フダイリヤット島/エリア

フダイリヤット島の不動産|開発計画と、いま買える住宅

アブダビのフダイリヤット島について、政府が発表したマスタープランと、開発会社がいま公表している住宅を分けて整理し、フリーホールドの記載を誰が書いているかを確かめる手順までをまとめます。

フダイリヤット島の不動産|開発計画と、いま買える住宅 - Reheat

フダイリヤット島(Al Hudayriyat Island)を日本語で検索すると、サーフィン施設やサイクリングコースの話題と、売り出し中の住宅の広告が同時に出てきます。開発会社の案内では、アブダビ本島のAl Bateen地区の対岸にあり、橋で結ばれていると説明されています。ただ、検索結果に並ぶ情報は、性質の違うものが混ざっています。政府が発表した長期の開発計画と、開発会社がいま売り出している住宅と、すでに稼働している施設は、それぞれ確かめ方が違うからです。

この記事では、その3つを分けて整理します。あわせて、日本語の紹介記事でよく見る「フリーホールドで外国人も購入可」という表現について、それを書いているのが政府なのか会社なのかを確かめる方法を示します。この島は、UAE政府のポータルが名前を挙げている区域の一覧に載っていない一方で、開発会社は投資区域として全国籍にフリーホールドで提供すると公表しています。この食い違いをそのままにして先へ進むと、契約の段階で前提が崩れます。

検索で混ざりやすい3つの情報を分ける

ひとつ目は、島全体の将来像です。これはアブダビ政府のメディアオフィスが発表しているもので、面積や海岸線の長さといった規模が数値で示されています。読むときの前提は、これが計画であって、完成した現況の記録ではないということです。

ふたつ目は、いま販売されている住宅です。こちらは開発会社が案件ごとに公表しています。戸数、間取りの構成、区画の広さ、支払いプランなど、購入の判断に直接効く情報はここにあります。ただし、公表される項目は案件によって差があり、価格や引渡し時期が示されていないものもあります。

みっつ目は、すでに島にある施設です。ビーチ、サイクリングルート、サーフィン施設などが該当します。ここで注意したいのは、発表の時点で示された開業時期と、実際の開業時期が一致するとは限らないことです。同じ施設について、時期の異なる発表が複数存在することもあります。

3つを混ぜて読むと、「計画に書かれた将来像」を「いま買える住宅に付いてくるもの」と受け取ってしまいます。順番として、計画は最後に読むほうが安全です。買うのは計画ではなく、契約書に書かれた1つの住戸か区画だからです。

島の姿は政府の発表で確認できる

アブダビ政府のメディアオフィスは、2023年6月13日に、開発会社Modon Propertiesがフダイリヤット島のマスタープランを公表したと発表しています。発表の見出しでは、計画の対象が 51 million square metres にわたり、これはアブダビ島の面積の 53.8% に相当すると説明されています。

同じ発表には、都市に加わる海岸線が 53.5 kilometres、そのうちビーチが 16 kilometres と書かれています。サイクリングルートの網は 220 kilometres、都市公園は首長国で最大とされ、2.25 million square metres と示されています。屋内のサイクリング施設については、地上から屋上のトラックへつながる 600 metres のスロープを備えるとされています。

計画対象の面積、アブダビ島との面積比、加わる海岸線、うちビーチ、サイクリングルート網、都市公園の6つの数値を並べたカード
アブダビ政府メディアオフィスの発表に書かれている値だけを並べています。いずれも計画として示された規模で、確認日時点の現況を測った数字ではありません。 出典:Abu Dhabi Government Media Office(確認日 2026-09-04)

規模の数字は、島の位置づけを理解するには役立ちます。一方で、住戸の価格にも、賃料にも、直接は結び付きません。発表には住宅の総戸数が書かれておらず、供給がいつ、どの程度出てくるのかも読み取れません。数字の大きさを投資判断の根拠に置き換えないでください。

アブダビ政府メディアオフィスのフダイリヤット島マスタープラン発表ページの表示
引用キャプチャ計画の対象面積とアブダビ島との比を見出しに掲げた、アブダビ政府メディアオフィスの発表ページです。 出典:Abu Dhabi Government Media Office|Modon Properties reveals Hudayriyat Island masterplan(確認日 2026-09-04/表示のファーストビュー)

「投資区域」と書いているのは誰か

UAE政府のポータルは、アブダビで外国人が不動産を所有できる区域として9か所を名前で挙げています。Yas Island、Saadiyat、Reem、Mariya、Lulu、Al Raha Beach、Sayh Al Sedairah、Al Reef、Masdar Cityです。確認日時点のこの一覧に、Hudayriyatという名前はありません。ページの更新日は2024年12月30日と表示されています。

同じページは、外国人が取得できる権利を、所有が99年、musatahaが50年で更新でき、usufructが99年、長期リースは最初の期間が25年以上と説明しています。根拠はLaw No. 19 of 2005で、2019年4月の改正により、投資区域にある不動産について非UAE国民が原始的な権利と物的権利を取得できるようになったとされています。

一方、開発会社Modonの不動産ページは、同社の住宅プロジェクトのうち主要な投資区域にあるもの、その例としてHudayriyat IslandとAl Reem Islandを挙げ、フリーホールドで提供され、全国籍による完全な所有が可能だと記載しています。区画の販売についても、Wadeemの発表で全国籍に開かれていると書かれています。

政府ポータルの記載と開発会社の記載を左右に並べ、区域の一覧、権利の区分と期間、フリーホールドの記載、公表されていない項目を対比した図
左は政府の公表、右は会社の公表です。どちらも一次情報ですが、層が違います。左には島の名前がなく、右には登記の窓口の記載が見当たらない、という状態を図にしています。 出典:UAE GovernmentModon|Real Estate(確認日 2026-09-04)

ここで書けるのは、それぞれの出典がそう書いているという事実までです。政府ポータルの一覧に名前がないことは、そのまま「買えない」という意味にはなりません。区域の指定は首長国の決定によるもので、一覧の記載も更新されます。逆に、会社の公表があるからといって、読者の取得する権利がどの登記簿にどう載るかまでが確かめられたことにもなりません。

だから、この島については両方を突き合わせるという読み方になります。日本語の紹介記事が「公式にフリーホールド」と書いているとき、その根拠が政府の公表なのか、会社の公表なのかを見てください。当サイトは、政府機関そのものの公表と、会社の公表を書き分けます。アブダビ全体でどの区域が並ぶのかはアブダビのエリア比較にまとめています。フリーホールドという語の意味そのものはドバイのフリーホールドとはで扱っています。

いま公表されている住宅は、売り出し中の開発が中心

開発会社の不動産ページには、この島の住宅としてAl Naseem、Bashayer、Hudayriyat Golf Estates、Nawayef Park Views、Nawayef Village、Nawayef Eastが並んでいます。このうち、発表として内容を確認できたものを次の表にまとめました。価格や引渡し時期は、公表されている案件と、そうでない案件があります。

案件 公表されている内容 発表
Wadeem 1,700を超える区画。4・5・6ベッドルームのヴィラを建てられる広さと説明。販売は全国籍に開かれていると記載 2025年7月1日
Nawayef Village 378戸。3・4ベッドルームのタウンハウスと、5ベッドルームのツインヴィラ。フリーホールドの案件と記載 2025年5月6日
East Hill at Nawayef 広さは 370 から 3,800 square metres。価格は 6.6 million AED から。支払いプランは40/60。全国籍へ販売と記載 2024年11月7日

Wadeemは区画の販売です。土地を買って自分で家を建てる形なので、完成した住宅を買う場合とは検討の中身が変わります。設計、施工会社の選定、工期、費用の管理を自分で引き受けることになります。発表には区画の総数と用途の説明はありますが、1区画あたりの価格は書かれていません。

Nawayef Villageはタウンハウスとツインヴィラの案件で、戸数と間取りの構成が公表されています。一方で、価格、区画や建物の広さ、引渡し時期は発表に含まれていません。「価格未定」ではなく「発表に記載がない」というのが正確な状態です。数字を埋めたい気持ちで他社の記事から拾ってくると、そこで裏の取れていない値が混ざります。

East Hill at Nawayefは、この3件のなかで最も情報が多い案件です。広さの幅、下限の価格、支払いプランの分け方が公表されています。ただし、下限の価格は最も条件の軽い住戸のものであり、そこから何が上乗せされるかは公表されていません。支払いプランの分け方も、各回の期日までは示されていません。

3件に共通するのは、公表されている項目が案件ごとに違うことです。比較表を作るときは、空欄を推測で埋めないでください。空欄は「まだ確かめられていない」という情報そのものであり、質問して埋めるべき項目の一覧になります。すでに完成した住宅を買う場合と、これから建つ住宅を買う場合では、確認する順序も変わります。

施設の「予定」と「実際」はずれることがある

島のレジャー施設は、この地域の記事でよく引き合いに出されます。ここでも、発表の時点と示された時期を分けて読む必要があります。同じサーフィン施設について、政府の発表が2回あり、示された時期が違っているためです。

発表 その発表で示された開業時期
2023年6月13日のマスタープラン発表 サーフィン施設は2023年末、屋内サイクリング施設は2025年
2023年11月9日の試験稼働の発表 サーフィン施設は2024年初頭

この2つは矛盾ではなく、時点の違いです。計画の発表から数か月のあいだに、開業の見込みが更新されたということです。読者にとって大事なのは、発表に書かれた時期は発表時点の見込みであるという一点です。住宅を買う判断を、施設の開業予定に賭けないでください。

同じ考え方は住宅の引渡し時期にも当てはまります。建設中の住宅では、契約書に書かれた引渡しの条件と、遅延したときの扱いが、広告のうたい文句より重要になります。施設が予定どおり開くかどうかは、購入者が管理できることではありません。管理できるのは、契約に何が書かれているかを確かめることだけです。

申込みの前に確かめる4つ

確認には順序があります。前の段が確かめられないうちは、次へ進まないでください。とくに送金は最後です。

フリーホールドの記載の出所、取得する権利の区分、登記簿と名義、支払先と支払時期という4つの問いと、それぞれを確かめる先を左右に対応させた図
左の問いに対して、右がその答えを確かめる先です。1から4は順序で、4つが書面で確かめられるまで送金しない、という並びにしています。 出典:UAE GovernmentModon|Real Estate(確認日 2026-09-04)

1つ目は、フリーホールドという記載の出所です。日本語の紹介記事しか根拠がないなら、開発会社の英語の公表ページに当たり、最終的には契約書の条項で確かめます。会社の公表と契約書の記載が食い違う場合は、契約書が優先します。

2つ目は、取得する権利の区分です。政府ポータルが挙げている区分は、所有、musataha、usufruct、長期リースの4つで、期間も対象も違います。同じ価格帯の2件でも、取得する権利が違えば同じ商品ではありません。口頭の説明ではなく、書面の表示で確かめてください。

3つ目は、どの登記簿に、誰の名義で載るのかです。アブダビでは、島によって手続きの相手が違うことがあります。たとえばアル・リーム島は、登記と取引がADGMの枠組みで扱われます。詳しくはアル・リーム島の不動産にまとめました。フダイリヤット島の登記の窓口については、確認日時点で、会社の公表ページから読み取れませんでした。だからこそ、契約の相手に名前で確認する項目になります。

4つ目は、支払先と支払時期です。建設中の住宅や区画では、工程と支払いの対応が書面にあるかどうかを見ます。支払予定表を受け取り、誰に、いつ、いくら払うのかを確かめてから送金してください。書面が揃わないうちに送金を求められる場合は、そこで止めるのが正しい判断です。

この記事で確認できなかったこと

住宅の価格の全体像は書けませんでした。公表されているのは一部の案件の下限だけで、島全体の価格帯を示す一次情報を確認できなかったためです。他社の記事に出ている相場をそのまま引き写すことはしません。

引渡し時期も、案件によっては発表に記載がありません。記載がない状態を「近日中」や「まもなく」と補うことはしません。会社に問い合わせて、書面で受け取ってください。

登記と登録の窓口、手数料の率、オフプランの資金保全の仕組みについても、この島に適用されるものを確認日時点で特定できませんでした。アブダビの制度全般については当サイトの他のページで扱いますが、この記事では確認できた範囲を超えて書きません。

島単位の売買件数や賃料の水準も、この記事には載せていません。当サイトのアブダビのデータはアブダビのデータにまとめています。数値は更新されるため、本文へ書き写すと更新のたびに食い違いが生まれます。制度と確認手順はこの記事で、数字はデータ側で、と分けています。

値上がりも賃料も保証されません

大きな計画が発表されていることと、買った住宅の価格が上がることは別です。当社は、値上がり、賃料収入、利回りのいずれも保証しません。供給の増減、建物の状態、管理費、空室、賃貸の条件、為替、売却時に買い手が付くかどうかは、計画の規模とは無関係に結果を左右します。

開発が進む地域では、「早く決めないと買えなくなる」という説明が付きやすくなります。その説明が正しいかどうかは、この記事の範囲では確かめられません。確かめられるのは、契約書に書かれた権利と、支払いの条件と、登記の行き先です。急がされたときほど、その3つに戻ってください。

まとめ

フダイリヤット島については、政府が発表した計画、開発会社が公表している住宅、すでにある施設の3つを分けて読むと、情報の整理が付きます。計画の規模は政府の発表で確認でき、住宅の内容は案件ごとの公表で確認できますが、公表される項目には差があります。

外国人の取得については、政府ポータルの区域一覧に島の名前がない一方、開発会社は全国籍へのフリーホールドでの提供を公表している、という状態です。どちらか一方だけを根拠にせず、契約書と登記で確かめてください。確認の順序は、フリーホールドの記載の出所、権利の区分、登記簿と名義、支払先と支払時期です。この4つが書面で揃うまで、送金しないでください。