ディベロッパー比較/ディベロッパー

ドバイのディベロッパー比較|買う区画から法人を引く

ドバイのディベロッパーは、会社名より先に買う区画を決めると比べやすくなります。DLDの公開データを集計した住戸数の上位30法人を区画ごとに並べ直し、22法人が1区画だけに登録していること、顔ぶれが複数になる14区画、区画別の戸数が読めない理由を示します。

ドバイのディベロッパーを比べようとすると、たいていは会社名の一覧から始めます。ところが会社名から入ると、候補が同じ土俵に乗りません。ある法人は1つの区画だけで案件を登録し、別の法人はまったく離れた区画にしか登録していない、ということが普通に起きるからです。立地が違う法人を横に並べても、価格の水準も通勤の条件も比べられません。先に買う区画を決めて、その区画に登録のある法人だけを残すほうが、比較はずっと早く成立します。

この記事で使うのは、ドバイ土地局(Dubai Land Department、以下DLD)がオープンデータとして配っているプロジェクトとディベロッパーのデータを、当サイトが集計したものです。対象は2026年に登録が記録された案件で、集計日は2026年8月28日です。そこから住戸の列(CNT_UNIT)が多い上位30法人だけを取り出し、区画の側から並べ直しました。30法人で切ったのは、下位まで広げると1案件だけの法人が大量に並び、区画ごとの顔ぶれが読めなくなるためです。29位と30位は同じ692戸なので、同順位として両方を残しています。

先に結果を書きます。この30法人が登録している区画は30、法人と区画の組み合わせは51でした。そして30法人のうち22法人は、1つの区画にしか登録がありません。「どの会社がよいか」という問いは、実際には「どの区画を買うか」という問いとかなりの部分で重なっています。以下では、区画から法人を引く手順、顔ぶれが複数になる区画、この並べ方では読めない項目の順に見ていきます。会社を勧める記事ではありません。当社は値上がり、賃料収入、利回りのいずれも保証しません。

区画を決めると、候補は数法人まで絞られます

上位30法人の中でいちばん多くの法人が並ぶ区画は2つあり、どちらも5法人でした。1つはマディナ・アル・マター(Madinat Al Mataar)、もう1つはパーム・デイラ(Palm Deira)です。どちらも販売資料ではコミュニティの名前で紹介されることがありますが、登録簿に並ぶのはこの英語表記のほうです。

下の名簿は、この2つの区画に登録のある法人を、住戸数の多い順に並べたものです。会社の規模や評価の順位ではなく、その区画に案件の登録があるかどうかだけで選んでいます。

マディナ・アル・マターとパーム・デイラの2区画について、住戸数の上位30法人のうちその区画に案件を登録している法人を5件ずつ並べた名簿。各法人の登録案件数と、ほかの区画にも登録があるかどうかを添えている
左右の5法人は、それぞれの区画に案件の登録がある法人です。案件数はその法人が持つ案件の全体数で、この区画にある分だけの数ではありません。 出典:Dubai Land Department|Real Estate Dataの公開データをReheatが集計(登録簿の対象は2026年/確認日 2026-10-21)

マディナ・アル・マターの5法人のうち、DWTC EMAAR L.L.C、EMAAR DUBAI SOUTH DWC LLC、BT PROPERTIES DWC LLC の3法人は、この区画にしか登録がありません。残る AVENEW REAL ESTATE DEVELOPMENT L.L.C はパーム・デイラにも、ZOYA ONE REAL ESTATE DEVELOPMENTS L.L.C はさらに2つの区画にも登録があります。同じ区画で検討している相手でも、その会社にとってこの区画が全部なのか一部なのかは違います。一部であれば、別の区画で進む工事の状況も、その会社の資金と工程を分け合う相手になります。

パーム・デイラ側で目に付くのは LUNAI REAL ESTATE DEVELOPMENT L.L.C です。登録案件は1件ですが、台帳で状況が ACTIVE になっている案件は0件、エスクロー口座番号の記録も0件でした。同じ区画の SANDY SHORES REAL ESTATE L.L.C S.O.C は、同じ1件でも ACTIVE が1件、エスクロー口座の記録も1件です。同じ区画に並んでいることと、同じ状態にあることは別です。口座番号の記録がないことは口座が存在しないことを意味しませんが、台帳で確かめられないという事実はそのまま残ります。

上位30法人のうち22法人は、1つの区画にしか登録がありません

区画の側から見た顔ぶれが分かったところで、今度は法人の側から「いくつの区画に登録があるか」を数えます。下の図は、上位30法人をその数で分けたものです。

住戸数の上位30法人を登録のある区画の数で分けた棒グラフ。1区画だけが22法人、2区画が2法人、3区画が3法人、4区画が1法人、5区画が0法人、6区画が2法人
赤い棒が1区画だけに登録のある法人、緑の棒が2区画以上に登録のある法人です。5区画の法人は0でした。2区画・4区画・6区画の行には該当する法人名を添え、3区画の行だけは名前が長いため下の表に送っています。 出典:Dubai Land Department|Real Estate Dataの公開データをReheatが集計(登録簿の対象は2026年/確認日 2026-10-21)

22法人が1区画だけ、残る8法人が2区画以上です。ドバイの開発会社の多くは、特定の区画で案件を立ち上げているという形がそのまま出ています。1区画だけの法人を検討する場合、その会社の事業はその区画の売れ行きと工程に集中します。複数区画の法人なら分散しますが、そのかわり現場が離れた場所に分かれます。どちらがよいという話ではなく、気にするべき出来事の置き場所が変わります。

いちばん多い6区画に登録しているのは2法人で、Binghatti Developers FZE と EMAAR DEVELOPMENT P.J.S.C. です。区画の数は同じですが、中身は逆を向いています。前者は住戸13,363戸でヴィラは0棟、後者は住戸1,555戸でヴィラ4,884棟です。広がり方が似ていても、建てているものが違えば比べる相手になりません。

法人名 登録案件 住戸 ヴィラ 区画数 登録のある区画(DLDの表記)
Binghatti Developers FZE 16件 13,363戸 0棟 6 Al Barsha South Fifth/Al Barsha South Fourth/Nad Al Shiba First/Al Hebiah First/Al Jadaf/Wadi Al Safa 3
EMAAR DEVELOPMENT P.J.S.C. 19件 1,555戸 4,884棟 6 Dubai Investment Park Second/Al Yufrah 1/Business Bay/Al Yelayiss 5/Me’Aisem Second/Marsa Dubai
DANUBE PROPERTIES DEVELOPMENT L.L.C 4件 3,392戸 1,456棟 4 Madinat Dubai Almelaheyah/Al Safouh First/Al Barsha South Fourth/Al Rowaiyah First
SOBHA L.L.C 3件 4,120戸 0棟 3 Business Bay/Jabal Ali First/Al Yufrah 1
OBJECT ONE REAL ESTATE DEVELOPMENT L.L.C 4件 820戸 0棟 3 Al Barsha South Fifth/Palm Deira/Al Barsha South Fourth
ZOYA ONE REAL ESTATE DEVELOPMENTS L.L.C 6件 784戸 0棟 3 Wadi Al Safa 5/Saih Shuaib 2/Madinat Al Mataar
AZIZI DEVELOPMENTS L.L.C 9件 3,531戸 0棟 2 Jabal Ali Industrial Second/Al Jadaf
AVENEW REAL ESTATE DEVELOPMENT L.L.C 3件 843戸 0棟 2 Palm Deira/Madinat Al Mataar

並べ替えの基準は区画の数で、同じ数のときは住戸の多い順にしています。区画名は登録簿の英語表記のままです。法人名も同じで、カタカナに置き換えていません。登記された法人名と区画名は、読者がDLDの画面で照会するときの手がかりなので、日本語に直すと照会できなくなります。読み方は次の表に添えました。

顔ぶれが複数になるのは、30区画のうち14区画です

上位30法人が登録している区画は30ありました。そのうち、2法人以上が並ぶ区画は14です。残る16区画は、この30法人の中では1法人しか登録していません。つまり区画を決めた時点で、比較の相手が1社しかいない場合が半分あるということになります。

区画(読み) DLDの表記 上位30法人のうち 並んでいる法人
マディナ・アル・マター Madinat Al Mataar 5法人 DWTC EMAAR L.L.C/EMAAR DUBAI SOUTH DWC LLC/BT PROPERTIES DWC LLC/AVENEW REAL ESTATE DEVELOPMENT L.L.C/ZOYA ONE REAL ESTATE DEVELOPMENTS L.L.C
パーム・デイラ Palm Deira 5法人 CRESTARC DEVELOPERS L.L.C/AVENEW REAL ESTATE DEVELOPMENT L.L.C/OBJECT ONE REAL ESTATE DEVELOPMENT L.L.C/SANDY SHORES REAL ESTATE L.L.C S.O.C/LUNAI REAL ESTATE DEVELOPMENT L.L.C
アル・バルシャ・サウス 4 Al Barsha South Fourth 3法人 Binghatti Developers FZE/DANUBE PROPERTIES DEVELOPMENT L.L.C/OBJECT ONE REAL ESTATE DEVELOPMENT L.L.C
アル・バルシャ・サウス 5 Al Barsha South Fifth 2法人 Binghatti Developers FZE/OBJECT ONE REAL ESTATE DEVELOPMENT L.L.C
アル・ジャダフ Al Jadaf 2法人 Binghatti Developers FZE/AZIZI DEVELOPMENTS L.L.C
ワディ・アル・サファ 3 Wadi Al Safa 3 2法人 Binghatti Developers FZE/AURORA SPV 2 L.L.C
ワディ・アル・サファ 5 Wadi Al Safa 5 2法人 AURORA SPV 3 L.L.C/ZOYA ONE REAL ESTATE DEVELOPMENTS L.L.C
ビジネスベイ Business Bay 2法人 SOBHA L.L.C/EMAAR DEVELOPMENT P.J.S.C.
ジェベル・アリ 1 Jabal Ali First 2法人 SOBHA L.L.C/JAG DEVELOPMENT L.L.C
ジェベル・アリ・インダストリアル 2 Jabal Ali Industrial Second 2法人 AZIZI DEVELOPMENTS L.L.C/IMTIAZ JA REAL ESTATE DEVELOPMENT L.L.C
アル・ユフラ 1 Al Yufrah 1 2法人 SOBHA L.L.C/EMAAR DEVELOPMENT P.J.S.C.
マディナ・ドバイ・アルメラヘヤ Madinat Dubai Almelaheyah 2法人 DANUBE PROPERTIES DEVELOPMENT L.L.C/MINA RASHID PROPERTIES L.L.C
アル・サニヤ 5 Al Thanyah Fifth 2法人 ELLINGTON PCFC DEVELOPERS L.L.C/PALMA HOMES REAL ESTATE DEVELOPMENT L.L.C
サイフ・シュアイブ 2 Saih Shuaib 2 2法人 G F S REAL ESTATE L.L.C/ZOYA ONE REAL ESTATE DEVELOPMENTS L.L.C

この表でいちばん気をつけたいのは、区画名と通称の関係です。たとえば Marsa Dubai(マルサ・ドバイ)は、一般に「ドバイ・マリーナ」として知られる区域です。Al Thanyah Fifth(アル・サニヤ 5)のほうは、DLDに別途 Jumeirah Lakes Towers という区画があるため、通称のJLTと同じ範囲を指すとは限りません。通称で置き換えると、照会したときに別の区画の結果を見ることになります。販売資料に書かれたコミュニティ名ではなく、契約書と登録の画面に出る区画名で突き合わせてください。

同じ区画に複数の法人が並んでいることは、競合関係を示すものでもありません。登録簿には着工日と完成予定日の列があるので、同じ区画の案件が同じ時期に完成する予定なのか、年がずれているのかは案件ごとに確かめられます。完成予定が重なる区画では似た間取りが同じ時期に出てくる可能性がありますが、それが賃料や価格にどう効くかまでは、この台帳からは読み取れません。

区画で絞っても、その区画の戸数までは読めません

ここが、この並べ方のいちばん大きな制約です。当サイトの集計は法人を1行として作られていて、区画はその行に付いた一覧です。区画ごとの内訳は持っていません。

ディベロッパー別集計の1行に入っている項目と入っていない項目の対比。入っているのは法人名、案件の数、住戸とヴィラの合計、ACTIVEとエスクローの件数、区画名の一覧。入っていないのは区画ごとの住戸数の内訳、価格と販売の実績、引き渡しの時期、親会社との対応、前年以前の案件、品質や評判
左が1行に入っている項目、右が同じ行にない項目です。区画名は一覧として入っているため「登録があるか」は引けますが、その区画に何戸あるかは右側にあたります。 出典:Dubai Land Department|Real Estate Dataの公開データをReheatが集計(登録簿の対象は2026年/確認日 2026-10-21)

具体的に書きます。Binghatti Developers FZE の13,363戸は、6つの区画で登録した案件の合計です。このうちアル・ジャダフ(Al Jadaf)に何戸あるのかは、この集計からは出せません。同じように、EMAAR DEVELOPMENT P.J.S.C. のヴィラ4,884棟がどの区画に寄っているのかも分かりません。「この区画でいちばん供給している会社」という順位は、ここからは作れないということです。作ろうとすれば、案件ごとの行に戻って数え直すしかありません。

案件の側から確かめる窓口はDLDが用意しています。Project Status の照会は案件名か案件番号で引く画面で、案内には案件番号、面積、住戸の数、登録の日付、着工と完成の予定、所在、ディベロッパーの情報、管理会社、エスクロー口座の情報が表示されると書かれています。利用の入口としてはDubai RESTのアプリが案内されています。法人名の側から案件の一覧を出す画面ではありませんので、先に案件名か番号を手元にそろえてから開くことになります。

住戸の列で切っているので、ヴィラ中心の法人は入りません

もう1つの制約は、上位30法人の選び方そのものにあります。住戸の列で切ったため、ヴィラだけを登録している法人は、この30法人に入っていません。当サイトの集計では、住戸が0戸でヴィラを4,659棟登録している法人があります。区画から法人を引きたい読者が戸建てを探しているなら、同じ手順をヴィラの列で切り直す必要があります。住戸とヴィラが別の列であることと、その切り方で順位が入れ替わることは、ディベロッパー別データの読み方にまとめています。

名前による束ね方にも同じ注意が要ります。この記事の表でも、EMAAR の語を含む法人が3つ、別々の行として並んでいます。登録簿に親会社の列がないため、同じグループかどうかをこのデータだけで確かめることはできません。当サイトは名寄せをしていないので、表の行はそのまま登記された法人の単位です。束ねたい場合は、束ねる根拠を自分で持ったうえで行ってください。

区画から比べるときの、確認の順番

ここまでの内容を、実際に動かす順番に置き換えます。1番目と2番目がこの記事の表と図で、3番目から先はDLDの画面と各社の開示に移ります。

ドバイ土地局のオープンデータのページで、取引・賃貸・プロジェクト・ディベロッパーなどのデータセットが期間を指定して取得できる形で並んでいる画面
引用キャプチャこの記事の集計のもとになっているDLDのオープンデータの画面です。配られているのは Transactions、Rents、Projects、Valuations、Land、Buildings、Units、Brokers、Developers の9つで、同じ画面に前年以前のデータは data.dubai へという案内が出ています。画面は2026-09-29に取得したもので、9つのデータセットと案内が同じ形で出ていることを2026-10-21に再確認しました。 出典:Dubai Land Department|Real Estate Data(オープンデータ)(確認日 2026-10-21/表示のファーストビュー)
順番 確かめること 見る場所
1 買う区画に登録のある法人を洗い出す プロジェクトの登録簿(この記事の表と図)
2 その法人が、ほかの区画にも登録しているか 同じ登録簿の区画名の一覧
3 案件の状況とエスクロー口座の記録 DLDの Project Status 照会(案件名か案件番号)
4 法人の登録番号と免許の有効期限 Developer のデータセット
5 財務を読めるかどうか その法人の投資家向け開示(出している会社だけ)

3番目から5番目は、区画を決めたあとでも法人ごとに違いが出るところです。免許の有効期限は取得した時点の値なので、いま有効かどうかはDLDの画面で確かめてください。財務については、開示を出している会社と出していない会社があり、同じ列に並べられません。読める場合にどの数字を見るかは、ディベロッパーの決算はどこで読むかで扱っています。

区画の中での比較に移ったあとも、登録簿で分かるのは事実の確認までで、評価にあたる列は1つもありません。品質、評判、引き渡しを守ってきたかどうかは、この台帳の外側にあります。比較の列そのものをどう選ぶかという話は、ディベロッパー比較で並べられる項目に整理しました。

この並べ方の限界

最後に、この記事の数字で言えないことを並べておきます。まず、集計の対象は2026年に登録が記録された案件だけです。DLDの照会画面が当年しか返さないため、前年以前に登録された案件は入っていません。長く事業を続けている法人ほど、ここでは小さく出ます。完成済みの案件も対象外です。

次に、ここでいう「登録がある」は、計画が台帳に記録されたという意味です。売れた戸数でも、完成した戸数でもありません。区画ごとの価格や利回りを知りたい場合は、登記された売買と賃貸のデータのほうを見てください。区画ごとの数値はエリア別データに分けてあります。

そして、この記事にある順位らしきものは住戸の列で上位30法人を切った、という1点だけです。会社の優劣を示す並びではありません。同じ条件で切り直せば、誰が作っても同じ30法人になります。期間と列を変えれば顔ぶれも変わるので、引用するときは集計の対象期間と確認日ごと持っていってください。法人ごとの入口はドバイのディベロッパーに置いています。