新でき、所有者の求めに応じて2年の許可を出す場合もあるとされています。登録簿については、DLDが電子的な共同居住の登録簿を管理し、ドバイ市のデジタル基盤と連結すると説明されています。法律そのものの条文の整理はドバイの共同居住法が施行にまとめています。

罰則も、法律の側に置かれています。発令の発表では、違反に対する罰金が1件あたりAED500からAED500,000の範囲とされ、1年以内に同じ違反を繰り返した場合は倍額で、上限は100万AED(発表の表記は AED1 million)と説明されています。あわせて、許可の取り消しやサービスの停止といった措置も挙げられています。今回の指針の発表には、罰金の額や措置の種類は書かれていません。金額を確かめるには、法律の側の発表と法文へ戻る必要があります。

今回の指針が足したのは、その法律を建物の側から満たすための要件です。どの区域で認められるのか、寝室と共用設備をどう整えるのか、どの窓口で許可を取るのか。法律が「許可が必要」と定めたことに対して、指針が「何をどこまで整えれば許可の対象になるのか」を示した関係になります。許可の条件と技術的な要件を市が定めるという法律の構えが、ここで具体化されたと読めます。

ドバイ政府メディアオフィスの共同居住法(Law No.4 of 2026)発令を伝える発表ページの表示
引用キャプチャこの節で引用した許可の有効期間、登録簿、罰金の範囲が書かれている、法律の発令を伝えるドバイ政府メディアオフィスの発表ページです。今回の指針そのものの発表ページではありません。 出典:Dubai Media Office|Mohammed bin Rashid issues Law regulating the management and occupancy of shared housing in Dubai(確認日 2026-10-09/キャプチャの取得日 2026-09-04/表示のファーストビュー)

施行日の書き方が資料によって違います

日付の扱いを先に断っておきます。法律の発令を伝えた発表は、施行について「官報に公布された日から180日後に効力を持つ」と書いていて、具体的な日付は示していません。一方で今回の指針の発表は、既存の建物に与えられた1年を、Law No. 4 of 2026 の施行日である2026年9月8日から数えると明記しています。

この2つを並べると、官報への公布は2026年3月12日だったことになります。読者が自分で確かめられるように内訳を書くと、3月の残り19日、4月30日、5月31日、6月30日、7月31日、8月31日、そして9月8日を足して180日です。当サイトの既存記事は、当初は法令ポータルに載っている日付から数えて2026年8月26日と書いていましたが、2026-10-09に2026年9月8日へ訂正しました。施行日を明記しているのは今回の指針の発表の側なので、当サイトは2本とも2026年9月8日を採っています。

数え方を取り違えると、是正の期限が2週間ほど動きます。今回の発表に沿って数えると、既存の建物の是正期限は2027年9月8日です。所有者の立場では、早い側の日付で段取りを組んでおくほうが安全です。管理会社から期限を示された場合は、どの発表のどの文言から数えた日付なのかを確かめてください。

区域名の綴りは、DLDの区画名と一致しません

発表で例として挙げられた区域名を、当サイトが持っているDLDの区画名の辞書と突き合わせると、綴りがそろいません。読者が「自分の物件がある区画が対象に入っているか」を調べるときに、文字列の一致だけで判断すると取り違えます。

発表の区域名 DLDの区画名(英語) 読みの目安
Al Souq Al Kabeer Al Suq Al Kabeer アル・スーク・アル・カビール
Al Ras Al Ras アル・ラス
Al Warqa 1 Al Warqa First アル・ワルカ 1
Al Barsha 1 Al Barsha First アル・バルシャ 1
Al Muraqqabat Al Murqabat アル・ムルカバット
Al Rigga 当サイトの辞書に該当がありません -

同じ場所を指している可能性は高いものの、綴りが近いことは同一の区画であることの証明にはなりません。ドバイ市の区域の区切りとDLDの区画の区切りは、そもそも同じ目的で引かれたものではありません。確かめ方は文字列の照合ではなく、権利証(title deed)と、取得した許可に書かれている区域の表記を並べることです。

カタカナを添えているのは日本語で読むための補助で、公式の名前は英語の綴りです。当サイトがカタカナと英語を併記しているのは区画名だけで、機関名とプラットフォーム名は英語のまま出しています。読者がドバイ市やDLDの窓口で照会するときの手がかりを落とさないためです。エリア単位で市場の数字を見たい場合はドバイの不動産データにまとめています。

是正の1年は、違反を見逃す期間ではありません

発表は、既存の建物に1年の是正期間を与えると書いたうえで、この期間が建築上の違反や無許可の用途変更を免除するものではないと明記しています。公衆の安全に危険を生じさせる状態についても同じで、期間の中であっても是正しなければならないとされています。

所有者の立場から読むと、2つの時計が別に動いていることになります。1つは、共同居住の基準に合わせるための1年の時計です。もう1つは、建築上の違反や安全上の危険について、期間に関係なく動いている時計です。1年あるから何もしなくてよい、という読み方はできません。管理会社から「猶予期間だから当面は現状のままで問題ない」と説明された場合は、その説明が指し示しているのが前者だけであることを確かめてください。

発表では、ドバイ市 Building Regulation and Permits Agency のCEOであるMaryam Al Muhairi氏の言葉として、共同居住を規律する目的は認識を高め、監督を強め、承認された枠組みへの適合を促すことだと紹介されています。目的として示されているのは適合の促進であり、取り締まりをどう強めるかの具体像は、この発表には書かれていません。

日本から貸している人が、いま確かめられること

まず、物件のある区域です。発表で名前が挙がったのは一部で、全一覧は公表されていません。手元の資料に書かれた区域名を、権利証の表記と、ドバイ市から出た許可の表記で照合してください。管理会社に照会する場合は、「対象区域に入っている」という回答ではなく、どの資料のどの表記で確認したかを残してもらうのが確実です。

次に、建物の区分です。個人向けと家族向けのどちらで運営されているのかは、入居者の構成と部屋の割り方で変わります。家族向けなら、家族ごとに専用浴室つきの個室が要ります。自分の住戸が共同居住として運営されているかどうかを把握していない場合は、賃貸契約の内容と実際の入居の形を突き合わせる必要があります。賃貸借の基本的な枠組みはドバイの賃貸借法で扱っています。

最後に、許可の有無と残り期間です。許可が取得済みなのか、申請中なのか、まだ着手していないのかで、1年の使い方が変わります。費用の見積もりについては、許可の手数料が公表されていないため、現時点では数字を置けません。見積もりを示された場合は、その額の出どころを資料で確かめてください。当サイトが使っている一次情報の範囲と限界は出典と数え方にまとめています。

値上がりも賃料も保証されません

共同居住の枠組みが整うことは、制度が前に進んでいることを示す出来事です。それは、価格が上がることや、賃料が取れることの根拠にはなりません。当社は、値上がり、賃料収入、利回りのいずれも保証しません。

この発表から利回りを計算することもできません。許可の費用も、改修にかかる金額も、上限人数も公表されていないため、収入の側も支出の側も数字がそろっていないからです。部屋単位の貸し出しを前提にした利回りの見通しを説明されたときは、その前提の金額と人数がどの公表資料に書かれているかを確かめてください。

この記事は、ドバイ政府メディアオフィスが公表した2つの発表と、DLDの賃貸契約登録に関する案内だけを材料にしています。区域の全一覧、許可の手数料、罰則の運用について続報が出た時点で、この記事を更新します。