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DLDが不動産の専門教育を拡大|担当者の資格はどう変わるか

ドバイ土地局が2026年9月8日にIPS 2026で示した専門教育の拡大について、HCTのディプロマ90時間の中身、ドバイ大学との学位課程、いま仲介人に課されている年次試験と実務カードの条件を、政府の公表資料だけで整理します。

DLDが不動産の専門教育を拡大|担当者の資格はどう変わるか - Reheat

ドバイ土地局(Dubai Land Department、DLD)は2026年9月8日、国際不動産展示会IPS 2026の会場で、不動産分野の専門教育と人工知能の活用を広げる取り組みを示しました。教育の側で名前が挙がったのは2つで、1つはHigher Colleges of Technology(HCT)と組んだLevel 4のディプロマ、もう1つはドバイ大学(University of Dubai)と整備している証書から大学院までの道筋です。

先に、日本から物件を買おうとしている読者にとっての位置づけを書きます。これは自分が受ける手続きの話ではありません。学ぶのはドバイで不動産の仕事に就く人で、買主が申し込む窓口ではないからです。それでも読む価値があるのは、売買を任せる相手の資格が何によって担保されているのかが、この発表を通して政府の資料で確かめられるためです。この記事では、発表の中身、課程の書かれ方の食い違い、いま仲介人に課されている条件、そして書かれていないことの順に並べます。当サイトが推測で補った数値はありません。

発表の中身は、教育とAIの2つに分かれます

今回の発表は、9月7日から9日まで開かれたIPS 2026でのDLDの取り組みを伝える内容です。会場では「The Era of Agentic AI: From Chatbots to Digital Colleagues」と題した討議が行われ、DLDのData Planning and Governance Section ManagerであるEman Taher氏が進行を務め、Emirates Real Estate Solutions(ERES)のCEOであるKhalifa Al Zeraim Al Suwaidi氏、HCTのDr Amal Al-Masafri、ドバイ大学経営学部のDr Ahmed Al-Shuaibiが加わったと書かれています。氏名は登録や照会の手がかりになるため、発表に載っている表記のまま出します。

AIの側で名前が挙がったのは、Initial Registration、Dubai RESTアプリ、First Time Home Buyer Programme、そして多チャネルの案内役であるMalikです。このうちInitial Registrationは9月3日に開始が発表されたばかりのもので、当サイトではInitial Registrationの解説にまとめています。発表では、AIが「答えを返す道具から、作業の実行を支える相手へ変わりつつある」という趣旨の説明がされています。これは方針の説明であって、達成された処理件数の一覧ではありません。実際に何件をAIが処理したのかという数字は、この発表にも書かれていません。

読み方として大事なのは、9月8日の発表が制度の新設ではないという点です。ディプロマそのものは2026年1月19日に立ち上げが発表されており、今回はその中身と、その先に伸ばす学位の道筋が示されたかたちです。

ドバイ土地局の、不動産分野の技術革新と専門教育の拡大を伝える2026年9月8日の発表ページの表示
引用キャプチャHCTのディプロマとドバイ大学との学位課程、そしてAIの活用を同じ発表で並べているドバイ土地局のページです。受講できる人の条件と第1期の開講日は、このページにも書かれていません。 出典:Dubai Land Department|Dubai Land Department opens new horizons for innovation and specialised education in the real estate sector(確認日 2026-09-11/表示のファーストビュー)

ディプロマは「90時間」と「90単位」で書かれ方が違います

課程の名前は、DLDの発表ではLevel 4 Diploma in Real Estate and Property Managementとされ、National Qualifications Centreの認定を受けていると書かれています。学習の量は「2学年にわたる90時間の学習」で、実地研修の期間が2回含まれ、第1期は2026年秋に始まる予定です。

一方、HCTが公開している学修要覧では、同じ名称の課程がDPREMという記号で載っており、2年(4学期)で90単位(credits)と書かれています。数字は同じ90ですが、時間と単位は別の数え方です。

項目 DLDの発表(2026年9月8日) HCTの学修要覧(確認日 2026年9月11日)
課程の名前 Level 4 Diploma in Real Estate and Property Management Diploma in Real Estate and Property Management
量の表し方 90時間の学習 90単位
期間 2学年 2年(4学期)
実地研修 2回の期間が含まれる 必修科目の中に実務の科目が並ぶ
認定 National Qualifications Centre 記載を確認できませんでした

どちらかが誤りだと決めつけられないので、両方を出典と確認日つきで並べます。90時間と90単位がどう対応するのかは、どちらの資料にも書かれていません。授業時間として読むと2学年で90時間は少なく見えますが、単位として読むとまったく別の分量になります。ここを当サイトの側で「おそらくこうだろう」と埋めることはしません。

学ぶ内容は1月19日の発表に列挙されています。不動産の管理、評価と鑑定、仲介、所有者や借主との関係、そして不動産サービスの販売促進です。同じ発表では、実地研修の受け入れなどでEmaar Properties、Sobha Realty、Aldar Properties、Omniyat Developments、Azizi Developments、Danube Properties、Ellington Propertiesと協定を結んだことも伝えられています。

2026年1月19日のディプロマ立ち上げ発表、2026年9月8日のIPS 2026での提示、2026年秋の第1期開講予定、時期が公表されていないドバイ大学の学位課程という4つの段を並べた年表
4段のうち日付が公表されているのは左の2つだけです。右の2つは「秋」「整備中」としか書かれていないため、灰色の丸にしています。 出典:Dubai Media OfficeDubai Land Department(確認日 2026-09-11)

この課程は、いまの資格を置き換えるものではありません

ここが読者にとって実務上いちばん大事なところです。ディプロマの修了が、仲介の免許や実務カードの要件になるとは、9月8日の発表にも1月19日の発表にも書かれていません。いまドバイで不動産の活動を行う人に課されているのは、学校の課程ではなく、DLDのサービス案内に並んでいる次の条件です。

案内には「免許に登録された活動は、登録して実務カードを取得した後でなければ行う権利がない」と書かれています。つまり会社が免許を持っていることと、目の前の担当者が活動できることは別に確かめる必要があります。条件として挙がっているのは、ドバイ警察が発行する無犯罪証明と、仲介の職を行うための年次試験の合格です。試験については免除の扱いもあり、55歳を超える人、同じ不動産事務所で5年続けて勤務しているブローカー、スタートアップ免許の保有者が挙げられています。

項目 案内に書かれている内容
実務カードの費用 AED 500(ブローカー、国民ブローカー、コンサルタント、抵当仲介、管理、登録などの各カード)
不動産評価士のカード AED 5,000
ブローカーの試験 AED 700 に、知識料 AED 10 と革新料 AED 10 が加わる
ERESの手数料 AED 50 に付加価値税
カードの有効期間 商業免許の有効期間に連動する

出典はDLDのIssuance of a real estate professional practice cardの案内、確認日は2026年9月11日です。金額はAEDのまま示します。円に換算すると、読者が窓口で示される額と突き合わせられなくなるためです。

いま運用されている実務カードと年次試験の条件、費用、有効期間、試験の免除と、発表で示された学校の課程の名前、学習の量、開講時期、人数、学位への広がりを左右に並べて比較した図
左はDLDのサービス案内に書かれている現行の条件、右は2つの発表で示された課程です。両者を結ぶ規定は、当サイトが確認した範囲のどの資料にも書かれていませんでした。 出典:Dubai Land Department|Issuance of a real estate professional practice card(確認日 2026-09-11)

学位の道筋は、まだ整備の途中です

ドバイ大学との取り組みとして発表に並んでいるのは、証書、ディプロマ、学士、大学院の学位、継続教育、実務の研修、応用的な学習、そして業界の専門家との接点です。このうち具体名が出ているのは不動産の学士課程で、金融、投資、評価、不動産の規制、資産の管理、不動産テクノロジーを扱うと書かれています。

ただし、開講の時期も、定員も、入学の条件も、学費も書かれていません。ドバイ大学の側で募集が始まっているかどうかも、この発表からは分かりません。整備している最中だという説明にとどまります。同じ発表の中でも、ディプロマは開講の季節まで示されているのに対し、学位課程は段階が1つ手前にあると読むのが素直です。

数字で見ると、対象はまだ小さい

1月19日の発表には、規模を測るための数字がいくつか入っています。ディプロマは1期あたり40人を対象とすると書かれており、Real Estate Empowerment programmeを通じて2024年以降に1,800人のUAE国民が不動産分野で就業したこと、UAE国民のブローカーが2,028人(うち女性が426人)いること、2025年の不動産取引額がAED 917 billionだったことが並んでいます。

1期40人という数は、2,028人というUAE国民のブローカーの層に対しても、AED 917 billionの市場に対しても、すぐに効くものではありません。この課程は、いま取引を担当している人の質を短期間で底上げする仕組みではないということです。効果を見るなら、年ごとに公表される就業者数やブローカー数の推移を追うことになります。当サイトも、次に数字が公表された時点でこの記事へ追記します。

なお、UAE国民を対象にした別の取り組みとして、Dubai Real Estate Brokers Programがあります。DLDのサービス案内では、対象を「ブローカー免許を持たないUAE国民」とし、修了後の道筋として国民ブローカー免許の取得か、不動産会社への就職の2つを挙げています。第2期は必要な人数に達したため登録を締め切ったと案内に書かれており、次の期については公式の告知を待つ形です。

日本の読者が確かめられること

売買を任せる相手について、いま照会できるのは学歴ではなく登録です。会社の免許と担当者のカードは別に確かめる必要があり、その手順は仲介会社の選び方にまとめています。監督の枠組みそのものはRERAとDLDの役割の解説を見てください。

「ディプロマを持っている」と説明された場合は、課程の名前と発行した機関を聞いてください。今回の課程はまだ始まっておらず、第1期の修了者が出るのは、2学年の課程を終えたあとです。学位や資格の呼び名は似たものが多く、修了を照会できる公式の窓口は、当サイトが確認した範囲では公表されていません。照会できないものを信用の根拠にしないでください。

制度の動きは不動産政策・規制で追い、市場の数字はドバイの不動産データから確認できます。当社は不動産の値上がりも賃料収入も利回りも保証しません。担当者の資格が整うことと、個別の物件の条件がよいことは別の話です。

発表に書かれていないこと

推測で埋めずに、そのまま並べます。

  • ディプロマを受講できる人の条件(国籍、居住、学歴)
  • 第1期の開講日、応募の方法、締め切り
  • 90時間と90単位がどう対応するのか
  • 修了が実務カードや免許の要件になるかどうか
  • ドバイ大学の学位課程の開講時期、定員、学費
  • 修了者を第三者が照会できる窓口の有無
  • AIが実際に処理した申請の件数と、対象になった書類の種類
  • Dubai Real Estate Brokers Programの次の期の時期

これらが公表された時点で、出典と確認日を添えてこの記事に足します。教育課程を紹介する記事の中には、受講資格や費用にまで踏み込んでいるものもありますが、当サイトでは政府の資料で確かめられない事項は書きません。読者が同じページを開いて、同じ結論に行き着けることを優先します。