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アル・リーム島の不動産|権利の区分とADGM登記の仕組み

アブダビのアル・リーム島で外国人が不動産を持てる根拠と、2023年にADGMの管轄へ入って登記の窓口が変わった経緯、購入前に確認する手順を、UAE政府とADGMの公表資料から整理します。

アル・リーム島の不動産|権利の区分とADGM登記の仕組み - Reheat

アル・リーム島(Al Reem Island)は、アブダビで外国人が不動産の権利を取得できる投資区域のひとつです。ただし、アブダビの他の投資区域と同じつもりで手続きを考えると、行き先を間違えます。この島は2023年にアブダビ・グローバル・マーケット(ADGM)の管轄へ編入され、不動産の登記と取引が、ADGMの登録局(Registration Authority)とその電子プラットフォームであるAccessRPで扱われているためです。この記事では、外国人が取得できる権利の区分、登記がどこで行われるのか、申込みの前に何を確かめればよいのかを、UAE政府とADGMが公表している範囲だけで整理します。価格や家賃の水準は本文に転記せず、出典と時点をそろえたアル・リーム島のデータに分けています。

2005年のアブダビ不動産法から2019年4月の改正、2023年4月24日のADGM編入を経て、現在はADGM登録局が登記を扱うまでを並べた年表
所有の根拠となる法と、いま登記を扱う機関は別々に変わってきました。右端が、確認日時点でアル・リーム島の物件に当てはまる窓口です。 出典:UAE GovernmentADGM Al Reem Island Expansion(確認日 2026-09-03)

アル・リーム島はアブダビの投資区域のひとつ

UAE政府のポータルは、アブダビの不動産所有についてLaw No. 19 of 2005(不動産分野の規律に関する法律)を挙げ、外国人が権利を取得できる区域として次を列挙しています。Yas Island、Saadiyat、Reem、Mariya、Lulu、Al Raha Beach、Sayh Al Sedairah、Al Reef、Masdar Cityです。この一覧にReemが含まれていることが、アル・リーム島で外国人が権利を持てる根拠になります。

カタカナの「アル・リーム島」は読み方の目安であって、公式の表記ではありません。契約書、登記の記録、銀行の書類はいずれもAl Reem Islandという英語表記で進みます。日本語の資料しか手元にない状態で話を進めると、同じ島を指しているのか、別の開発地区を指しているのかを自分で確かめられません。原語の表記を必ず控えておいてください。

もうひとつ、区域の名前だけで判断しないでください。投資区域に含まれることと、いま見ている物件がその区域の中にあることは別の話です。大きな島には複数の開発区画とプロジェクトが並び、区画ごとに事情が異なる可能性があります。確認する単位は島ではなく、契約の対象になっている区画と住戸です。

外国人が取得できる権利は1種類ではない

日本語の広告では、どの区分もまとめて「所有」と書かれがちです。UAE政府の説明は、外国人が取得できるものを次のように分けています。契約書に書かれているのがどれなのかを先に確かめると、あとで話がかみ合わなくなるのを防げます。

区分 期間の説明 対象
Ownership(所有) 住戸について99年 住宅ユニット。土地は含まないと説明されています
Musataha 50年。合意により更新できると説明されています 建築や改変を行う権利
Usufruct(用益) 99年 使用と収益に関する権利
長期リース 最初の期間が25年以上 賃借の枠組み

そのうえでUAE政府は、2019年4月に不動産法の改正があり、投資区域に所在する不動産について、非UAE国民が原始的な権利と物的権利のすべてを取得できるようになったと説明しています。つまり、いま提示されている物件がどの区分に当たるのかは、時期によっても、区画によっても変わり得ます。広告の日本語ではなく、契約書と登記の記録で確かめてください。

期間の数字だけを見比べて有利不利を決めるのも避けてください。期間、対象、更新の可否、譲渡や相続の扱い、担保に入れられるかどうかは、区分ごとに違います。同じ価格帯の2件でも、取得する権利が違えば同じ商品ではありません。ドバイの権利区分と対応させて理解したい場合は、ドバイのフリーホールドとは?外国人所有の仕組みもあわせて読んでください。

アル・リーム島は2023年にADGMの管轄へ入った

ADGMは公式サイトで、2023年4月24日がアブダビとADGMにとって大きな節目であり、国際金融地区の範囲をAl Maryah IslandとAl Reem Islandの両方へ広げたと説明しています。ADGM自身は、英国のコモンローを直接適用する独立した法域として運営されているとも述べています。

ここがこの島の特殊な点です。同じアブダビの中にありながら、アル・リーム島に所在する不動産は、他の投資区域とは異なる法域の規則のもとに置かれています。所在地が「アブダビ」であることは変わりませんが、適用される枠組みと、手続きの相手先が変わります。

読者にとって実務上の意味は単純です。アブダビの不動産について一般的に説明された記事や、数年前に書かれた案内が、この島にはそのまま当てはまらない可能性がある、ということです。制度の変更があった区域では、情報の新しさそのものが確認事項になります。

ADGM公式サイトのAl Reem Island Expansionページの表示
引用キャプチャ国際金融地区の範囲にAl Reem Islandを含めたことを説明するADGMの公式ページです。 出典:ADGM|Al Reem Island Expansion(確認日 2026-09-03/表示のファーストビュー)

登記と手続きの窓口はADGMの登録局

ADGMの登録局は、ADGMの管轄区域、すなわちAl Maryah IslandとAl Reem Islandに所在するあらゆる種類の不動産上の権利について、登録の申請を受け付け、その登録を所管すると説明しています。登録の根拠になるのはADGMのReal Property Regulationsです。

手続きはAccessRPという電子プラットフォームで行います。ADGMが挙げている取り扱いは、リース契約の登録・更新・変更、権利の移転(売買)、抵当の登録、住戸のTitle Deed証明書の発行、物件管理契約の登録と更新、オフプランの区画・住戸の売買登録、委任状の登録です。AccessRPが記録を保持するのは、ADGMの管轄区域にある物件、すなわちAl Maryah IslandとAl Reem Islandの物件だけだとも明記されています。

利用の入口についても説明があります。有効なEmirates ID、または有効な入国査証とUnified IDを持つUAEの居住者には自動的にアカウントが用意され、UAE Passでログインできるとされています。リース契約については、登録した日から7日以内であれば変更できるとされています。

ADGMは、不動産と分譲前開発(オフプラン)に関する規則を整えたうえで、この統一プラットフォームを公開したと発表しています。発表では、短期の住宅賃貸に関する規定、オフプラン販売とエスクローに関する規定、そして仲介人・鑑定人・物件管理者といった不動産の専門職を登録する枠組みが、あわせて示されたと説明されています。仲介を依頼する相手が登録されているかを確かめられる仕組みがある、という点は覚えておいてください。

対象の特定から権利の区分、ADGM登録局の登記簿、AccessRPという窓口へ矢印でつなぎ、AccessRPで扱う手続きを一覧にした図
物件を特定し、取得する権利を決め、ADGMの登記簿へ登録し、AccessRPで手続きする、という順に並べています。下の一覧は、ADGMがAccessRPの取り扱いとして挙げている手続きです。 出典:ADGM Registration AuthorityAccessRP(確認日 2026-09-03)

ドバイで覚えた手順をそのまま当てはめない

ドバイの物件を先に調べた人ほど、登記はDubai Land Department、賃貸契約の登録はEjari、という対応関係で考えます。アル・リーム島ではその対応が当てはまりません。売買の登記も、賃貸契約の登録も、ADGMの枠組みとAccessRPで扱われるからです。

仲介会社や売主から「アブダビの手続きです」と説明されたときは、どこの登記簿に載るのかを具体的に聞いてください。首長国の名前ではなく、登録を所管する機関の名前と、受け取る証明の名前で確認します。同じアブダビの物件でも、区域が違えば手続きの相手が違う可能性がある、というのがこの島から学べることです。

日本から検討している場合は、この確認を現地訪問より前に済ませてください。渡航して物件を見てから制度の前提が違うと分かると、日程も費用も無駄になります。書面と公表ページで確かめられることは、書面と公表ページで先に確かめます。

申込みの前に確認する手順

順序があります。前の番号が確かめられないうちは、次へ進まないでください。とくに、送金は最後です。

区画と住戸の特定、権利の区分、登記先、売主と負担、既存リース、費用の内訳という6つの確認手順を番号付きで並べた図
番号は確認の順序です。手数料の率はADGMの公表ページで確認できなかったため、図でも金額を書かず「書面で受け取る」までにとどめています。 出典:UAE GovernmentADGM Registration Authority(確認日 2026-09-03)

区画と住戸の特定は、物件の広告ではなく契約書の物件表示で行います。取得する権利の区分は、所有、musataha、usufruct、リースのどれなのかを、口頭ではなく書面で確かめます。登記先については、ADGMの登記簿へ登録されるのか、登録が終わったときに何を受け取るのかを、手続きに入る前に聞いておきます。

売主側の確認では、名義、持分、抵当、利用上の制限を、登記の記録と照合します。賃貸中の住戸を買う場合は、既存のリース契約が登録されているか、更新と退去がどう扱われるかを確かめます。空室で引き渡される前提を勝手に置かないでください。最後に、手数料と費用の内訳、支払先、支払う時期を書面で受け取ってから送金します。名義と権利の区分を照合する考え方はドバイ不動産の所有権と共通しますが、登記を扱う機関が違う点に注意してください。

この記事で確認できなかったこと

手数料の率は書けませんでした。不動産の登録や権利の移転にかかる手数料の率を、ADGMの公表ページで確認日時点に確かめられなかったためです。他の解説記事で見かける率をそのまま書き写すことはしません。実際の金額は、AccessRPの案内と、取引の相手方から受け取る書面で確かめてください。

価格と家賃の水準も、この記事の本文には載せていません。当サイトはアブダビ不動産センター(ADREC)が公開しているデータをもとに、アル・リーム島のデータへ売買件数、平均価格、平均年間賃料、指数の推移をまとめています。数値は更新されるため、本文へ書き写すと更新のたびに食い違いが生まれます。数字はデータ側で、制度はこの記事で、と分けています。

登記簿がADGMへ移った具体的な時期についても、この記事では日付を書きません。ADGMの公表ページから読み取れるのは、確認日時点で登録局が管轄区域の不動産上の権利を所管しているという事実までで、移管の日付までは確認できなかったためです。過去にさかのぼって手続きを検証する必要がある場合は、登録局に直接確かめてください。

値上がりや利回りは保証されません

制度の枠組みが整っていることと、買った物件の価格が上がることは別です。当社は、値上がり、賃料収入、利回りのいずれも保証しません。供給の増減、物件そのものの状態、管理費、空室、賃貸の条件、為替、売却時に買い手が付くかどうかは、登記の仕組みとは無関係に結果を左右します。

法域が変わったことを「安心の根拠」として一語で語るのも避けてください。読者にとって意味があるのは、自分が取得する権利がどの登記簿に、どの名義で、どんな負担付きで載るのかを確かめられることです。確かめられた事実と、確かめられていない見込みは、同じ紙の上でも分けて扱ってください。

まとめ

アル・リーム島は、外国人が不動産の権利を取得できるアブダビの投資区域のひとつです。同時に、2023年にADGMの管轄へ入った結果、登記と手続きの窓口がADGMの登録局とAccessRPに置かれている点で、他の区域と異なります。

確認の順序は、区画と住戸の特定、権利の区分、登記先と受け取る証明、売主と負担、既存のリース、費用の内訳です。手数料の率や価格の水準は、この記事では書かず、それぞれ登録局の案内と当サイトのデータページに委ねています。制度の前提を書面で確かめてから、収支と出口の検討へ進んでください。