2026年10月20日、Meraki Group がドバイ・サウス(Dubai South)に Celeste という複合開発で参入すると発表しました。発表はプレスリリースとして配信されたもので、正式な公開は2026年11月と書かれています。いま読めるのは「どこに、どんな名前の開発をするか」までです。
この記事では、その発表に書かれている数値と、書かれていない項目を分けて並べます。あわせて、発表の中で唯一、市場の水準に触れている賃料の2つの数字を扱います。完成済みの案件について、1ベッドルームの住戸が年およそ75,000 AED、エリア平均が63,000 AEDで、およそ19%高いという記載です。この19%が何と何の差なのかを、読者が確かめられるかどうかを見ます。
出典の層を先に分けます。この記事でいう「発表」はすべて民間企業のプレスリリースで、Dubai Land Department(DLD、ドバイ土地局)やドバイ政府が公表した統計ではありません。比べるために使う賃料の水準は、DLDが公開している登録記録を当サイトが集計した値で、これもDLDが公表した統計そのものではありません。金額は発表の表記のまま、AEDと米ドルで置いています。円には換算していません。為替は日々動くため、換算した数字は書いた時点から事実と離れていきます。当社は値上がり、賃料収入、利回りのいずれも保証しません。
発表に書かれているのは、会社の規模とCelesteという名前です
発表によると、Meraki Group はドバイ・サウス(Dubai South)に Celeste という複合開発で参入します。会社側の規模としては、7案件・合計で10億米ドル近くの開発計画を持ち、およそ2,400戸の住戸が建設中だと書かれています。UAE全体ではこれまでに100件を超える案件を手がけ、対象は住宅、商業、病院、教育施設、レクリエーション施設にわたるとされています。会社紹介の部分には、開発・建設・教育の分野で25年を超える経験があるとも書かれています。
ここで混ぜてはいけないのは、この規模の数字がCelesteのものではないという点です。7案件・10億米ドル近く・2,400戸は会社全体の話で、Celesteが何戸でいくらなのかは発表に出てきません。創業者兼会長の Ajay Rajendran 氏の発言としては、ドバイ・サウスが会社の成長の次の段階であること、そしてCelesteをこのエリアの住宅プロジェクトの上位3つに入る位置づけにしたいという目標が紹介されています。目標の表明であって、達成された順位ではありません。
| 発表されている項目 | 発表の記載 | 定義や内訳の記載 |
|---|---|---|
| 開発の名称と場所 | Celeste。ドバイ・サウスの複合開発 | 区画名と住所の記載はありません |
| 正式な公開 | 2026年11月 | 日付までの記載はありません |
| 会社全体の開発計画 | 7案件・合計で10億米ドル近く | 案件名と1件ごとの内訳はありません |
| 建設中の住戸 | およそ2,400戸 | 案件ごとの戸数の記載はありません |
| これまでの実績 | UAEで100件を超える案件 | 住宅だけの件数の記載はありません |
| 完成した案件の品質 | The Haven I で snag-free handover rate が73% | 判定の方法と対象戸数の記載はありません |
単位は発表の表記に合わせています。開発計画の額が米ドル、賃料がAEDと分かれているのも発表のままです。当サイトで通貨をそろえ直していません。そろえ直すには為替の基準日を決める必要があり、その基準日が発表に書かれていないためです。
11月の正式公開まで決まっていない項目
買う側が最後に判断に使う条件は、この発表の対象になっていません。価格、支払いプラン、戸数、間取り、住戸の面積、着工と引き渡しの時期は1行も書かれていません。同じ形の発表は他社にもあります。NakheelがDubai Islandsで公表したBay Estateでも、戸数と面積は示されましたが、価格・支払いプラン・販売開始日・引き渡し時期はありませんでした(Bay Estateの公表)。発表の時点で「まだ決まっていない」のか「決まっているが公表していない」のかは、外から見分けられません。
いっぽうで、会社の発表とは別に公的に確かめられるものがあります。DLDのProject Status Enquiry(Mashrooi)は、プロジェクト名または番号から案件を検索できる窓口で、案内にはファクトシート、検査の情報、開発会社と管理会社の情報、エスクロー口座の銀行の情報が表示項目として挙げられています。利用の経路としてDubai RESTのアプリが案内されています。オフプラン住戸の初回の売買をDLDへ登録する窓口(Request to register the initial sale)も、別のサービスとして公開されています。登録のある案件かどうかは、会社の発表ではなくこれらの窓口で確かめます。
ただし、これらの窓口で分かるのは登録された案件の状態です。まだ正式に公開されていない開発が、いつ、どの名前で登録されるかは分かりません。11月の公開を待つあいだにできるのは、確かめる項目を先に決めておくことだけです。
「エリア平均より19%高い」はどの平均か
発表の中で市場の水準に触れている箇所は1つだけです。完成した案件 The Haven I について、1ベッドルームの住戸が年およそ75,000 AEDで、これはエリア平均の63,000 AEDに対しておよそ19%高い、という記載です。検討する側にとってはここがいちばん気になる部分で、同時にいちばん確かめにくい部分でもあります。エリア平均の出所、集計の期間、対象にした住戸の種類、新規契約と更新契約のどちらを含むかが、発表に書かれていません。
当サイトは、DLDが公開している賃貸の登録記録を自前で集計しています。2026年1月1日から8月25日までに登録された住宅の賃貸契約441,232件のうち、新しく結ばれた契約173,959件の年額の中央値は75,000 AED、更新された契約267,273件は62,090 AEDでした。住戸の種類で分けると、集合住宅(Flat)400,998件の中央値が63,000 AEDです。
ここから分かるのは、契約の種別や住戸の種類を変えるだけで、代表値が1万AED以上動くということです。発表に出てくる2つの数字と近い水準の値が、ドバイ全体の集計にも現れます。だからといって発表の数字が誤りだという話ではありません。どの範囲を平均したのかが分からないため、19%という差が何と何の差なのかを読者が再現できない、という意味です。賃料を比べるときは、同じ期間、同じ契約の種別、同じ住戸の種類にそろえてからにしてください。分け方はドバイの家賃データにまとめています。
| 集計の範囲 | 件数 | 年額の中央値 |
|---|---|---|
| 新規契約・ドバイ全体 | 173,959件 | 75,000 AED |
| 更新契約・ドバイ全体 | 267,273件 | 62,090 AED |
| 集合住宅・契約の種別で分けない | 400,998件 | 63,000 AED |
| 新規契約・Madinat Al Mataar | 3,049件 | 70,000 AED |
この表の値は、DLDの公表統計ではなく、DLDが配布している登録記録を当サイトが集計したものです。対象は住宅だけで、労働者宿舎を除き、1つの契約で複数の物件を借りているものも除いています。期間は2026年1月1日から8月25日までです。引用するときは、この条件ごと引いてください。中央値と平均は別のものなので、言い換えずに使っています。
自分で確かめたい場合は、DLDが公開しているRental Indexを使えます。案内には、必要なエリアなどの条件を入力すると、賃料の引き上げ幅と市場の平均的な賃料を計算できるサービスだと書かれています。利用の経路としてEjariのサイト、Dubai RESTアプリ、DLDのサイト、DubaiNowアプリが挙げられ、居住しているかどうかに関係なく使えるとされています。発表に出てくる「エリア平均」と、この窓口が返す値が同じものだとは限りません。別の集計として扱ってください。
区画名で突き合わせるときは、名前が分かれていることに注意
発表に書かれている場所は「ドバイ・サウス(Dubai South)」です。ところが、DLDの記録で区画名を突き合わせようとすると、名前が1つに決まりません。当サイトのエリア名辞書はDLDの区画名から作っていますが、そこには Dubai South と Madinat Al Mataar(マディナ・アル・マター)が別の区画として入っています。DLDの区画名は、開発のブランド名と必ずしも一致しません。同じ辞書では、DLDの Marsa Dubai が通称「ドバイ・マリーナ」として知られる区画になっています。
当サイトの集計で、2026年1月1日から8月25日までの売買の件数がいちばん多かった区画は Madinat Al Mataar で、11,269件でした。売買価額の中央値は948,000 AED、1平方メートルあたりの単価の中央値は18,167 AED、住戸の面積の中央値は61.4平方メートルです。オフプランの比率は97.5%で、登記された取引のほとんどが建設前・建設中の契約です。賃貸の側は新規契約3,049件で年額の中央値が70,000 AEDでした。集合住宅の表面利回りは4.82%になりますが、これは同じ区画・同じ物件種別の中央値どうしの比で、同じ物件の実績ではありません。管理費やサービスチャージ、空室、仲介手数料を引いていない表面の値です。
ただし、Celesteがどの区画で登録されるかは発表から判断できません。区画名が分かるまでは、エリアの数字を当てはめないでください。エリアごとの一覧はエリア別データから、データの系列の入口はドバイのデータから辿れます。
この発表をどう読むか
実績として読めるのは、建設中の戸数があることと、完成した案件があることまでです。Celesteそのものについては、名前と場所と「11月に公開する」という予定しか公表されていません。「このエリアの上位3つに入る」という言い方は目標で、順位ではありません。当サイトは、並べ替えの基準になった公表値と出典を示せないときに順位を作りません。会社ごとの引き渡しの実績がどこまで公表されているかはドバイ不動産の引き渡し実績に整理しています。
snag-free handover rate(指摘のない引き渡しの割合)にも同じ注意が必要です。何を指摘として数えるか、誰が判定したか、対象は何戸かが書かれていないため、他社と比べる指標には使えません。発表元が示した数字として読み、引用するときは「会社の発表による」と添えてください。
11月の正式な公開では、この記事で並べた項目が公表されるかどうかを見てください。公表されなかった項目は、推測で埋めずに空欄のまま残します。当サイトが出典をどう扱っているかは出典と数え方にまとめています。当社は値上がり、賃料収入、利回りのいずれも保証しません。