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ドバイ土地局が挙げた4つの仕組み|日本から使えるのはどれか

ドバイ土地局が2026年10月14日のRISE 2026で挙げた4つの仕組みを、Dubai REST、Malik、初回購入者の制度、開発会社向けの初期登録に分け、日本に住む個人が自分で使えるものと使えないものを土地局の公表資料だけで仕分けます。

ドバイ土地局(Dubai Land Department、DLD)は2026年10月14日、ドバイ・ワールド・トレード・センターで開かれたRISE 2026に政府側の戦略パートナーとして参加し、ドバイ不動産市場の競争力と投資先としての魅力を示したと公表しました。発表には、会場に300を超える機関投資家、政府系ファンドの関係者、政府の責任者、意思決定者が集まったと書かれています。開会の挨拶を行ったのは土地局長のOmar Hamad BuShehab、「From Vision to Value」という題の討論に出たのは法人支援部門CEOのMajid Saqr Al Marriです。

この発表に、新しい市場の数字は出ていません。本文に挙がっている実績は、完成した不動産プロジェクト104件、その価値がAED 111 billion超、前年同期比52パーセント増という3点で、いずれも2026年上期(1月から6月)の集計です。10月の実績でも、第3四半期の取引額でもありません。

いっぽうで、この発表には買う側に関係する部分があります。土地局が投資家に向けて自ら挙げた仕組みが4つ列挙されていることです。First Time Home Buyer programme、Initial Registration、Dubai RESTアプリ、そしてMalikという自動応答の4つです。この記事では、その4つを土地局自身の公表資料に当たり直し、日本に住む個人が自分で使えるものと使えないものに仕分けます。金額はAEDの表記のまま置き、円への換算は行いません。数値はすべて土地局の発表とサービス案内からの転記で、当サイトが推計した値はありません。

発表の数字は、上期の実績の再掲です

3つの数字は、対象期間を取り違えると市場の見立てが狂います。104件とAED 111 billion超は、上期に完成したプロジェクトの件数と価値です。その期間に売れた金額でも、いまの販売在庫でもありません。完成の定義、エリア別の内訳、住戸数の内訳は、この発表には書かれていません。上期の完成の実績そのものはドバイの完成プロジェクトに分けて記録しています。

前年同期比52パーセント増という伸びも、価値どうしの比較です。件数が何パーセント増えたかは書かれていないため、1件あたりの規模が大きくなったのか、件数そのものが増えたのかは、この発表だけでは分けられません。伸び率を住戸の供給の伸びと読み替えることもできません。

300超という数は、会場に集まった相手の規模です。投資の実行額ではありません。どの国から何人が来たのか、そこで何件の商談が成立したのかの記載もありません。催しの規模を、資金の流入量として読み替えないでください。

2026年10月14日のドバイ土地局の発表に出てきた3つの数字を、対象期間つきで並べた図。完成したプロジェクト104件と、その価値AED 111 billion超はいずれも2026年上期の実績で、前年同期比52パーセント増と記載。会場に集まった相手は300超で、この日の催しの規模であり国別の内訳はない
3枚のカードはどれも発表に書かれている数字ですが、左と中央は上期の集計、右はこの日の催しの規模です。同じ発表に並んでいても、足し合わせたり時点をそろえたりはできません。 出典:Dubai Land Department|RISE 2026での発表(確認日 2026-10-16)

発表に書かれていることと、書かれていないことを分けると次のようになります。

項目 発表の記載
開催日と会場 2026年10月14日、ドバイ・ワールド・トレード・センター
土地局の立場 政府側の戦略パートナーとして参加
集まった相手の規模 300超(機関投資家、政府系ファンド、政府の責任者など)
完成したプロジェクト 104件、価値はAED 111 billion超、前年同期比52パーセント増(上期)
土地局が挙げた仕組み First Time Home Buyer programme、Initial Registration、Dubai REST、Malik
第3四半期の取引額 記載がありません
投資家の国別の内訳 記載がありません
新しい制度・期限・手数料 記載がありません
4つの仕組みの利用者数 記載がありません

表の下半分が空に見えますが、これは発表の性質がそうだからです。RISE 2026への参加を伝える内容で、制度の変更を告げるものではありません。記載がない項目を、他社の集計や推計で埋めないでください。埋めた瞬間に、どこまでが土地局の公表値なのかが読者に分からなくなります。

4つの仕組みは、使える相手が違います

土地局が並べた4つは、同じ「サービス」という言葉でまとめられていますが、想定されている相手がそれぞれ違います。開発会社しか起票できないもの、所有者や借主を前提にしたもの、UAEの居住者に限られるものが混ざっています。発表自体はその区別を書いていないため、4つそれぞれの案内と発表に当たって確かめました。

ドバイ土地局が挙げた4つの仕組みを、日本に住む個人、UAEの所有者や借主、開発会社の3者で仕分けた表。Dubai RESTは入手はできるがログインの要件が案内にない、Malikは誰でも質問できるがよくある問い合わせへの回答まで、First Time Home Buyer ProgrammeはUAEの居住者であることが条件のため日本に住む個人は使えない、Initial Registrationは開発会社のための基盤
左端が仕組みの名前、右の3列が使う側の立場です。記号の割り当ては編集部が行ったもので、土地局が公表している区分ではありません。各欄の文言は、その仕組みの案内または発表に書かれている内容です。 出典:Dubai Land Department|Dubai RESTほか土地局の各案内・発表(確認日 2026-10-16)

4つのうち、日本に住んだまま触れられるのはDubai RESTとMalikの2つです。残る2つは、UAEに住んでいること、または開発会社であることを前提にしています。この区別を先に押さえておくと、営業の説明で制度名が出てきたときに「それは誰向けの仕組みか」を切り分けられます。

Dubai RESTは、案内の対象に投資家も挙がっています

Dubai RESTは、土地局が「不動産サービスのためのスマート不動産プラットフォーム」と説明しているアプリです。案内は対象として、所有者、借主、仲介業者、開発会社、不動産評価人、投資家、そして不動産市場の関係者すべてを挙げています。配信はAndroidとAppleのストアで、対応する言語はアラビア語と英語です。日本語の記載はありません。

案内に並んでいる機能のうち、まだ物件を持っていない人にも意味があるのは指数です。ドバイの賃料指数と売買指数が参照できると書かれており、仲介業者とその実績の水準についても見られるとあります。検討しているエリアの数字を、第三者のまとめではなく土地局側の画面で確かめられることは、このサイトが重視している「読者が同じ数字を再現できること」に直結します。仲介の相手を選ぶときの照会の考え方はRERAとはに整理しています。

ただし、ログインに何が必要かは、この案内に書かれていません。Emirates IDやUAE PASSが要るのか、日本の居住者がどの画面まで入れるのかは、記載からは確定できません。確認できなかった項目として、そのまま残します。手数料の一覧も、このページには載っていません。電子決済についてはNoqodiを通すと書かれていますが、手続きごとの金額は示されていません。

案内に挙げられている機能 書かれている中身
不動産ウォレット 所有する物件の現在の価格、賃料収入、サービスチャージを表示
オフプランの進捗 完成率、プロジェクトの実際の写真、エスクロー口座の番号
賃貸契約 登録、更新、解約
賃貸の紛争 申立てと、その後の追跡
証明の発行 地図の発行、To Whom It May Concern レターの請求
評価 物件の評価証明書
指数 ドバイの賃料指数と売買指数
仲介業者 業者の情報と実績の水準
決済 Noqodiによる電子決済

この一覧を見ると、中心はすでに物件や契約を持っている人のための画面です。所有者でなければ、中身の入っていないウォレットを見ることになります。検討の段階で使えるのは指数と仲介業者の情報までだと考えておくのが、案内の記載に忠実な読み方です。

Malikは「よくある問い合わせ」までです

Malikは、土地局が公表している自動応答です。2025年10月15日の発表では、電話の窓口、メール、チャット、ソーシャルメディア、アプリ、公式サイトという経路を1つの体験にまとめる取り組みの一部として説明されています。WhatsApp、ウェブサイト、アプリから、テキストでも音声でも24時間応答すると書かれています。

できることの範囲も、同じ発表に書かれています。第1段階はよくある問い合わせへの回答で、支払い、登録、データの更新を含む主要な手続きそのものを扱えるようにするのは、これからの拡張として挙げられています。つまり、いま自分の取引を進めるための窓口ではありません。対応する言語の一覧も、この発表には書かれていません。日本語で質問できるかどうかは確認できていません。

初回購入者の制度と初期登録は、読者の立場では使えません

First Time Home Buyer programmeは、土地局のサービス案内に4つの参加条件が並んでいます。そのうち1つ目がUAEの居住者であることで、国籍は問わないと書かれています。日本に住んだまま投資として買う場合は、この条件で外れます。残りの条件(ドバイにフリーホールドの住宅用不動産を所有していない、18歳以上、対象はAED 5 million未満の物件)を満たしていても同じです。制度の中身と特典の並びはドバイの初回購入者向け制度に分けて書いています。

ドバイ土地局のFirst Time Home Buyer Programme案内ページの表示。参加条件が並んでいる
引用キャプチャこの記事が「日本に住んだままでは使えない」と判断した根拠にあたるページです。4つの参加条件の1つ目に居住の要件が置かれており、国籍は問わないと書かれています。利用者数、優遇価格の幅、特典の有効期間は、このページには書かれていません。 出典:Dubai Land Department|First Time Home Buyer Overview(当サイトが取得した確認日 2026-09-10/表示のファーストビュー)

Initial Registrationは、2026年9月3日の発表で開発会社のための基盤だと説明されています。プロジェクトの登録、取引の登録、エスクロー口座の管理を1つにまとめるもので、個人の買主が操作する画面ではありません。買主の立場でできるのは、自分の住戸の登録結果や入金の記録を照会することで、それはこの基盤とは別の手続きです。この発表の中身はDLDの初期登録の基盤にまとめました。

2つとも「使えない」で終わる話ですが、知っておく意味はあります。事業者の説明で制度名が出てきたとき、それが自分に適用されるものかどうかを、その場で切り分けられるからです。居住者向けの特典を、日本から買う場合の条件として聞かされることを避けられます。

この発表を、自分の検討にどう使うか

結論から言えば、2026年10月14日の発表そのものに、買う側がすぐ動ける材料はありません。新しい制度も、新しい期限も、新しい市場の数字も出ていないためです。価格の見通しも示されていません。当社は値上がり、賃料収入、利回りのいずれについても保証しません。

使えるのは、確認の入口の整理としてです。4つのうち日本から触れられるのはDubai RESTとMalikで、前者は賃料指数・売買指数と仲介業者の情報、後者はよくある問い合わせの窓口にあたります。残り2つは、居住か事業者の立場を前提にしています。土地局が投資家向けの催しで名前を挙げた仕組みであっても、そのすべてが海外の個人に開かれているわけではありません。

制度の変更は不動産政策・規制に、登記されたデータはドバイの不動産データに分けて記録しています。4つの仕組みについて利用者数や新しい条件、対応する言語が公表された場合には、この記事を更新します。この記事はドバイ土地局の発表とサービス案内の記載だけを材料にしており、他社の集計や当サイトの推計は使っていません。