サディヤット島/ニュース

DMTがMid-Island Parkway第1期を発表|2027年完成予定

DMTが2026年10月1日に公表したMid-Island Parkway第1期について、費用AED 2.85 billionと区間の内訳、所要時間の見込み、そして発表に書かれていない項目を分けて整理します。

アブダビ自治体交通局(Department of Municipalities and Transport、以下DMT)が、Mid-Island Parkway の第1期を2027年に完成させる予定だと発表しました。公表は2026年10月1日、アブダビで開かれた LIVEX 2026 の場でです。第1期の費用はAED 2.85 billion、区間はサディヤット島(Saadiyat Island)から Umm Yifeenah Island Central Interchange までとされています。

先に申し添えると、これは道路の発表です。価格や家賃、利回りの見通しはこの記事には出てきません。発表に含まれているのは道路の規模と所要時間の見込みだけで、不動産の数値は一つも入っていないからです。移動時間が短くなることと、物件の価値がどう動くかは別の話で、後者を示すデータは今回の公表物にありません。

この記事では、発表に書かれている数値、書かれていない項目、そして「第1期」という言葉が2つの発表で別の区間を指しているという読み替えの落とし穴を、順に分けて並べます。出典はすべてアブダビ政府の発表とUAE政府のポータル、つまり政府機関そのものの公表で、報道をもとにした記述は含めていません。

第1期として公表されたのは、どこからどこまでか

発表によれば、完成した第1期は往復8車線の分離された道路になります。起点はサディヤット島の既存の北側インターチェンジで、これは幹線のE12に接しています。そこから島の南端へ下り、さらに Umm Yifeenah Island へ渡る、という説明です。終点として挙げられているのが Umm Yifeenah Island Central Interchange です。

構造の内訳も数値で示されています。2キロメートルぶんが埋め立てた土地で、その保護のために岩で覆う面積が150,000平方メートル。残る1.5キロメートルは地下の水路構造で、そのうち600メートルは Khor Laffan の下を通る水中の区間、深さは11メートルと書かれています。歩行者と自転車のための道も4キロメートル分が加わり、既存の道とつながって連続12キロメートルの経路になるとされています。

E12の北側インターチェンジからサディヤット島の南端を経てUmm Yifeenah Island Central Interchangeまでを1本の線で示し、埋め立て2キロメートル・地下区間1.5キロメートル・歩道と自転車道4キロメートル・往復8車線という内訳を4枚のカードで並べ、下段に省エネ照明23,000メートルと灌水設備14,000メートルを置いた図
カードの数値は、すべて今回の発表に書かれているものです。区間の長さが用途ごとに示されている一方、合計の延長は示されていません。 出典:Abu Dhabi Media Office|DMT to complete phase one of Mid-Island Parkway in 2027(確認日 2026-10-05)

環境面の設備についても規模が出ています。省エネ型の照明が23,000メートル、灌水の設備が14,000メートルで、乾燥に強い在来の植栽と組み合わせるという書き方です。資材は地元調達と再生材を優先するとも書かれています。これらは工事の内容であって、完成後の維持管理の費用がどこから出るのか、住民や所有者の負担になるのかは発表の対象外です。

発表に書かれている項目 記載の内容
第1期の費用 AED 2.85 billion
完成の予定 2027年(月の記載はありません)
区間 サディヤット島(E12の北側インターチェンジ)〜島の南端〜Umm Yifeenah Island Central Interchange
車線 往復8車線の分離された道路
埋め立て 2キロメートル。保護の岩で覆う面積は150,000平方メートル
地下の区間 1.5キロメートル。うち600メートルがKhor Laffanの下の水中区間(深さ11メートル)
歩道・自転車道 4キロメートル。既存とつないで連続12キロメートル
照明 省エネ型を23,000メートル
灌水 14,000メートルの設備。在来の乾燥に強い植栽と組み合わせる

表に入れていない項目のうち、読者の判断に効くものを後ろの節で改めて並べます。発表は工事の内容を細かく書く一方、通行の条件や料金については何も触れていません。

「25分から10分へ」は、発表上の見込み値です

もっとも引用されやすいのがこの部分でしょう。発表は、開通後にReem島またはアブダビ本島への所要時間が25分から10分へ短くなる見込みだと書いています。原文は見込みを示す書き方で、実測値ではありません。

注意したいのは、同じ発表の中に対象の区間が違う所要時間が3つ並んでいることです。25分から10分への短縮は第1期の区間についての記載、約7分は第2期が開通したあとの島をまたぐ中央区間の記載、15分未満はサディヤット島とZayed Cityという全体の両端についての記載です。この3つは比べる対象が違うので、足したり引いたりして使えません。見出しだけを読むと「10分で着く」という一つの数字に見えてしまいますが、どの区間の話かを必ず添えて読んでください。

サディヤット島からReem島または本島へが現在25分で第1期開通後は10分、第2期開通後の中央区間が約7分、サディヤット島からZayed Cityまでが全体の完成後に15分未満という4本の横棒を、0分から30分の目盛りの上に並べた図
同じ区間を比べているのは上の2本だけです。下の2本は別の区間で、しかも開通の時期が決まっていません。破線の棒は「未満」という書き方のため、上限しか公表されていないことを示しています。 出典:Abu Dhabi Media Office|DMT to complete phase one of Mid-Island Parkway in 2027(確認日 2026-10-05)

さらに、所要時間の前提が示されていません。どの時間帯の話か、どの経路を通った場合か、起点と終点を具体的にどこに置いた計算かは、いずれも発表に書かれていません。通勤の時間帯と休日の昼で所要時間が変わるのは、どの都市でも同じです。公表された数字は、条件の説明がないかぎり「条件つきの見込み」として扱うのが安全です。当サイトは、この数字を物件選びの決め手として示すことはしません。

「第1期」が、2つの発表で別の区間を指しています

ここが、この話題でもっとも取り違えやすい部分です。Mid-Island Parkway という名前は今回が初出ではありません。2023年2月9日にアブダビ政府が公表した Umm Yifeenah Bridge の開通の発表は、この橋そのものを「Mid-Island Parkway の第1期」と説明しています。橋は全長11キロの6車線で、1時間あたり片方向6,000の通行(往復で12,000)に対応するとされ、Aldar がDMTと組んで建設したと書かれています。結ぶ先として挙げられているのは、アル・リーム島(Al Reem Island)とUmm Yifeenah Island、そしてSheikh Zayed bin Sultan Streetです。

一方、今回の発表が「Phase One」と呼んでいるのは、サディヤット島側の新しい区間です。つまり、同じ事業名のもとで「第1期」という語が、すでに開通している橋とこれから2027年に完成する区間の両方に使われていることになります。どちらかが誤りというより、事業の区切り方が時期によって変わったと読むのが素直です。それでも、検索で出てくる記事を年の区別なしに並べると、「第1期は開通済み」と「第1期は2027年完成」という矛盾した情報が同時に目に入ります。

2023年2月9日のUmm Yifeenah Bridge開通、2026年10月1日のDMTの発表、2027年の第1期完成予定、時期未公表の第2期を左から並べ、下段で2023年の発表でいう第1期と2026年の発表でいうPhase Oneが別の区間であることを対比した年表
下段の2つの枠が、同じ「第1期」という語の指す対象の違いです。左は開通済みの橋、右はこれから完成する区間で、どちらもアブダビ政府の発表に基づいています。 出典:Abu Dhabi Media Office|Khaled bin Mohamed bin Zayed inaugurates Umm Yifeenah Bridge(確認日 2026-10-05)

もう一つ、2023年の発表にはより大きな道路網を2028年までに完成させる予定という記載があります。今回の発表には、第2期の着工時期も完成時期も、全体の完成年も出ていません。予定の年が公表物から消えているとき、当サイトは古い年を現在の予定として書き写しません。2028年という年は「2023年の発表時点での予定」として扱い、現時点の予定としては扱わないのが正しい読み方です。

第2期と全体像は、距離と所要時間だけが出ています

第2期について公表されているのは、Umm Yifeenah Island から先へ14.5キロメートル延びること、片側4車線であること、そして中央区間の所要時間が約7分に短くなる見込みであることです。接続先としては、アル・リーム島やサディヤット島に加え、Al Raha Beach やKhalifa City といった本島側の地区が事業の説明に登場します。全体が完成した場合、両端となるサディヤット島とZayed Cityのあいだが15分未満になるという見込みも示されています。

第2期・全体についての記載 公表されている 公表されていない
距離 第2期は14.5キロメートル 第1期の合計延長
車線 片側4車線 開通時の運用(通行の制限など)
所要時間 中央区間で約7分の見込み 計算の前提(時間帯・経路)
全体の所要時間 サディヤット島〜Zayed Cityで15分未満の見込み その前提と、達成の時期
費用 第1期はAED 2.85 billion 第2期と全体の費用
時期 第1期は2027年完成予定 第2期の着工・完成の時期

あわせて、DMTは同じ場で別の道路計画も示しています。Al Hudayriyat Island とE11のAl Noufを結ぶ沿岸ルートで、全長37キロメートル、片側3車線という規模です。名前が似ていないので混ざりにくいものの、「アブダビで大型の道路計画が複数動いている」という文脈で語られたときは、どの計画の話かを確かめてください。Mid-Island Parkway の第2期と、この沿岸ルートは別の事業です。

つながる先が「外国人が買える区域」とは限りません

不動産を検討する立場で読むなら、ここがもっとも実務的な論点です。道路がつながる地区の中には、外国人が不動産の権利を取得できる区域と、そうでない区域が混ざっています。UAE政府のポータルは、アブダビで外国人が所有できる区域として9つを名前で挙げています。Yas Island、Saadiyat、Reem、Mariya、Lulu、Al Raha Beach、Sayh Al Sedairah、Al Reef、Masdar Cityです。

UAE政府ポータルの、外国人によるアブダビでの不動産取得を説明するページの表示
引用キャプチャアブダビで外国人が不動産を所有できる区域と、取得できる権利の区分を列挙しているUAE政府のページです。今回の道路がつながる地区のうち、どれがこの一覧に入っているかはここで確かめられます。画像は当サイトが別記事のために取得したものを再利用しています(画像の取得日 2026-09-03/掲載内容の確認日 2026-10-05)。 出典:UAE Government|Expatriates buying a property in the UAE(表示のファーストビュー)

この一覧と、今回の道路の説明に出てくる地名を突き合わせると、扱いが分かれます。

道路の説明に出てくる地名 外国人が所有できる9区域の一覧 当サイトの個別ページ
Saadiyat(サディヤット島) 載っています サディヤット島の不動産
Reem(アル・リーム島) 載っています アル・リーム島の不動産
Al Raha Beach 載っています ありません
Umm Yifeenah Island 載っていません ありません
Khalifa City 載っていません ありません
Zayed City 載っていません ありません

「載っていません」は、買えないと断定したものではなく、UAE政府のポータルが挙げる一覧に名前が無いという事実の記載です。区域の扱いは制度の変更で動きますし、同じ島でも区画によって扱いが違うことがあります。取得できるかどうかは、契約の対象になっている区画と住戸について書面で確かめる項目です。区域ごとの表記のばらつきと照会のしかたはアブダビのエリア比較に分けてまとめています。

取得できる権利の区分も、このポータルに書かれています。住戸についての所有が99年、建築や改変をともなうmusatahaが50年で同じ期間の更新が可能、使用と収益に関するusufructが99年、長期リースは最初の期間が25年以上という説明です。権利の区分ごとの違いはアブダビの不動産所有形態に書いています。

道路の発表から、不動産の数字は出てきません

交通の便が良くなるという話は、どの国でも不動産の宣伝文句になります。ただし今回の発表は道路の仕様と所要時間の見込みを示したものであって、価格、家賃、空室、利回りについては何も述べていません。当サイトは値上がり、賃料収入、利回りのいずれも保証しません。発表に無い因果関係を当サイトが補って書くこともしません。

その代わりに使えるのが、登録された取引そのものです。アブダビでは不動産の取引が登記の仕組みを通じて記録され、公表の形で集計されています。道路の開通が地区の取引にどう響くかを見たいなら、開通の前後で同じ定義の集計を並べるのが唯一の方法です。定義をそろえないまま前後を比べると、制度変更や集計範囲の変化を道路の効果と読み違えます。見方の手順はアブダビの不動産取引データにまとめています。

もう一つ、生活の実感に近い論点として通行の費用があります。アブダビには時間帯で課される通行料の仕組みがあり、どの道路が対象になるかは決定で定められます。今回の発表には、この新しい道路が料金の対象になるかどうかの記載がありません。通勤の費用を見積もる段では確かめる項目になるので、当サイトのアブダビの生活費とあわせて、決定の公表を待つことになります。

発表に書かれていない項目

推測で埋めず、そのまま並べます。いずれも今回の発表と、参照した政府の公表物に記載が無いと確認した項目です。

読者が知りたい項目 今回の発表での扱い
第1期の開通の月・日 記載がありません(年のみ)
工事の進捗率 記載がありません
施工を担う事業者 記載がありません
通行料の対象になるか 記載がありません
第1期の合計延長 記載がありません(区間ごとの長さのみ)
第2期の着工・完成の時期 記載がありません
第2期・全体の費用 記載がありません
工事期間中の交通規制 記載がありません
沿線の開発計画との関係 記載がありません

DMTの基盤整備部門の責任者は今回の発表で、設計から引き渡しまでの各段階で、暮らしやすさと観光・交易・物流といった分野への影響を考えて進めていると述べています。方針の説明であって、工期や費用を約束した記載ではありません。

自分で確かめるときの順序

この話題を追うなら、次の順で見ると取り違えが減ります。

  • 年を必ず確認する。「第1期」は2023年と2026年の発表で指す区間が違います
  • 所要時間は区間名とセットで記録する。25分と10分だけが同じ区間の比較です
  • 予定の年は、最新の公表物にある年だけを使う。2028年は2023年時点の予定です
  • 地名が出てきたら、外国人が所有できる9区域の一覧に載っているかを確かめる
  • 価格や家賃の話が混ざっていたら、その数値の出典が道路の発表ではないことを確かめる

アブダビ側の制度と発表は不動産政策・規制に、島ごとの状況はアブダビのエリアにまとめています。

当サイトが確認していないこと

工事の進捗、施工事業者、通行料の扱い、第1期の合計延長、第2期の時期と費用、そして道路の開通が周辺の不動産の価格や家賃に与える影響です。いずれも発表に記載が無いか、一次情報で確かめられませんでした。確かめられていないことを、確かめたように書くことはしません。

第2期の時期や費用が公表され、内容を確認できた時点でこの記事を更新します。更新は、公表された数値をこの記事の該当箇所へ反映する形で行い、確認した日は記事の管理情報として残します。