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ドバイ不動産のエリア比較|区画の単位をそろえて件数で並べる

ドバイのエリアを同じ指標で並べる前に、DLDの区画という単位をそろえる手順を示します。登記件数の上位10区画、単価で並べ替えると順位が入れ替わること、通称と区画名が食い違う3組を、DLDのオープンデータの集計で確かめます。

ドバイのエリアを比べようとして価格や利回りを集め始めると、たいてい途中で手が止まります。同じ場所のはずなのに資料によって名前が違い、ある資料にしか出てこない地区が混ざるからです。先に決めるのは、どの数字で比べるかではありません。比べる単位をそろえることです。ドバイの不動産の記録は、Dubai Land Department(DLD、ドバイ土地局)が区画ごとに持っています。この区画が単位になります。地図を見たときの感覚でも、広告に書かれた地区名でもありません。

この記事は、どのエリアを買うべきかを決めるものではありません。DLDが公開している売買と賃貸の記録を当サイトが集計し、同じ単位・同じ指標・同じ期間でそろえた並びを示したうえで、その並びをどこまで読んでよいかを書きます。当社は値上がり、賃料収入、利回りのいずれも保証しません。水準そのものの数字は本文へ書き写さず、期間と集計の定義を添えて図と表に置いています。本文に写すと、データを更新したときに本文だけが古いまま残るためです。

先に結論です。件数で並べると、日本語の記事でよく名前の挙がる地区は上位にほとんど出てきません。並ぶのは、分譲が集中した区画です。そして並べ替えの指標を単価に変えると、同じ10区画の中で順位が入れ替わります。どちらも公表された記録から再現できる正しい並びで、どちらも「人気」の順位ではありません。

比べる単位は、データの「Area」という1列です

DLDのオープンデータのページには9つのデータセットが並んでいて、売買(Transactions)、賃貸(Rents)、プロジェクト、評価、土地、建物のいずれにも「Area」という列があります(確認日 2026-10-05)。エリアごとの比較というのは、結局この列の値で記録を分けているだけです。だから、この列に無い切り口では比べられません。たとえば駅からの近さで比べたい場合、同じデータセットには「Nearest Metro」「Nearest Mall」「Nearest Landmark」という別の列が用意されていて、エリア名とは独立しています。Area列で分けるのか、最寄りの施設で分けるのかを、先に選ぶ必要があります。

Dubai Land Departmentのオープンデータ案内ページの表示。データセットの一覧が並んでいる
引用キャプチャこの記事でエリアを並べるために使った売買と賃貸の記録が配られているページです。エリアの評価や人気度にあたる列は、ここで配られるデータセットには含まれていません。 出典:Dubai Land Department|Real Estate Data(オープンデータ)(キャプチャ取得日 2026-09-29/表示のファーストビュー。データセットと列の構成は 2026-10-05 に同じページで再確認しました)

当サイトの集計は、このArea列の値を大文字小文字だけそろえて数えています。記録が立っている区画の数は二百を超えます。行政の区画でもなく、開発計画の名前でもない並びなので、日本語の記事で見かける「エリア」とは粒度が違います。大型プロジェクトがそのまま1区画になっていることもあり、隣り合う場所が別の名前で載っていることもあります。比較表の行を決める作業は、この区画名を選ぶ作業と同じです。

通称から区画名を機械的に当てることはできません

日本語の通称と、DLDのデータにある区画名の対応を3組並べた表。ドバイ・マリーナはMarsa DubaiとDUBAI MARINA、JLTはAl Thanyah FifthとJUMEIRAH LAKES TOWERS、ダマック・ヒルズはAl Hebiah FifthとDAMAC HILLSが別々に載っている
3組のいずれも、①と②の両方の名前がデータにあります。通称がどちらに結び付くかは組ごとに違い、ドバイ・マリーナは①側、JLTとダマック・ヒルズは②側に付きます。 出典:Dubai Land Department|Real Estate Dataの区画名をReheatが整理(確認日 2026-10-05)

図の①と②は、どちらも当サイトの区画名辞書に別の区画として載っています。注意したいのは、通称がどちらに結び付くかが組ごとに違う点です。「ドバイ・マリーナ」は Marsa Dubai に結び付けていますが、「JLT」は Al Thanyah Fifth ではなく JUMEIRAH LAKES TOWERS の側に付きます。名前の近さで機械的に寄せると、別の区画の記録を混ぜることになります。当サイトが読みだけでなく英語の表記を必ず並べて出しているのは、この取り違えを読者が自分で確かめられるようにするためです。カタカナは読み方の目安で、公式の表記ではありません。

記録の立ち方も偏ります。賃貸と売買がどちらも30件以上あり、表面利回りまで計算できた組み合わせに現れたのは、3組とも①の側でした。つまり通称だけで探すと、取引が記録されている側の区画を見落とします。エリア別のデータ一覧はカタカナでも英語でも通称でも引けるようにしてあるので、手元の資料にある名前をそのまま入れて、どの区画名に記録があるのかを確かめてください。

そろえるもの 決めること 確かめ方
単位 DLDのどの区画名で数えるか 英語の表記で一覧を引き、似た名前が別にないか見る
指標 件数・価格・単価・面積・オフプラン比率のどれで並べるか 指標を変えて並べ直し、順位が動くかを見る
期間 いつからいつまでに登記された記録か 手元のデータに実際に入っている日付を読む

件数で並べると、上位は分譲が集中した区画になります

登記された売買の件数が多いドバイの区画を上位10まで横棒で並べた図。Madinat Al Mataarが11,269件で最も長く、2番目のJUMEIRAH VILLAGE CIRCLEは6,912件
並べ替えの基準は、期間内にDLDへ登記された売買の件数だけです。抵当権の設定と贈与の登録は含めていません。先頭の棒だけが飛び出しているのは、分譲の集中が件数に表れるためです。 出典:Dubai Land Department|Real Estate Dataの記録をReheatが集計(期間 2026-01-01〜2026-08-25/確認日 2026-10-05)

並べ替えの基準は、期間内に登記された売買の件数という1つの値だけです。上位10区画の合計で、ドバイ全体の件数の約4割になります。ここで大事なのは、件数が多いことは良い投資先を意味しないことです。件数は、その区画でどれだけ分譲が行われたかに強く引っ張られます。下の表のオフプラン比率を見ると、上位10のうち4つが9割を超えています。これは分譲が進んだ記録で、完成済みの住戸の売買が積み上がっているわけではありません。掲載の順番は評価の順番ではありません。

区画名(読み)登記件数(件)全体比(%)価格の中央値(AED)平米単価の中央値(AED/㎡)専有面積の中央値(㎡)オフプラン比率(%)
1. Madinat Al Mataar(マディナ・アル・マター)11,26910.2948,00018,16761.497.5
2. JUMEIRAH VILLAGE CIRCLE(ジュメイラ・ビレッジ・サークル)6,9126.31,029,84715,82570.657.4
3. Business Bay(ビジネスベイ)4,4704.02,275,00026,96383.852.2
4. DUBAI LAND RESIDENCE COMPLEX(ドバイ・ランド・レジデンス・コンプレックス)4,4644.0819,67615,41066.391.4
5. Al Yelayiss 1(アル・イェライス 1)3,6443.32,903,00019,611144.091.6
6. MAJAN(マジャン)3,5513.2728,00015,67247.582.5
7. Palm Deira(パーム・デイラ)3,3843.12,891,02130,651105.098.8
8. Jabal Ali First(ジェベル・アリ 1)2,5122.31,607,00017,23583.483.3
9. Al Hebiah Fifth(アル・ヘビア 5)2,3892.21,313,00018,61073.472.2
10. ARJAN(アルジャン)2,3402.1960,00017,16962.963.4
ドバイ全体(区画の合計)110,5251001,424,50318,51077.668.6
価格・単価・面積はすべて中央値です。全体比は当サイトが件数から計算した割合で、公表値ではありません。英語の表記はデータにある綴りのままで、大文字だけの区画名もあります。 出典:Dubai Land Department|Real Estate Dataの記録をReheatが集計(期間 2026-01-01〜2026-08-25/確認日 2026-10-05)

同じ上位でも性格は違います。ビジネス・ベイのデータとJVCはオフプラン比率が5割台で、完成済みの売買が半分近く残っています。件数の順位だけを見ると、この違いは消えます。表には専有面積の中央値も並べました。面積の列を見ると、Al Yelayiss 1 は上位10のなかでいちばん広く、集合住宅ではなく広い住戸が中心の区画だと分かります。面積がそろっていない区画どうしを価格だけで比べると、広さの差を価格の差として読むことになります。区画ごとの内訳はマディナ・アル・マターのデータやパーム・デイラのデータに分けてあります。

指標を変えると、同じ10区画の順位が入れ替わります

同じ10区画を、左は登記件数の多い順、右は平米単価の中央値が高い順に並べ、順位の移動を線でつないだ図。Palm Deiraは件数7番目から単価1番目へ、DUBAI LAND RESIDENCE COMPLEXは件数4番目から単価10番目へ動く
左右で並べているのは同じ10区画です。太い線は動きの大きい3区画で、件数で上位だった区画が単価では下がり、件数7番目の区画が単価では先頭に来ます。 出典:Dubai Land Department|Real Estate Dataの記録をReheatが集計(期間 2026-01-01〜2026-08-25/確認日 2026-10-05)

平米単価の中央値で並べ替えると、件数では7番目だった Palm Deira が先頭になり、件数4番目の DUBAI LAND RESIDENCE COMPLEX は最後になります。どちらの並びも公表された記録から機械的に作れるので、読者が同じ手順をたどれば同じ順位に行き着きます。当サイトは、再現できない順位を作りません。編集部の点数やおすすめ度で並べた表は、同じ手順をたどっても同じ結果になりません。順位を見たときは、何を基準に並べたのかが同じ画面に書かれているかを先に確かめてください。

代表値の選び方も順位を動かします。当サイトが見出しに使うのは中央値です。平均は高額な数件に強く引っ張られます。ビジネスベイでは、平均が中央値のおおよそ2倍になります。けた違いに高い取引が混じるためで、住戸を1戸買う人の基準にはなりません。他社の数字と比べるときは、平均と中央値のどちらを見ているのかを先にそろえてください。価格の比べ方では、価格そのものをそろえる手順を分けて書いています。

用途が混ざる区画では、単価が2つ出ます

住宅と商業が混ざる区画では、全用途をまとめた平米単価と、アパートメントだけに絞った平米単価が別の値になります。ビジネスベイがその例で、オフィスや店舗の売買が同じ区画の記録に入っているため、全用途の中央値は住戸だけの中央値より高く出ます。どちらも間違いではありませんが、住戸を探している人が見るべきなのは絞ったほうです。他社の表から数字を引き写すときは、用途の範囲が書かれているかを確かめてください。範囲の書かれていない数字は、別の範囲の数字と同じ列に置けません。この区画で完成済みとオフプランのどちらを選ぶかは、ビジネス・ベイのオフプランと完成済みで扱っています。

家賃と利回りまで並べられる区画は限られます

件数や価格はすべての区画で出せますが、利回りはそうではありません。当サイトは、賃貸と売買がどちらも30件以上ある組み合わせだけを対象にしています。その条件で計算できたのは、区画と物件種別の組み合わせで50通りです。記録のある区画の数よりはるかに少なく、利回りで比べられる範囲は限られています。しかも表面利回りで、管理費や空室を引いていません。同じ住戸の買値と賃料を追いかけた実績ではなく、別々の物件の中央値どうしの比です。計算のしかたと、高い側が高くなる理由は利回りの比べ方に分けて書いています。

件数の上位にも、家賃を出せない区画があります。JVCは売買では2番目ですが、当サイトの集計ではこの区画名に結び付いた賃貸契約の記録がなく、家賃と利回りを出せていません。賃貸の記録が別の区画名で登録されているのか、記録そのものが無いのかは確かめられていません。比較の軸ごとに、対象になる区画の数が変わります。空欄を埋めずに空欄のまま残しているのは、このためです。埋めてしまうと、どの区画が比較の対象だったのかが分からなくなります。

管理費も区画では比べられません。DLDのサービスチャージ照会は、プロジェクト名と用途と年を選んで、RERAが承認した共同所有物件の費用を調べる仕組みです(確認日 2026-10-05)。エリアの代表値は公表されていないので、候補の建物が決まってから、その建物の年を指定して確かめます。賃料から引く費用の見当は、その結果が出てから付けられます。

自分で並べ直す手順

順番 やること つまずきやすいところ
1 期間を決める 日付は必須の入力で、選べる範囲はその年に限られます
2 売買だけに絞る 抵当権の設定と贈与の登録を含めると件数が増えます
3 オフプランと完成済みを分けるか決める 分けないと、分譲の時期の影響が件数に残ります
4 区画を決める、または全件を落として自分で集計する 似た名前の区画が別にないかを先に見ます
5 代表値を中央値にする 平均は高額な数件に引っ張られます

照会の画面には「Download as CSV」があり、落としたファイルを自分で集計できます。ただし当サイトが画面を調べた時点では、日付を選べる範囲がその年に限られていました。さらに、範囲の外の日付を指定してもエラーにならず、その年のぶんが返ります。ファイル名と中身が食い違う形の事故になるので、保存したら中身の日付を必ず読んでください。照会にはボット検知が付いています。当サイトはこれを機械で越えず、人が解いて落とす形にしています。

確認できなかったこと

  • JVCの区画名に賃貸契約の記録が結び付かない理由。別の区画名で登録されているのか、記録が無いのかを切り分けられていません
  • 図に並べた①と②が、同じ場所の別の表記なのか、隣り合う別の区画なのか。DLDの公表資料からは確かめられていません
  • 前年以前との比較。照会の画面はその年しか出せず、過去分の経路は国外から利用できません
  • プロジェクトごとのサービスチャージの水準。照会はプロジェクト単位で、区画の代表値は公表されていません

いずれも空欄のまま残しています。埋めるには、別のデータセットを集計に足すか、プロジェクト単位で照会する必要があります。推測した数字をこの記事には書きません。

比べる前に答えておく4つの問い

  1. 何を単位にするか。DLDのどの区画名で数えるかを決めます。似た名前が別にないかも見ます
  2. 何で並べるか。件数、価格、単価、面積、オフプラン比率のどれかを1つ選びます
  3. その指標はどの範囲か。用途が混ざっていないか、代表値は中央値か平均かを確かめます
  4. 期間はいつか。手元のデータに実際に入っている日付で答えます

この4つに答えられたら、順位は自分で作り直せます。答えられない表は、順位の形をしているだけで比較になっていません。区画ごとの数字はエリア別のデータ一覧、市場全体の動きは市場のデータ、エリアの入口はドバイのエリアにあります。