エリア別データ/データ

アブダビのエリア別データ|賃料指数と取引集計の見つけ方

アブダビでエリアごとの賃料や取引額を確かめたいときに、ADRECの賃料インデックス、DARIのマーケットインサイト、半期の発表が、それぞれ何をどの細かさで公表しているのかを、政府の公表ページで確認できた範囲だけで整理します。

アブダビのエリア別データ|賃料指数と取引集計の見つけ方 - Reheat

アブダビのエリアごとの数字を調べようとすると、ドバイと同じ手順が使えないことにすぐ気づきます。先に結論を書きます。エリアという細かさで公表されているのは賃料の指標値で、売買のほうは地区ごとの集計と首長国全体の発表にとどまります。取引を1件ずつ並べた記録は、確認日の時点で当サイトは見つけられませんでした。この記事では、どの資料が何を、どのくらいの間隔で公表しているのか、そして自分で確かめたいときにどこを開けばよいのかを、政府の公表ページで確認できた範囲だけで整理します。エリアそのものの制度面(外国人が権利を取得できる区域か、登記の枠組みがどちらか)はアブダビのエリア比較で扱っているので、ここではデータの出どころと読み方に絞ります。

エリアの細かさで公表されているのは、賃料の指標値です

アブダビ政府メディアオフィスは、ADRECがこの首長国で初めての住宅向け賃料インデックスを立ち上げたと発表しています。発表によれば、この仕組みが扱うのは住宅・商業・工業の物件で、アブダビ各地のエリアにある物件について、四半期単位の指標となる賃料が見られると説明されています。目的として挙げられているのは、市場の透明性を高めること、指標となる賃料値を示すこと、そして市場の安定を支えることです。借りる側にとっては、提示された賃料が周辺と比べて妥当かどうかを確かめる材料になり、貸す側にとっては募集条件を決めるときの基準になります。

ここで大事なのは、指標値は成約額そのものではないという点です。発表が使っている言葉も「指標となる賃料値」であって、「実際に決まった賃料」ではありません。ある住戸の賃料が指標より高い、あるいは低いという事実は、それだけでは不当だという証明になりません。築年数、階数、眺望、家具の有無、支払い回数などで条件が違うためです。指標値は交渉の出発点であって、結論ではないという位置づけで使ってください。

アブダビ政府メディアオフィスの、ADRECによる住宅向け賃料インデックスの立ち上げを伝える発表ページの表示
引用キャプチャ住宅・商業・工業の物件を対象に、エリアごとの指標となる賃料を四半期単位で示すと説明している、アブダビ政府メディアオフィスの発表ページです。 出典:Abu Dhabi Government Media Office|Abu Dhabi Real Estate Centre launches first residential Abu Dhabi Rental Index(確認日 2026-09-07/表示のファーストビュー)

指標値は、支払う費用の計算にも使われます

賃料インデックスを「参考情報」とだけ考えていると、費用の側で足をすくわれます。UAE政府のポータルは、アブダビでは貸主が賃貸借契約をTawtheeqへ登録しなければならないと説明したうえで、市政手数料について、賃料額か賃料インデックスのいずれか高いほうを基準に計算されると書いています。手数料の率は5パーセントで、その額は12か月に分けて、水道と電気の請求に上乗せされます。つまり指標値は、掲示されるだけの参考値ではなく、入居者が毎月支払う金額に直接効いてきます。

この構造を知らないまま「賃料が安い物件を見つけた」と判断すると、手数料の計算が指標値のほうで行われた場合に、思っていた総額と食い違います。賃料そのものだけでなく、登録された契約と、手数料の基準になる値の両方を確かめてください。賃貸で揉めたときの窓口として、UAE政府のポータルはアブダビの賃料紛争解決委員会を案内しています。

アブダビでエリアの賃料水準を確かめる4つの段を左から並べた工程図。ADRECの賃料インデックスで指標値を見る、貸主がTawtheeqへ登録した契約の実額と突き合わせる、市政手数料は賃料額と指標値の高いほうを基準に計算されることを確かめる、DARIのダッシュボードで直近の動きを見る
指標値・実際の契約・支払う費用は別のものです。2段目を飛ばすと、指標値を成約額として読むことになります。 出典:Abu Dhabi Government Media Office|Abu Dhabi Rental IndexUAE Government|Leasing a property in the UAE(確認日 2026-09-07)

毎日動く数字はDARIにあります。ただしアブダビだけです

ADRECが運営するDARIには、マーケットインサイトと呼ばれるダッシュボードがあり、アブダビの取引をおおづかみに見られると案内されています。DARIのサポートページには、この画面についての説明がいくつも置かれていて、当サイトが確認できたのは次の4点です。データはアブダビの自治体交通局(DMT)が直接提供していること、その値はDMTが検証していること、ダッシュボードは毎日、自動で更新されること、そして対象は現時点でアブダビだけであることです。さらに踏み込んだ分析が必要な場合は、サポート窓口へ問い合わせるよう案内されています。裏を返せば、公開されている画面はあくまで概観であり、エリアや期間を自分で切り替えて掘っていく道具としては設計されていません。

募集側の情報としては、ADRECがMadhmounという仕組みを導入したことも発表されています。掲載される物件情報を検証したうえで載せる仕組みで、広告の正確さを担保することが狙いだと説明されています。ただしこれは売り出し中・貸し出し中の条件であって、成約した金額ではありません。募集価格と成約価格を同じ列に並べないでください。

アブダビの不動産データを、横軸に更新の間隔、縦軸に見られる細かさを取って配置した図。DARIのマーケットインサイトは毎日更新だが首長国全体、ADRECの賃料インデックスは四半期でエリアと物件種別と広さ、ADRECの市場レポートは半期で地区の集計、メディアオフィスの発表は半期と年次で首長国全体
更新が速い資料ほど、見られる細かさは粗くなります。エリアの細かさで見たいなら賃料インデックス、直近の動きを見たいならDARI、と目的で選び分けます。 出典:ADREC/DARI SupportAbu Dhabi Government Media Office(確認日 2026-09-07)
資料 提供しているもの 見られる細かさ 更新
賃料インデックス(Abu Dhabi Rental Index) 指標となる賃料値 エリアごと。住宅・商業・工業 四半期単位の指標値
マーケットインサイト(DARI Market Insight) 取引の概観 アブダビ全体 毎日・自動
Madhmoun 検証済みの募集情報 掲載されている物件 掲載のつど
メディアオフィスの発表 取引額・件数・海外直接投資 首長国全体 半期・年次

首長国全体の数字は、半期の発表で確認できます

エリアの話から一段上がります。アブダビ政府メディアオフィスは、2026年上半期の不動産取引の総額がAED117 billionに達したと発表しました。前年の同じ期間と比べて、金額で112パーセント、件数で61.7パーセントの増加だと書かれています。内訳として示されているのは、売買がAED86.1 billionで16,838件、抵当がAED26.7 billionで8,876件、そしてムサタハと長期リースの合計です。海外直接投資はAED13.8 billionとされ、前年同期からの伸び率も併記されています。

金額はAEDの表記のまま引いています。billionは10億の単位ですが、日本語の「億」に置き換えると桁の並びが変わり、発表文と突き合わせるときに手間が増えるため、公表されている書き方をそのまま残しました。当サイトが円の目安を併記するページでは、使った為替レートと基準日を注記として画面に出しています。

この発表を読むときに気をつける点が3つあります。1つめは、総額には売買以外の登録も含まれていることです。売買だけを見たいなら、総額ではなく売買の内訳を使います。2つめは、金額と件数を混ぜないことです。件数が増えても金額が増えているとは限らず、逆も同じです。3つめは、この発表にはエリア別の内訳が無いことです。地区ごとの集計はADRECが公表する市場レポートの側にあり、発表文とは別の資料になります。

区分 2026年上半期の公表値 読むときの注意
取引の総額 AED117 billion 売買以外の登録も含む
売買 AED86.1 billion(16,838件) 金額と件数を混ぜない
抵当 AED26.7 billion(8,876件) 購入の金額ではなく融資の登録
海外直接投資 AED13.8 billion 投資家の国籍数も併記されている

ドバイと同じ再集計は、アブダビではできません

当サイトはドバイについて、DLDの照会からデータを受け取り、ドバイのエリア別データドバイの市場データとして集計し直したものを置いています。1件ずつの記録を持っているので、平均にするか中央値にするか、どの期間で切るかを自分で決められます。アブダビでは、この形が取れません。公表されているのが集計後の値と指標の値だからです。

違いは、読者が何を確かめられるかに直結します。ドバイでは、当サイトが出した数字と同じものを、読者が同じ手順で作り直せます。アブダビでは、当サイトも読者も、公表された値をそのまま読むことになります。だからこそ、どの資料の、いつの、どの区分の値なのかを毎回書きます。組み替えられない値を出典なしに引き写すと、あとから誰も検算できません。

ドバイとアブダビで、読者が同じ数字を再現できる範囲を左右に並べた比較図。ドバイは取引1件ずつのデータを取得してエリア別に集計し直せるのに対し、アブダビは公表された集計値と指標値をそのまま読む形になる
公表の形が違うため、同じ「エリア別データ」という言葉でも、読者が再現できる範囲が変わります。右側で当サイトが案内から始めているのは、確認できていない数値を載せないためです。 出典:当サイトの取得経路と、確認日時点で公表ページから確認できた形の対比(確認日 2026-09-07)

購入を前提にエリアを絞り込む段階では、データだけでは足りません。誰が申請を起票し、どの順序で登記まで進むかはアブダビ不動産の買い方に、ADGMの管轄に入る島の事情はアル・リーム島の不動産にまとめています。

この記事で確認できなかったこと

ADRECの公式サイトにある市場レポートのページと対話型の地図は、当サイトの自動取得では開けませんでした。CAPTCHAの画面で止まります(確認日 2026-09-07)。当サイトはCAPTCHAを機械で越えない方針なので、地図に表示される値や、レポートに載っている地区ごとの内訳は、この記事では数値として扱っていません。人がブラウザで開く経路は残っているため、実際の値はADRECのサイトで直接確かめてください。

アブダビ統計センターのサイトにも接続できませんでした。賃料の指数の作り方を説明した資料が置かれていることは検索の結果から分かっていますが、中身を確認できていないため、集計の手法についてはこの記事では説明しません。

各エリアの売買額についても、報じられている数字が媒体によって食い違っていました。一次情報にあたれない以上、どれが正しいかを当サイトは判定できません。したがって、島ごと・地区ごとの金額はこの記事に書いていません。確かめられた事実と、確かめられていない数字を、同じページに並べないためです。

値上がりも賃料収入も保証しません

当社は、値上がり、賃料収入、利回りのいずれについても保証しません。取引額が大きいエリアが、これから買う人にとって有利だという意味にもなりません。公表されている集計は、登録された過去の記録であって、この先の結果を示すものではないからです。

賃料の指標値についても同じです。指標が上がっているエリアで、あなたの住戸が同じように貸せるとは限りません。実際の賃料は、供給の増減、建物の管理状態、空室の期間、契約の条件によって変わります。数字は判断の材料であって、判断の代わりにはなりません。

まとめ

アブダビのエリア別データは、資料ごとに見られる細かさと更新の間隔が違います。エリアの細かさで公表されているのは賃料の指標値で、四半期単位の値として住宅・商業・工業を対象に示されます。取引の概観はDARIのダッシュボードで毎日更新され、対象はアブダビだけです。首長国全体の取引額と件数は、半期と年次の発表で確認できます。

そして、ドバイのように1件ずつのデータから自分で集計し直すことは、いまのところできません。だから、どの資料の、いつの、どの区分の値なのかを毎回確かめるところから始めてください。エリアの制度面と数字の定義についてはアブダビのエリア比較を、当サイトが持っているデータの一覧はアブダビのデータを参照してください。