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ドバイの完成は上期104件・24,537戸|DLDが示した供給の実績

ドバイ土地局が2026年9月7日に示した上期の市場指標から、完成した不動産プロジェクト104件、投資額AED111 billion超、新規住戸24,537戸の意味を整理します。取引額との違いと、発表に無い項目も分けて示します。

ドバイの完成は上期104件・24,537戸|DLDが示した供給の実績 - Reheat

ドバイでいま、住戸がどれだけ実際に出来上がっているのか。ドバイ土地局(Dubai Land Department、以下DLD)は2026年9月7日、ドバイ・ワールド・トレード・センターで開幕した International Property Show(IPS 2026)の場で、2026年上期の市場指標として3つの数字を挙げました。完成した不動産プロジェクトが104件、その投資額がAED 111 billionを超え、市場に加わった住戸が24,537戸です。前年の同じ期間と比べると、完成した件数は38.7%、投資額は52%、住戸数は36%を超えて増えたと書かれています。

数字そのものより先に押さえておきたいのは、これが「これから完成する予定」ではなく「上期のあいだに完成した実績」だという点です。オフプランで契約した住戸がいつ引き渡されるかを気にしている読者にとって、予定と実績はまったく別の情報です。予定は変わりますが、実績は変わりません。

この記事では、発表に出ている数字を、数えている対象ごとに分けて並べます。取引額との違い、同じ発表に含まれていた別の数字、そして発表に書かれていない項目も、埋めずにそのまま示します。

数字は、IPS 2026の初日に示されました

発表はIPS 2026の初日にあたる2026年9月7日付です。IPSはドバイ・ワールド・トレード・センターで9日まで開かれる不動産の展示会で、DLDは戦略パートナーとして参加し、会期の3日間を通じて Hall 7 の自社ブースで各種のサービスを見せていると書かれています。上期の3つの数字は、その場でDLDの Majid Saqr Al Marri 氏が市場指標として挙げたものです。

ブースで見せている中身も発表に列挙されています。住宅の取得を後押しする First-Time Home Buyer Programme、不動産のサービスと情報をまとめた Dubai REST のアプリ、取引と市場のデータの展示、問い合わせに応じる Malik、仲介業者向けの窓口、そして不動産の技術を扱う REES と、国内企業をつなぐ Jusoor の取り組みです。データの展示が、住宅の取得や仲介と同じ列に並んでいます

展示会そのものは、日本の読者が直接関わる催しではありません。ただし、数字が出てきた場面は押さえておく価値があります。四半期報告や年次のレポートとして公表されたものではなく、展示会の初日に示された指標なので、内訳の表が同時に公開されているわけではありません。エリア別や物件種別への分解は、この発表からは取れません。

ドバイ土地局のIPS 2026における発表ページの表示
引用キャプチャ上期に完成したプロジェクトの件数・投資額・住戸数を市場指標として挙げている、ドバイ土地局の発表ページです。エリア別の内訳と完成の定義は、このページにも書かれていません。 出典:DLD|Dubai Land Department advances investor confidence, innovation and Emirati empowerment at IPS 2026, expanding real estate opportunities(確認日 2026-09-08/表示のファーストビュー)

104件・24,537戸は、上期に完成した実績です

2026年上期にドバイで完成したプロジェクト104件、投資額AED111 billion超、新規住戸24,537戸の3つを、前年同期比とあわせて並べた数値カード
3つとも上期(1月から6月)の実績値で、伸び率は発表に書かれた値です。完成の予定戸数ではありません。 出典:DLD|IPS 2026におけるDLDの発表(確認日 2026-09-08)
指標 2026年上期 前年同期比 数えているもの
完成したプロジェクト 104件 +38.7% 上期に完成として数えられたプロジェクトの件数
完成したプロジェクトの投資額 AED 111 billion超 +52% そのプロジェクトに投じられた投資の額
市場に加わった住戸 24,537戸 +36%超 完成にともなって市場に加わった住戸の数

発表には、完成をどの時点で数えたのかという定義は書かれていません。したがって、この24,537戸のうち何戸が実際に買主へ引き渡され、何戸がまだ引き渡しの手続きの途中なのかは、この数字からは分かりません。完成の件数と、個々の住戸の引き渡しは別の段階です。自分が契約している住戸の状況を知りたい場合に、この数字は答えになりません。

件数を戸数で割って「1プロジェクトあたり何戸」と読むのも避けてください。大規模なコミュニティと小規模な1棟のプロジェクトが同じ「1件」として数えられているため、割り算の結果はどのプロジェクトの実態も表しません。発表に書かれているのは合計だけで、規模の分布は示されていません。

完成が増えたことが有利に働くかどうかも、立場によって逆になります。すでに保有して賃貸に出している側から見れば、同じエリアに競合する住戸が増えることを意味します。これから完成物件を買う側から見れば、選べる対象が増えることを意味します。発表はどちらの評価も書いていませんし、当サイトも一方向の結論は出しません。

AED 111 billionは、取引額ではありません

もっとも起きやすい誤読がここです。同じDLDが公表した数字でも、投資額と取引額は数えている対象が違います。上期の投資額AED 111 billionは、完成したプロジェクトを建てるために投じられた額です。一方、DLDが2026年4月9日に公表した数字では、2026年第1四半期の不動産取引の総額はAED 252 billionで、前年同期比31%の増加、取引の件数は60,303件、その四半期に記録された不動産関連の手続きは718,160件でした。

完成(供給)側の104件・24,537戸・投資額AED111 billion超と、取引(需要)側のAED252 billion・60,303件・718,160件を左右に並べ、期間も数えているものも違うことを示した比較図
左右で期間が違います。左は上期の6か月、右は第1四半期の3か月です。同じAEDでも、建設に投じた額と登記された取引の額は別のものを数えています。 出典:DLD|2026年第1四半期の取引に関する発表(確認日 2026-09-08)

この2つを並べて「投資額は取引額の半分以下だから供給が足りない」といった読み方はできません。期間がそろっていないうえに、投資額は建設に投じた費用、取引額は登記された売買や抵当などの金額で、そもそも分母が違います。単位が同じAEDであることが、比較できることを意味しません。数字を並べるときは、期間と対象がそろっているかを先に確かめてください。

供給と需要の関係を見たいのであれば、少なくとも同じ期間で、住戸の数と取引の件数という同じ単位どうしを比べる必要があります。今回の発表と第1四半期の発表では期間が重なりきらないため、当サイトはその比較を作りません。期間のそろった数字が公表された時点で、ドバイの不動産市場データオフプラン取引データへ反映します。

同じ発表に出ている、住宅を初めて買う人向けの数字

この発表には、供給の指標のほかに First-Time Home Buyer Programme の実績も書かれています。登録した人が45,000人を超え、2026年6月までに3,200人を超える居住者がドバイで最初の住宅を購入し、2025年7月の開始以来AED 5 billionを超える取引が生まれた、という内容です。

制度そのものの条件は、発表ではなくDLDの案内ページに書かれています。UAEの居住者であること、国籍は問わないこと、ドバイのフリーホールド住宅をまだ所有していないこと、18歳以上であること、そして対象となる物件がAED 5 million未満であることの5点が条件として挙げられています。参加する事業者の新規販売への優先的なアクセス、選ばれたディベロッパーのオフプラン住戸を優遇された価格で買えること、登記手数料を対象のクレジットカードで分割にできることなどが便益として並び、参加そのものに追加の費用はかからないと書かれています。標準の登記手数料や、ディベロッパー・銀行の手数料は、これまでどおりかかります。

この制度は、ドバイに居住していない日本の投資家を対象にしたものではありません。ただし、供給の話として読むと意味があります。完成した住戸がどの層に渡っているのかを示す数少ない公表値だからです。市場に加わる住戸と、それを買う人の裾野は別々に動きます。

発表に書かれていないこと

推測で埋めずに、そのまま並べます。

項目 発表での扱い
エリア別の完成戸数 書かれていません
住宅と非住宅の内訳 書かれていません
下期に完成が予定されている戸数 書かれていません
完成が遅れているプロジェクトの件数 書かれていません
中止・取り消しになったプロジェクト 書かれていません
完成をどの時点で数えたかの定義 書かれていません
24,537戸のうち引き渡し済みの戸数 書かれていません

これらが空欄のままである以上、「上期に供給が増えたから、下期も増える」とは書けません。当サイトは、価格の上昇も下落も、賃料も利回りも保証しません。今回の発表から言えるのは、上期に完成として数えられた件数と戸数が、前年の同じ期間より多かったという事実までです。

自分で数字を確かめる

DLDは、取引(Transactions)、賃貸(Rents)、プロジェクト(Projects)、評価(Valuations)などのデータセットを、期間や地区で絞って照会できるページを公開しています。供給に対応するのはProjectsです。当サイトが2026年8月に確認した時点では、この照会フォームにはreCAPTCHAが置かれており、機械的に連続して取得することはできません。1回ずつ人が照会する前提の作りになっています。

サービスと情報をまとめた窓口として、DLDは Dubai REST のアプリも挙げています。今回の発表でも、ブースで見せているものの一つとして名前が出ています。どの経路で調べるにしても、出発点をDLD自身のページに置くことが、あとから同じ数字を再現するための条件になります。

発表には、会場で行われたセッションの内容も書かれています。オープンデータと不動産の指標が、投資家に市場の動きを理解させ、機会を比べさせる役割を持つこと。規制の枠組み、データの質、サービスの効率が組み合わさって市場の競争力につながること。データを見て比べることを、DLD自身が前提に置いています。ただし、比べられるかどうかは公表の粒度で決まります。今回の指標のように内訳が付いていないものは、そのままでは比べる材料になりません。

当サイトのデータページで扱っているのは、いまのところ売買と賃貸の登録データです。エリア別の取引件数や単価はドバイのエリア別データに、市場全体の推移はドバイの不動産市場データにまとめています。今回のような供給側の実績は、供給・完成予定データで扱う範囲です。

数字を確かめるときは、出典の層を混ぜないでください。DLDそのものが公表した値と、DLDのデータを加工して提供している民間のサイトの値は、集計の定義が違うために一致しないことがあります。この記事に書いた数字は、すべてDLDの発表そのものから取っています。

供給の実績を、どう使うか

完成戸数が増えたという事実は、それだけでは買い時や売り時の判断材料になりません。同じ24,537戸でも、自分が見ているエリアと物件種別に何戸入ったかで意味が変わりますが、今回の発表にその内訳はありません。読者にとって現実的な使い方は、次の2つに限られます。

ひとつは、時間の比較です。前年の同じ期間より完成が増えているという方向は、発表に書かれた伸び率から確かめられます。もうひとつは、自分が契約している物件の状況を、この統計とは別に確認することです。全体の完成が増えていても、個別のプロジェクトが遅れることはあります。引き渡しの手続きで確認する項目はドバイのオフプランに、価格が下がる場合の影響の見方はリスク・注意点にまとめています。

制度そのものの変更は不動産政策・規制で追っています。上期の内訳や下期の実績が公表された時点で、この記事を更新します。