2026年上半期のアブダビの不動産について、この半年のあいだに政府が公表した値を、発表ごとに並べ直して残します。先に要点です。登録された取引の総額はAED117 billionと発表され、前年の同じ期間から金額で112パーセント、件数で61.7パーセント増えたとされています。海外からの直接投資はAED13.8 billionで309パーセントの増加、投資した人の国籍は116でした。供給の側では、自治体交通局(DMT)が第1四半期に承認した延べ床面積が20.8 million square metresと公表されています。
この記事は定点の記録です。数字そのものの読み方、たとえば総額に何が含まれるのか、四半期・半期・年次の値をどう並べるのかはアブダビ不動産の市場規模に分けて書きました。ここでは「2026年上半期に、どの機関が、どの期間について、何を公表したのか」を、あとから同じ発表にたどり着ける形で残します。
まず、どの発表を読んでいるのかを固定します
この記事が使っているのは、次の発表です。半期の記録をまとめるとき、いちばん混乱しやすいのが発表ごとに対象期間が違うことなので、先に一覧にします。
| 発表元 | 発表日 | 対象期間 | この記事で使う項目 |
|---|---|---|---|
| アブダビ不動産センター(ADREC)/政府メディアオフィス | 2026年7月17日 | 2026年1月〜6月 | 取引の総額と内訳、海外直接投資、投資区域、区域・プロジェクト・免許の数 |
| 自治体交通局(DMT)/政府メディアオフィス | 2026年6月17日 | 2026年1月〜3月 | 承認された延べ床面積、許可申請・着工届・検査依頼の件数 |
| ADREC/政府メディアオフィス | 2025年の上半期分 | 2025年1月〜6月 | 前年同期の総額と件数(比べるための土台) |
| アブダビ投資局(ADIO) | 2026年7月17日 | 2026年1月〜6月 | 上の1件目と同じ内容の掲載 |
4件とも政府機関そのものの公表です。当サイトは出典の層を分けて扱っていて、政府機関の公表をgovernment、政府データを加工して提供する民間をplatformとして区別しています。この記事に出てくる数字は、すべて前者だけから取りました。
いっぽうで、ADRECが公表している市場レポートの本文は、この記事では数値として扱っていません。当サイトの自動取得ではADRECのサイトを開けず、確認日の時点でアクセスが拒否されるためです。人がブラウザで開く経路は残っているので、原典を細かく見たい方はADRECのサイトで直接確かめてください。ここに書いたのは、あくまで政府メディアオフィスとアブダビ投資局の発表ページで読み取れた範囲です。
DMTの発表だけ対象期間が短いことにも注意してください。第1四半期の3か月分であって、半期の合計ではありません。同じ「2026年上半期の記録」という見出しの下に置いていますが、期間が違う値なので、取引額と並べて増減を語ることはできません。
取引の記録:総額と、その内訳まで公表されています
2026年上半期に登録された不動産取引の総額は、AED117 billionと発表されました。前年の同じ期間から、金額で112パーセント、件数で61.7パーセント増えたとされています。前年同期にあたる2025年上半期の発表を見ると、そのときの総額はAED51.72 billion、件数は14,167件でした。この2つを並べたときだけ、増加率の意味が確かめられます。
総額の中身も、区分ごとに公表されています。売買はAED86.1 billionで16,838件、金額で163.7パーセントの増加です。抵当の登記はAED26.7 billionで8,876件、金額で33パーセントを超える増加とされています。ムサタハと長期リースの合計はAED4 billion、贈与はAED311.5 millionです。
ここで気をつけたいのは、抵当や贈与が「誰かが物件を買った金額」ではないことです。同じ住戸を買って融資を受ければ、売買と抵当の両方が登録されます。贈与にいたっては対価の授受がありません。総額は性質の違う登録を足し上げた値なので、売買の規模を知りたいときは内訳のほうを使います。
件数が公表されているのは売買と抵当だけです。総額そのものの件数、ムサタハと長期リースの件数、贈与の件数は、発表に書かれていません。この記事で埋めていないのは、推計を混ぜると読者が同じ数字を再現できなくなるからです。増加率だけが示されて実数が無い項目も同じ扱いにしています。
海外からの投資と投資区域は、総額とは別の切り口です
海外からの直接投資は、この半期でAED13.8 billionと公表されました。前年同期から309パーセントの増加で、2025年の1年間の額を上半期だけで上回ったと書かれています。投資した人の国籍は116で、前年同期の82から増えました。発表では、主な出し手として英国、中国、ロシア連邦、米国、ドイツ、フランスが挙げられています。
この6か国について、当サイトは順位として扱いません。金額や件数の内訳が公表されておらず、どの基準で並んでいるのかが発表に書かれていないためです。当サイトが順位を出すのは、並べ替えの基準になった公表値と出典を同じページに示せるときだけにしています。ここでは「主な出し手として名前が挙がっている6か国」までが、確認できた事実です。
投資区域で登録された取引はAED75 billionで、181パーセントの増加とされています。前年同期はAED26.7 billionでした。この額は、抵当のところで出てきたAED26.7 billionと同じ数字ですが、まったく別の項目です。片方は2026年上半期の抵当の金額、もう片方は2025年上半期の投資区域の取引額です。数字だけを引き写すと入れ替わるので、記録するときは必ず期間と項目名を添えてください。
外国人が不動産の権利を取れる区域がどこで、取得できる権利がどう違うかはアブダビのエリア比較にまとめています。投資区域の額も、海外からの直接投資も、総額を別の基準で切り出したものなので、区分ごとの金額に足さないでください。
供給側の記録は、第1四半期ぶんだけが公表されています
建てる側の数字は、DMTが第1四半期について公表しています。承認された延べ床面積は20.8 million square metresで、前年の同じ期間から17.3パーセントの増加です。あわせて、新規の許可申請が5,096件で14.0パーセント増、着工の届出が3,244件で14.3パーセント増、現場の検査依頼が34,391件で24.5パーセント増と発表されました。
4つの数字は工程の段階が違います。申請は「これから建てたい」という届け出、着工の届出は「工事を始める」という連絡、検査の依頼は「工事中の現場を見てほしい」という要求です。同じ計画が3つの工程すべてに現れるので、合計しても意味のある値になりません。工程ごとに前年同期比が付いているのも、それぞれ独立した指標として見るためです。
同じ発表には、2025年の通年の値も参考として書かれています。年間で承認された延べ床面積は75 million square metresで、前の年から137パーセントの増加、交付された建築許可は11,000件を超えるとされています。年間の値と第1四半期の値を同じ列に並べないでください。対象の長さが違うため、そのまま並べると、市場の増減とは関係のない差が「減った」ように見えてしまいます。
承認された面積が増えていることは、これから供給が増える可能性を示しますが、いつ、どのエリアに、どんな用途で完成するかまでは分かりません。この発表には用途別・地区別の内訳が無く、完成の時期も書かれていないためです。
制度と担い手の側でも、この半期の数字が出ています
ADRECの発表には、取引額のほかに、制度と担い手についての値も並んでいます。
| 項目 | 公表値 | 前年同期比 | 読むときの注意 |
|---|---|---|---|
| 追加された投資区域 | 8区域(合計50区域) | 記載がありません | 合計は、この半期の追加分を含んだ数です |
| 新規に登録された不動産プロジェクト | 28件 | 16パーセント増 | 着工や完成の件数ではありません |
| 交付された専門職ライセンス | 2,040件 | 34パーセント増 | この半期に交付した数です |
| 免許を持つ不動産ブローカー | 3,302 | 記載がありません | 首長国全体の総数として書かれています |
| Madhmounでの広告許可 | 41,200件を超える | 記載がありません | 半期の件数としては示されていません |
Madhmounは、不動産広告の許可を扱う仕組みです。発表には、これまでに41,200件を超える広告許可の交付につながったと書かれています。半期のあいだに出した件数として示されているわけではないので、他の項目と同じ列に並べると期間を取り違えます。
免許を持つブローカーが3,302という値も、増減ではなく総数です。買う側にとっては、担当する仲介業者がこの登録に入っているかどうかを確かめられることのほうが実務的に重要です。手続きの各段で誰が何を起票するのかはアブダビ不動産の買い方にまとめました。
この半期の発表から読めないこと
公表されているのは、登録された取引の総量と、制度の運用状況です。分からないことのほうが多いので、先に線を引いておきます。
エリアごとの内訳は、この2つの発表には載っていません。どのエリアでいくら動いたのかを確かめたいときは、公表元と細かさが変わります。何がどこまで公表されているかはアブダビのエリア別データで整理しました。
平米あたりの単価や価格の指数も読めません。総額と件数からは、1件あたりの規模しか計算できず、それも分母をどの区分に取るかで変わります。家賃の水準についても同じで、この2つの発表には賃料の数字が含まれていません。賃料の指標値がどう公表されているかはアブダビの家賃データに分けています。
第2四半期だけの取引額も、この記事には書けません。半期の値から第1四半期の値を引けば計算できそうに見えますが、引き算で作った数字は発表に存在しない値です。当サイトはその計算をせず、公表された累計のまま扱っています。
この半期の記録として残すときは、4つをそろえます
同じ数字をあとから検算できるようにするには、値だけを控えても足りません。この記事で全ての数値に添えているのは次の4つです。
ひとつめは対象期間です。上半期なのか、第1四半期なのか、通年なのかで、同じ「増えた」の意味が変わります。ふたつめは項目名です。総額なのか売買なのか、投資区域なのか海外からの投資なのかを、金額と一緒に書きます。みっつめは発表元と発表日です。同じ機関でも回によって載る項目が違うため、どの回の発表かまで残します。よっつめは確認日で、当サイトがそのページを見た日です。
この4つがそろっていれば、読者は同じ発表ページを開いて同じ値にたどり着けます。逆に、どれか1つでも欠けた数字は、半年後には検算できない数字になります。当サイトのアブダビ関連のデータはアブダビのデータから一覧できます。
値上がりも賃料収入も保証しません
当社は、値上がり、賃料収入、利回りのいずれについても保証しません。この記事に並べたのは、登録された取引と、交付された許可の記録です。過去の登録が増えていることは、これから買う人の物件が値上がりすることを示すものではありません。
増加率の読み方にも注意が要ります。前年の水準が低ければ、同じ増加額でも率は大きく出ます。この記事で増加率と実額を必ずセットにしているのは、率だけが独り歩きするのを避けるためです。309パーセントや181パーセントといった数字を引用するときは、必ず元の金額と対象期間を添えてください。
まとめ
2026年上半期のアブダビについて公表されたのは、取引の総額AED117 billionと、その内訳、海外からの直接投資AED13.8 billion、投資区域での取引AED75 billion、そして制度と担い手の数です。供給の側では、第1四半期に承認された延べ床面積20.8 million square metresが別の機関から発表されています。
記録として扱うときの要点は3つです。ひとつめは、総額の内訳と、国籍や場所で切り出した値を足し合わせないこと。ふたつめは、DMTの数字が第1四半期ぶんで、取引の数字と対象期間が違うこと。みっつめは、発表に無い項目を推計で埋めないことです。
次に値が動くのは、9か月分と通年の発表が出るときです。その回に載る項目は毎回同じではないため、当サイトは記載を確認できた項目だけを、対象期間と確認日を添えて追記します。総額の読み方そのものを確かめたい方はアブダビ不動産の市場規模へ進んでください。