ディベロッパー別データ/データ

ドバイのディベロッパー別データ|法人単位で並ぶ供給の読み方

ドバイのディベロッパー別データは、ブランドではなく登記された法人の単位で並びます。住戸とヴィラが別の列であること、同じブランド名が複数の法人に分かれること、売買データと突き合わせられない理由を、DLDの公開データの集計で示します。

「ドバイでいちばん大きいディベロッパーはどこか」。この問いに、ドバイ土地局(Dubai Land Department、以下DLD)が公開しているディベロッパー別のデータは、そのままでは答えません。登録簿が、ブランドではなく登記された法人の単位で並んでいるからです。ダマック(DAMAC)の名前が入った法人は4つの行に分かれて並び、エマール(EMAAR)の名前が入った法人も4つの行に分かれています。どの行をどこまで足し合わせるかを決めるのは、データではなく読み手です。

もう1つ、同じくらい外しやすいところがあります。登録簿には住戸の数とヴィラの棟数が別の列で入っています。住戸の列だけで並べると、ヴィラだけを登録している法人は0戸として下へ沈みます。実際に、住戸の列が空のまま4,659棟のヴィラを登録している法人があります。名前を知っている会社が一覧の下のほうにいたとしても、それは規模が小さいという意味ではありません。

この記事では、DLDが配っているプロジェクトとディベロッパーのデータを当サイトが集計した結果を使って、この登録簿で何が並べられて、何が並べられないのかを順に示します。数えた範囲と件数は図と表に置き、集計の条件も同じ場所に書いています。ディベロッパーを勧める記事ではありません。当社は値上がり、賃料収入、利回りのいずれも保証しません。

先に、このデータが何の記録なのかを決めます

当サイトがディベロッパー別のデータとして集計しているのは、DLDのオープンデータの9つのデータセットのうち、プロジェクト(Project)とディベロッパー(Developer)の2つです。売買や賃貸のデータではありません。プロジェクトのデータは登録された開発案件の台帳で、案件ごとに開発する法人の名前と番号、着工日と完成予定日、登録された住戸とヴィラの数、エスクロー口座の有無、案件の状況が入っています。

ここでいちばん大事なのは、これが売れた実績ではなく、登録された計画の記録だということです。ある案件に住戸が数百戸と記録されていても、その数が売れたという意味ではありません。契約が1件も入っていない案件も、予定どおり進んでいる案件も、同じ1行として台帳に並びます。登記された売買の実績を見たい場合は売買のデータ、実際に完成した戸数を見たい場合はDLDの公表指標と、見るものを分けてください。完成の実績はドバイの完成プロジェクトにまとめてあります。

もう1つの制約は期間です。DLDのオープンデータの照会画面は当年しか出せません。日付欄で選べるのは当年だけで、前年以前は別の基盤へ案内されます。そのため当サイトのディベロッパー別データは、2026年の期間で登録が記録された案件だけを数えています。前の年に登録された案件は入っていません。この点を外すと、長く事業をしている法人の規模を小さく読むことになります。

項目 当サイトの集計値 何を数えたか
プロジェクトの件数 368件 2026年の期間で登録が記録された開発案件
ディベロッパーの数 230法人 上の368件に出てくる法人の名前の数
登録された住戸(CNT_UNIT) 87,405戸 368件の案件に記録された住戸の合計
登録されたヴィラ(CNT_VILLA) 14,305棟 368件の案件に記録されたヴィラの合計
エスクロー口座の記録がある案件 271件 口座番号の記録がある案件
状況が ACTIVE の案件 263件 台帳の状況の列が ACTIVE
状況が PENDING の案件 102件 台帳の状況の列が PENDING

残りの案件は、状況の欄が「近日」「取り消し」「空欄」になっているものが各1件です。368件のうち、エスクロー口座の記録がない案件がおよそ百件あります。口座の記録がないことは、口座が存在しないことを意味するとは限りません。台帳に番号が入っていないという意味にとどめてください。

住戸とヴィラは、別の列です

登録簿で最初に引っかかるのがこの2つの列です。下の図は、住戸の多い上位5法人と、ヴィラの多い上位3法人を合わせた7法人を、同じ目盛りで並べたものです。

住戸の上位5法人とヴィラの上位3法人を合わせた7法人について、住戸を赤い棒、ヴィラを緑の棒で同じ目盛りに並べた図。住戸の順番とヴィラの順番が一致していない
赤が住戸(CNT_UNIT)、緑がヴィラ(CNT_VILLA)です。選んだのは住戸の上位5法人とヴィラの上位3法人で、この2つの集合が重なるため7法人になります。並びは住戸の列の多い順で、値が0の法人も0として同じ図に残しています。 出典:Dubai Land Department|Real Estate Dataの公開データをReheatが集計(登録簿の対象は2026年/確認日 2026-10-13)

図を上から読むと、住戸の列では Binghatti Developers FZE が13,363戸でほかを大きく離しています。2番目の SOBHA L.L.C が4,120戸なので、1番目と2番目の差は3倍を超えます。住戸の列だけを見ると、この市場は1法人に偏っているように見えます。

ところが緑の棒を見ると、順番が合っていません。ヴィラでいちばん長い棒は EMAAR DEVELOPMENT P.J.S.C. の4,884棟です。この法人は住戸の列では1,555戸で、住戸の上位5法人には入りません。図の中にも、住戸がこの法人より多い法人が4つあると書いてあります。住戸が0戸の DAMAC PRIME DEVELOPMENT L.L.C も、ヴィラでは4,659棟です。ヴィラの棒が付いているのは7法人のうち3法人だけで、残りの4法人は0棟です。住戸の順位とヴィラの順位は、別の並びです。

どちらの列を見るかは、読者が何を買おうとしているかで決まります。アパートメントを探しているなら住戸の列、戸建てにあたるヴィラを探しているならヴィラの列です。両方を足した「総供給」は、当サイトでは出していません。理由は下の「並べられる順位と、並べられない順位」で書きます。間取りをそろえて数字を見る考え方はエリア別データでも扱っています。

同じブランド名が、複数の法人に分かれます

住戸とヴィラの次に外しやすいのが、法人とブランドの違いです。下の図は、名前に DAMAC が入る法人と、名前に EMAAR が入る法人を、登録簿に並んでいるとおりに書き出したものです。

名前にDAMACが入る4法人と名前にEMAARが入る4法人を、登録簿の行ごとに並べたツリー図。各行に案件数と住戸数、ヴィラ数が書かれ、親会社の列がないことが注記されている
登録簿の行をそのまま書き出しています。まとめ方は法人名に同じ語が含まれるかどうかだけで、Reheatが名前で寄せたものです。DLDが示している区分ではありません。 出典:Dubai Land Department|Real Estate Dataの公開データをReheatが集計(登録簿の対象は2026年/確認日 2026-10-13)

左の列を見ると、DAMAC ELITE INVESTMENT CO. L.L.C が住戸4,035戸、DAMAC PRIME DEVELOPMENT L.L.C がヴィラ4,659棟で、同じ語を名前に持つ法人が、住戸とヴィラのそれぞれで別に登録していることが分かります。右の列も同じで、EMAAR DEVELOPMENT P.J.S.C. のほかに3つの法人が並びます。EMAAR DUBAI SOUTH DWC LLC は住戸995戸、DWTC EMAAR L.L.C は住戸1,385戸です。

名前が同じ語を含むのは、資本関係の証明ではありません。登録簿に親会社の列がないため、これらの法人が同じグループなのかどうかを、このデータだけでは確かめられません。逆に、名前にブランド語が入らない関連法人があっても、名前で寄せる方法では拾えません。拾えているかどうかを検証する列も入っていません。

名前に含まれる語 登録簿に並ぶ法人の数 住戸の列がいちばん大きい1法人
IMTIAZ 5法人 2,058戸(IMTIAZ JA REAL ESTATE DEVELOPMENT L.L.C)
DAMAC 4法人 4,035戸(DAMAC ELITE INVESTMENT CO. L.L.C)
EMAAR 4法人 1,555戸(EMAAR DEVELOPMENT P.J.S.C.)
SAMANA 4法人 564戸(SAMANA PLATINUM REAL ESTATE DEVELOPMENT L.L.C)
ELLINGTON 3法人 1,185戸(ELLINGTON PCFC DEVELOPERS L.L.C)
AURORA SPV 3法人 1,243戸(AURORA SPV 3 L.L.C)
PEACE HOMES 3法人 565戸(PEACE HOMES REAL ESTATE L.L.C)

右端の列は住戸の列だけを見た値です。DAMAC は住戸の列がいちばん大きい法人とヴィラの列がいちばん大きい法人が別なので、この列だけでは全体像になりません。また、名前で寄せること自体が機械にはできません。たとえば G F S REAL ESTATE L.L.C と GFS WONDERS DEVELOPERS L.L.C は、空白の入り方が違うため文字列の一致では同じ語として扱えません。名寄せは、どこまで寄せるかを人が決める作業です。

並べられる順位と、並べられない順位

当サイトは、並べ替えの基準になった公表値と出典、確認日を同じ画面に出せる順位だけを作ります。この条件に照らすと、ディベロッパー別のデータから作れる順位と作れない順位がはっきり分かれます。

作れるのは、登録簿の1つの列で並べた順位です。住戸の列の多い順、ヴィラの列の多い順、登録案件の数の多い順。どれもDLDが公表している値で、期間と集計の条件を書けば、読者が同じ手順で同じ並びを再現できます。上の図がこれにあたります。値が0の法人を図から消さず、0として残しているのも同じ理由です。消すと、何を見ているのかが分からなくなります。

作れないのは、名前でまとめ直した合算の順位です。合算するには、どの法人を同じグループとして扱うかという判断が要ります。その判断の根拠がデータの中にないので、順位の根拠を画面に出せません。住戸とヴィラを足した「総供給」の順位も同じです。住戸1戸とヴィラ1棟を同じ重さで足す理由を示せないため、合算した値は出していません。図でも、2つの棒を積み上げずに別々に並べています。足し合わせたいときは、図と表に出ている列ごとの値をそのまま使ってください。

「ドバイ最大のディベロッパー」と書いてある表を見かけたら、まずこの2点を確かめてください。どの列で並べたのか、法人をどこまでまとめたのか。この2つが書かれていない順位は、別の人が作り直しても同じ並びになりません。比較に使える列そのものの一覧はドバイのディベロッパー比較に分けてあります。

案件の数と、戸数は別の話です

図の左側には、各法人の登録案件の数も入れてあります。ここも住戸の数とは一致しません。Binghatti Developers FZE は16件の案件で13,363戸を登録しています。EMAAR DEVELOPMENT P.J.S.C. は19件で、案件の数はこちらが多いのに、住戸の列は1,555戸です。DAMAC ELITE INVESTMENT CO. L.L.C は2件だけで4,035戸を登録しています。

つまり、1案件あたりの規模が法人によってまったく違います。高層の集合住宅を1棟建てる案件は、1件で千戸を超えることがあります。ヴィラの区画を造る案件は、件数が多くても1件あたりの戸数は小さめです。案件の数を「実績の多さ」として読むと、大型の集合住宅を手がける法人を小さく見積もります。

案件の数が意味を持つのは、別の場面です。同じ法人が複数の案件を同時に進めているとき、その法人の資金と工程は複数の現場に分かれます。引き渡しの時期を気にするなら、戸数よりも、その法人が同時に抱えている案件の数と完成予定の年を見てください。

完成予定の年で見ると、ヴィラは後ろに寄っています

登録簿には完成予定日の列があります。年ごとにまとめると、住戸とヴィラで時期の寄りかたが違うことが見えます。

完成予定の年 案件 住戸 ヴィラ
2027年 37件 13,374戸 0棟
2028年 139件 21,138戸 1,015棟
2029年 115件 27,065戸 5,335棟
2030年 62件 18,595戸 7,955棟
2031年 11件 5,907戸 0棟
2032年 3件 1,326戸 0棟

住戸は2029年がいちばん多く、そこから減ります。ヴィラは2029年と2030年に寄っていて、2027年と2031年以降は0棟です。ヴィラを探している読者にとって、完成予定が近い案件はこの登録簿にほとんどありません。なお、完成予定の年が空欄の案件が1件あり、上の表の案件数の合計は368件になりません。

この表も「予定」です。完成予定日は台帳に記録された時点の予定で、後ろへ動くことがあります。実際に完成した件数と戸数は、DLDが期間ごとに公表する指標のほうで確かめてください。予定と実績を同じ表に混ぜないのが、このデータを使うときの基本になります。供給の計画そのものは供給・完成予定データに分けてあります。

売買のデータとは、案件の番号でしかつながりません

子カテゴリの名前は「ディベロッパー別データ」ですが、当サイトはディベロッパー別の取引件数と取引額を出していません。出せないからです。理由は売買データの絞り込み条件にあります。売買の照会で指定できるのは、期間、取引の種別、登記の種別、フリーホールドかどうか、エリア、用途、物件の種別です。事業者で絞る欄がありません。

では完全に切れているのかというと、そうでもありません。当サイトが集計した売買の記録には案件の情報が入っていて、登記された売買には2,896件の案件が出てきます。いっぽうプロジェクトの登録簿で引けるのは368件です。売買に出てくる案件のほとんどは、当サイトが持っている登録簿の中に対応する行がありません。前年以前に登録された案件だからです。案件単位で名寄せをすれば一部はつながりますが、つながるのは当年に登録された案件に限られます。

そのため、法人を確かめる手順は「売買データから法人を引く」ではなく、「案件の番号を手がかりに登録簿と照会画面をたどる」形になります。

売買データ、プロジェクト登録簿、Project Statusの照会画面、Developerのデータの4つを順にたどる工程図。各段で分かることと残る不明点が書かれている
4つの段それぞれで、分かることと残る不明点を分けています。番号の丸は確かめる順番で、上から下へたどります。 出典:Dubai Land Department|Project Status(Mashrooi)とDubai Land Department|Open Dataの照会画面(確認日 2026-10-13)

3段目の Project Status(Mashrooi)は、案件名か案件番号で引く照会画面です。引けると、その案件のディベロッパー名と番号、エスクロー口座の銀行名、管理会社の連絡先、検査の記録まで表示されます。法人名の側から一覧にはできません。案件を先に特定する必要があるので、物件の資料に書かれているプロジェクト名と番号を手元に置いてから開いてください。

エスクロー口座の記録があることは、代金の預け先が案件に設定されていることだけを示します。工事が予定どおり進むことや、引き渡しの時期を保証するものではありません。この区別は読者の資金に直接かかるので、口座の有無を安全の証明として読まないでください。

登録の記録は、全部の法人に入っていません

Developer のデータセットには、法人ごとの登録日、免許番号、免許の有効期限、法人の形態、ウェブサイトの列があります。読者が事業者の登録を照会するときの手がかりになる情報です。ところが、当サイトが集計した230法人のうち、この登録の記録が入っているのは一部だけです。残りは空のままで、画面でも空欄として扱っています。

記録が入っている法人では、たとえば IMTIAZ JA REAL ESTATE DEVELOPMENT L.L.C に登録番号2717と免許の期限が記録されています。これは照会できる形の情報です。入っていない法人については、当サイトからは「確認できなかった」としか言えません。登録がないという意味ではありません。2つを同じ「空欄」で表示していると混ざるので、空欄の意味を必ず読み分けてください。

免許の期限が切れている記録もあります。期限の列は取得した時点の値なので、いま有効かどうかはDLDの画面で確かめる必要があります。不動産の登録と広告を監督する枠組みそのものはRERAとはにまとめています。法人を調べるときは、登録簿の戸数より先に、この登録と免許のほうを見てください。供給の規模は、取引相手としての信頼性とは別の話です。

このデータの出どころ

この記事の数字は、DLDがオープンデータとして配っているCSVを当サイトが集計したものです。DLDの公式データそのものではなく、DLDの公開データをReheatが集計した値です。集計の条件を変えれば数字は変わるので、条件を図と表の中に書いています。

ドバイ土地局のオープンデータのページで、売買・賃貸・プロジェクト・ディベロッパーなどのデータセットが期間を指定して取得できる形で並んでいる画面
引用キャプチャ9つのデータセットが並ぶDLDのオープンデータの画面です。この記事で使っているのは、このうちプロジェクトとディベロッパーの2つです。同じ画面に、前年以前のデータは別の基盤へという案内が出ています。 出典:Dubai Land Department|Real Estate Data(オープンデータ)(キャプチャの取得日 2026-09-29/表示のファーストビュー/出典の再確認日 2026-10-13)

取得そのものは当サイトの処理で行いますが、照会の画面には人の確認を求める仕組みが置かれているため、完全な無人運転にはしていません。その仕組みを機械で回避することはしません。結果として、更新は期間を区切って人が操作する形になります。使っているデータの一覧と取得の方針は出典一覧にまとめています。

DLDの公表は、後から修正されることがあります。直近の期間ほど数字が動く可能性があるので、引用するときは期間と確認日ごと持っていってください。当サイトのデータ全体の入口はドバイ不動産データです。

このデータでできないこと

最後に、できないことを並べておきます。まず、この登録簿から事業者の良し悪しは分かりません。品質、評判、引き渡しの守り方を表す列は1つも入っていません。並べられるのは、どの法人がどの案件を、どれだけの規模で、どの状況まで進めているかという事実だけです。

次に、ここにある戸数は売れた戸数ではありません。登録された計画の数で、契約の状況も販売の進み具合も入っていません。価格も入っていないので、法人ごとの平均価格や単価もこのデータからは出せません。価格の水準はエリアと物件種別で見るもので、エリア別データに分けてあります。

そして、過去との比較ができません。照会画面が当年しか返さないため、前の年の登録と比べる材料を当サイトは持っていません。これから年ごとに積み上げていく形になります。「去年より増えた」という読み方は、いまの手元のデータではできません。

法人ごとのページはドバイのディベロッパーから辿れます。繰り返しになりますが、供給の規模は買う判断の材料の1つにすぎません。当社は値上がり、賃料収入、利回りのいずれも保証しません。