中古・完成物件/解説

アブダビの中古物件の買い方|売主が起票する手続きと期限

アブダビで完成済みの住戸を中古として買うとき、DARIで申請を起こすのは売主です。評価証明書30日・権利証180日という有効期限、5つの入力の段、DMTの窓口での署名までを、ADRECの案内に書かれている範囲でオフプランと並べて整理します。

アブダビの中古物件の買い方|売主が起票する手続きと期限 - Reheat

アブダビの物件情報には、すでに建っている住戸と、これから建つ住戸が同じ一覧に並んでいます。日本語では前者を中古、後者をオフプランと呼び分けますが、この2つの違いは「引き渡しまでの待ち時間」ではありません。アブダビ不動産センター(ADREC)が運営するDARIの中で、まったく別の手続きとして用意されています。

先に結論を書きます。中古の住戸を買う場合、DARIで申請を起こすのは売主です。オフプランの場合は不動産ディベロッパーだけが起こせます。どちらであっても、買主が自分で申請を立ち上げる段は案内に出てきません。そのうえで、中古の側には買主の日程を左右する条件があります。売主がそろえる書類に有効期限が付いており、それが切れていると売却そのものを始められません。

もう1つ、中古にだけある段があります。最後に自治体交通局(DMT)のセンターへ出向いて契約に署名する、という段です。場所と日付と時間帯を予約し、その画面で手数料を払う流れが案内に書かれています。最後まで画面の中で終わる手続きではありません。

この記事は、DARIのサポートに載っている売買の案内と、オフプランの登録の案内を突き合わせ、中古の側だけを取り出したものです。買う手順の全体像はアブダビ不動産の買い方に、資料の Ready という表示が何を保証しているのかはアブダビの完成物件に書いているので、ここでは繰り返しません。

中古とオフプランは、DARIの中で別々の手続きになっています

DARIのサポートには、売買の手順をまとめた案内が置かれています。題は Guide to Sell and Buy Property on DARI で、扱っているのは不動産登記簿にある住戸、つまり売主の名義の権利証が存在する住戸の売買です。

まだ建っていない住戸には、Off-Plan Unit Sale Registration という別のメニューがあります。この案内は冒頭で起票できる人を限っており、不動産ディベロッパーだけ、という書き方です。加えて Off-Plan Unit Buy & Sell Registration という入口も用意されていますが、こちらも「ディベロッパーが登録できる」と説明されています。

アブダビで完成済みの住戸を中古として買う経路と、建設中の住戸をオフプランとして買う経路について、DARI上の手続きの名前、申請を起票できる人、買主がすること、登録の期限、手数料の書き方、手続きの終わりに発行される書面の6項目を左右に並べて対比した比較表
6項目のうち、買主の立場が変わるのは「起票できる人」と「終わりに出る書面」の2つです。中古は売主が、オフプランはディベロッパーが申請を起こします。登録の期限と、遅れたときの加算は、オフプランの案内にだけ書かれています。 出典:ADREC・DARI Support の売買の案内、およびオフプラン登録の2つの案内(確認日 2026-09-23)

手続きの終わりに手元へ残る書面も違います。中古の側は、署名と支払いが済むと権利証(Title Deed)の通知がDARIのアプリに届く、と書かれています。オフプランの側は、支払いが確認されると Pre-Registration Certificate(Usufruct)が発行された旨の画面が出る、という記載です。同じ「買った」でも、その時点で受け取る書面の種類が違います。

売主の書類には期限があり、先に切れるのは評価証明書です

売買の案内は、売主が売却を始めるための条件を並べています。書類が3つ、状態についての前提が3つです。

書類は、評価証明書、権利証、そして投資区域か開発区域かを示すディベロッパーの書面。このうち前の2つに有効期限が付いています。評価証明書は1か月(30日)を超えていないこと、権利証は6か月(180日)を超えていないこと、という書き方です。

前提のほうは、その住戸に抵当が設定されていないこと、長期の賃貸借契約が無いこと、裁判所の命令が無いことの3つです。この3つは、中古を検討するときに強く効きます。オフプランの住戸に借主は付いていませんが、完成した住戸には付いていることがあります。借主が入ったまま買える物件かどうかを、資料の表記ではなく、この前提との関係で確かめることになります。

項目 案内に書かれている条件 案内に書かれていないこと
評価証明書 1か月(30日)を超えていないもの 誰が評価するのか、評価額に納得できないときの扱い
権利証 6か月(180日)を超えていないもの 再発行にかかる日数
ディベロッパーの書面 投資区域か開発区域かを示すもの 発行を依頼する窓口と、かかる日数
抵当 設定されていないこと 残っている場合に、どう抹消してから売るのか
長期の賃貸借契約 無いこと どの長さから「長期」に当たるのか
裁判所の命令 無いこと 該当の有無を買主が確かめる経路

右の列が埋まっているのは、調べ足りなかったからではありません。公表ページに記載が無いものを、当サイトの側で補わないための列です。ここが空欄でないということは、契約の前に人へ尋ねる項目がそれだけあるという意味になります。

評価証明書については、DARIに申請のページがあります。住戸1件について発行するもので、手数料はAED 1,000、必要な書類は無いと書かれています。UAE PASSでログインして申請するか、サービスセンターへ出向く形です。これは売主が用意するもので、買主が売主の住戸について勝手に取れるものではありません。日付が古い証明書を見せられたときに、取り直しにどれくらいかかるかを聞く手がかりにはなります。

ADRECのDARIサービスに掲載された、住戸の評価証明書を発行する手続きの案内ページの表示
引用キャプチャ売主が売却を始めるためにそろえる評価証明書を、住戸1件ごとに申請するページです。手数料の額と、申請に書類が要らないこと、UAE PASSでの申請か窓口かという経路がここに書かれています。証明書の有効な期間と、発行までにかかる日数は、このページには書かれていません。 出典:ADREC/DARI|Issuing Valuation Certificate for a Unit(確認日 2026-09-24/表示のファーストビュー)

5つの段を入れたあと、最後にDMTの窓口へ出向きます

売主が入力する画面は、5つの段に分かれています。

第1段は買主の情報で、買主は1人以上追加でき、個人でも会社でもよいと書かれています。第2段は売却の条件です。売却日、売却価格、取引手数料、支払方法、そして買主の持ち分を入れます。支払方法として挙げられているのは現金、小切手、銀行振込の3つです。第3段は委任状の登録で、これは任意の項目です。第4段で申請に示された書類を添え、第5段で内容と添付を見直してから提出します。

ここで買主が確かめられるのは、売主が入れた数字です。売却価格も、手数料をどちらが負担するかも、支払方法も、売主の側から入力されて買主へ回ります。買主の持ち分という項目があるため、複数人で持つ場合の割合もこの段で決まることになります。

提出された申請は自治体交通局(DMT)へ送られ、審査されます。そして承認されたあとが、中古の売買でいちばん見落とされやすい段です。案内は、DMTのセンターの中から公式の予約を取ること、一覧から場所を選ぶこと、希望の日を選ぶこと、空いている時間帯から選ぶことを、段を分けて書いています。そのうえでチェックアウトの画面で該当する手数料を払え、支払い方法はDARIのウォレットかクレジットカードから選ぶ、と続きます。

アブダビで完成済みの住戸を中古として売買するとき、売主が前提書類をそろえる段から、DARIでの入力、買主の確認、自治体交通局の審査、窓口の予約、署名と権利証の通知までの6つの段を縦に並べ、各段で動くのが売主か買主か自治体交通局かを右端の札で示した工程図
右端の札は、その段で実際に操作する人を示しています。買主の札が付くのは3段目からで、1段目と2段目は売主の手元にあります。4段目のDMTの審査にかかる日数は案内に記載が無いため、この図でも日数を入れていません。 出典:ADREC・DARI Support|Guide to Sell and Buy Property on DARI(確認日 2026-09-23)

日本から検討している人にとって、この段は日程の問題になります。署名のために現地の窓口へ行く必要があるのか、委任状で代えられるのかは、この案内には書かれていません。第3段に委任状の登録が任意の項目として置かれていることは読み取れますが、それが窓口での署名まで代理できるかどうかは別の話です。契約の書類そのものの扱いはアブダビ不動産の契約書類にまとめています。

手数料の書き方が2通りあり、どちらが当たるかは書かれていません

アブダビの中古売買とオフプラン登録について、ADRECの案内に数字として書かれている6項目を並べた数値カード。評価証明書の30日、権利証の180日、住戸1件の評価証明書のAED1000、中古の取引手数料の2パーセント、オフプラン登録の21日、遅延時に加算されるAED10000を示す
上段の3つは売主が売却を始めるためにそろえるもの、下段の3つは費用と期限です。下段の右2つはオフプランの登録の案内にだけあり、中古の売買の案内には対応する記載がありません。物件の価格や相場の数字は、この図には入れていません。 出典:ADREC・DARI Support の売買の案内とオフプラン登録の案内、ADREC・DARI の評価証明書の申請ページ(確認日 2026-09-23)

中古の案内にある取引手数料は、2つの書き方が並ぶ形で載っています。1つは、評価額か売却価格の高いほうの2パーセント。もう1つは、契約から残っている評価額または売却価格のうち高いほうの1パーセントです。原文は remaining from the contract という表現で、何が残っている分を指すのかは、この案内からは読み取れません。

どちらがどの場合に適用されるのかも書かれていません。そのため当サイトからは、ある取引にどちらが当たるかを示せません。第2段の入力項目に取引手数料が含まれているので、申請の画面で額が決まることまでは分かりますが、その分岐の条件は公表の範囲の外にあります。

比較のために、オフプラン側の記載も置いておきます。こちらは売却価格の総額の2パーセントで、書き方は1通りです。加えて、契約の日から21日という登録の期限があり、これを過ぎるとAED 10,000が加算されると書かれています。中古の案内に、これに当たる期限と加算の記載はありません。購入にかかる費用の全体はアブダビ不動産の購入費用で扱っています。

オフプランのエスクローに当たる仕組みは、中古の案内に出てきません

建設中の住戸を買う場合、代金はプロジェクト・エスクロー口座へ入ります。これはLaw No. 3 of 2015が定めているもので、口座を開いていることがオフプラン販売の条件として挙げられています。条文の並びはアブダビのオフプラン物件にまとめました。

中古の売買の案内に、これに当たる仕組みは出てきません。出てくるのは、支払方法を現金・小切手・銀行振込から選ぶこと、そしてDMTのセンターの予約のチェックアウトで手数料を払うことだけです。代金そのものが署名までのあいだどこに置かれるのかは、この案内からは読み取れません。

当サイトは、これを「保全が無い」という意味には取りません。案内に書かれていない、というだけです。実際にどう扱われるかは、契約書と、仲介または法律の専門家に確かめてください。ここで推測を書くと、読者が確かめないまま進む理由を作ってしまいます。書けるのは、オフプランには法令が定めた口座があり、中古の案内には同じ記載が無い、という差までです。

見せられた書類は、ADRECのページで照会できます

中古の売買には、オフプランと決定的に違う点がもう1つあります。相手が個人の売主で、入口が仲介の広告になることです。オフプランはディベロッパーが売っているので、会社の登録をたどれば相手が分かります。中古ではそうはいきません。

ADRECは、この入口の側に仕組みを置いています。FAQのページは、Madhmoun について、湾岸協力会議の地域で初となる政府のマルチプル・リスティング・サービスのプラットフォームだと説明し、検証された物件だけが掲載されること、1つの物件について広告できるのは承認されたブローカー最大3社までであることを書いています。同じ物件の広告が4社から出ていたら、その時点で確かめる理由になります。

そしてADRECのサイトには、書類を照会するページがあります。照会できるのは3種類です。賃貸借契約は契約番号で、証明書は種類(配置図、権利証(住戸)、権利証(土地))と発行日と証明書番号で、Madhmoun の許可は許可番号で引きます。

これは、見せられた書類が本物かを確かめる窓口であって、任意の住戸を検索する窓口ではありません。番号が手元にあることが前提です。裏を返せば、売主や仲介が権利証と広告の許可の番号を出せるなら、日本にいても自分の手で照合できます。番号を出せないという答えが返ってきたときは、その理由を聞いてください。

この記事で確認できなかったこと

第一に、取引手数料の2パーセントと1パーセントの使い分けです。条件が案内に書かれていないため、どちらが適用されるかを示せません。

第二に、DMTの審査にかかる日数です。申請が回ることは書かれていますが、期間の記載はありません。

第三に、窓口での署名を委任状で代えられるかどうかです。委任状の登録が任意の段として存在することは分かりますが、署名の代理まで読み取れる記載はありませんでした。

第四に、売主に抵当が残っている場合の進め方です。抵当が無いことが前提として挙げられている一方、残っているときにどう抹消してから売るのかは、この案内に書かれていません。

第五に、借主が入っている住戸の扱いです。長期の賃貸借契約が無いことが前提に挙がっていますが、どの長さから長期に当たるのかの定義は、この記事の出典の範囲では見つけられませんでした。

当社は、値上がり、賃料収入、利回りのいずれも保証しません。この記事が扱っているのは、ADRECが公表している手続きの記載だけです。

まとめ

アブダビで中古の住戸を買うとき、DARIで申請を起こすのは売主です。買主がすることは、回ってきた内容を確かめること、窓口の予約を取ること、手数料を払うこと、そして権利証の通知を受け取ることの4つです。

売主の側には、評価証明書が1か月(30日)以内、権利証が6か月(180日)以内という期限があり、抵当・長期の賃貸借契約・裁判所の命令が無いことも条件に挙がっています。日程が動かない原因は、買主ではなく売主の書類の側にあります。

入力は5つの段に分かれ、支払方法は現金・小切手・銀行振込から選びます。DMTの審査を経たあと、センターの場所と日付と時間帯を予約し、チェックアウトの画面で手数料を払い、窓口で署名します。最後に現地の窓口が残る点は、オフプランの登録には無い段です。

手数料の記載は2通りあり、どちらが当たるかは公表されていません。オフプラン側にある21日の期限とAED 10,000の加算は、中古の案内には出てきません。そして、見せられた権利証とMadhmoun の許可は、番号があればADRECのページで自分で照会できます。中古で確かめる相手は会社ではなく人なので、番号で照合できる部分は自分で照合しておく価値があります。