Nakheel(ナキール。Dubai Holding Real Estate の一員)は2026年10月26日、Dubai Islands の Bay Grove Residences 第2期と第4期について、Parkway International Contracting LLC へAED 950 millionを超える主要工事の契約を発注したと公表しました。対象は617戸・8棟で、間取りは1ベッドルームから4ベッドルームまでとされています。住戸のほかに、地下の工事、付帯するインフラ、そしてプール、スポーツコート、フィットネスの施設も契約に含まれると書かれています。
この発表でいちばん読者に効くのは、契約の金額ではありません。完成の見込みが期ごとに分かれていることです。第2期の4棟は2028年後半に主要工事が完成する見込みと書かれ、第4期の4棟は2029年第2四半期と書かれています。同じ Bay Grove Residences という1つの名前の中で、棟によって年が変わることになります。「Bay Grove Residences は2028年完成」と1つの数字で覚えてしまうと、第4期の住戸では話が合いません。
この記事では、まず発注の発表に書かれている項目をそのまま並べ、次に4つの期と2社の施工会社の対応を整理し、そのうえで完成の見込みが2つに分かれている状態を図にします。最後に、自分の住戸がどの期・どの棟に入るのかを公表資料で確かめる方法と、この発表では分からない項目を列挙します。金額はAEDのまま書き、円への換算は行いません。数値はすべて Dubai Holding が公表した2件のプレスリリースと、Dubai Land Department(DLD、ドバイ土地局)のサービス案内からの転記で、当サイトが推計した値はありません。
発注されたのは工事で、販売ではありません
この発表は、売主と施工会社のあいだの契約です。住戸の販売開始でも、価格の公表でもありません。完成前の住戸を検討している人にとっては、工事の契約が成立したことと、自分が買える条件が決まることは、別々の出来事です。公表する相手も、公表される日付も違います。
発表から読み取れる項目だけを並べます。
| 項目 | 発表の記載 |
|---|---|
| 公表日 | 2026年10月26日 |
| 発注した会社 | Nakheel(Dubai Holding Real Estate の一員) |
| 受注した会社 | Parkway International Contracting LLC |
| 契約額 | AED 950 million を超える額 |
| 対象 | Bay Grove Residences 第2期と第4期 |
| 住戸数 | 617戸 |
| 棟数 | 8棟(第2期4棟・第4期4棟) |
| 間取り | 1ベッドルームから4ベッドルーム |
| 住戸以外の工事 | 地下の工事、付帯インフラ、プール、スポーツコート、フィットネスの施設 |
| 完成の見込み | 第2期は2028年後半、第4期は2029年第2四半期 |
| 住戸ごとの販売価格 | 記載がありません |
| 支払いプラン | 記載がありません |
| 買主への引き渡し期日 | 記載がありません |
下の3行がこの発表の限界です。工事の発注は売主と施工会社の取引なので、買う側の条件はそもそもこの発表の対象ではありません。販売の場で「10月に発注の発表がありました」と言われたとしても、それは価格や支払い条件が決まったという意味にはなりません。
発表には関係者の言葉も載っています。Dubai Holding Real Estate の最高経営責任者である Khalid Al Malik 氏は、今回の発注が Bay Grove Residences の供給に向けた一歩であり、さらに617戸について建設の道筋をはっきりさせるものだと述べています。Parkway International Contracting LLC の Managing Partner である Tarek Zoabi 氏も、次の段階で Nakheel と組むことについて述べています。どちらも会社としての見方であり、価格や利回り、完成日の約束ではありません。
4つの期に、2社の施工会社が付きました
今回の発注は、1件だけで読むと規模の話に見えます。しかし1件前の発注と並べると、別のことが分かります。Nakheel は2026年9月17日に、第1期と第3期の537戸・7棟について、AED 800 millionを超える主要工事を Metac General Contracting Co へ発注したと公表していました。第1期が4棟296戸、第3期が3棟241戸です。
今回の第2期・第4期を加えると、2件の契約でAED 1.75 billionを超える主要工事の発注になり、Bay Grove Residences で計画されている1,154戸・15棟のすべてが対象になったと発表に書かれています。つまり、このコミュニティは「どの棟をどの会社が建てるか」がすべて決まった段階に入ったことになります。
施工会社が期で分かれていることには、読者にとっての意味があります。同じコミュニティの住戸でも、実際に建てる会社が棟によって違うということです。工期を守るかどうか、現場の品質がどうかという話は、売主ではなく施工会社の側にも関わります。ただし発表にあるのは会社の名前だけで、各社の過去の工期や引き渡しの実績は書かれていません。会社名を英語の綴りのまま控えておけば、あとから登録や実績を自分で照会できます。当サイトが会社名をカタカナに置き換えていないのは、この照合のためです。
金額についても、取り違えやすい点を1つ分けておきます。AED 1.75 billionを超えるという額は、Nakheel が2社の施工会社に支払う工事の代金の合計です。買主が住戸を買うときの価格でも、1,154戸の販売総額でもありません。契約には住戸以外の工事(地下、インフラ、共用施設)が含まれているため、戸数で割った数字は住戸1戸あたりの工事費としても正確になりません。そのため、この記事では割り算をした数字を載せていません。
第4期だけ、完成の見込みが次の年にずれます
完成の見込みを期ごとに並べると、3対1に分かれます。第1期と第3期は2026年9月の発表で「主要工事は2028年後半に完成する見込み」とされ、第2期も今回の発表で同じ2028年後半とされています。残る第4期だけが2029年第2四半期です。
ここで言葉の区別が要ります。発表にある「完成」は主要工事が終わる時点です。買主が鍵を受け取る日ではありません。工事の完成のあとには、検査、必要な証明の取得、引き渡しの案内、買主側の確認、残代金の決済、そして登記という段が続きます。完成の四半期と、自分の売買契約に書かれた引き渡しの期日は、別に確かめる必要があります。
もう1つ、見込みは時点の値であることも押さえてください。第1期と第3期の2028年後半は2026年9月の時点の見込みで、第2期と第4期の時期は2026年10月の時点の見込みです。いまも同じ見込みなのかどうかは、この2件の発表からは分かりません。工事が遅れたときの扱いも、どちらの発表にも書かれていません。遅延の扱いは売主と買主の契約で決まるもので、施工会社との契約の発表には出てきません。
自分の住戸がどの期・どの棟なのかを確かめる
ここまでの整理から、検討する側の作業は1つに絞れます。自分が見ている住戸が、第1期から第4期のどれに入り、何番の棟なのかを特定することです。これが分からないと、2028年後半と2029年第2四半期のどちらを前提にすべきかが決まりません。
特定の手がかりは2つあります。1つは売買契約(SPA)と予約の書類です。期、棟、住戸の番号が記載されているはずなので、発表の期と突き合わせられます。もう1つは、DLDの Project Status Enquiry(Mashrooi)です。DLDのサービス案内によると、プロジェクト名またはプロジェクト番号で検索し、プロジェクト番号、面積、住戸数、登録の日付、工程の開始と完成の予定、所在、建物の仕様、ディベロッパーと管理会社の情報、そしてエスクロー口座の情報を見られるとされています。経路としてDLDのウェブサイトと Dubai REST のアプリが案内されています。
エスクロー口座の情報が同じ画面に出ることには意味があります。完成前の住戸では、買主が払った代金がプロジェクトのエスクロー口座に入り、工事の進みに応じて引き出される仕組みです。工事を発注したという発表と、自分の代金がその口座に入っているかどうかは、別に確かめる事柄です。なお当サイトは、Bay Grove Residences の各期がDLDに登録されているかどうかを、この記事の時点では確認していません。DLDの照会フォームには人が解く画像認証が設けられていて、当サイトはそれを機械で越えない方針です。
Dubai Islands では、別々の発表が並行しています
Bay Grove Residences がある Dubai Islands は、デイラ(Deira)の沖に広がる五つの島・18.6平方キロメートルの計画だと今回の発表に書かれています。マスタープランには住宅地、ホテル、公園、レジャー、文化の施設が含まれ、ドバイの長期的な都市開発の一部とされています。
この島では、種類の違う発表が続いています。2026年10月8日には、Island B の西岸の海洋とビーチの工事の発注が公表されました。海岸の形そのものを変える工事で、内容はDubai Islandsの海岸工事の発注にまとめています。その少し前の2026年10月5日には、同じ島で Bay Estate という別のコミュニティが公表されました。こちらは住戸の公表なので、Bay Estateの規模の読み方で戸数の数え方を分けています。
同じ島の発表でも、住戸の公表、工事の発注、インフラの工事は別の出来事です。「島全体の開発が進んでいる」という説明は、どの発表を指しているのかで中身が変わります。1つの案件を検討するときは、その案件そのものの発注と完成の見込みを見てください。別の案件が前に進んでいることは、自分の住戸の工程を示しません。同じ時期に出た別の売主の発注と比べるときは、Nad Al Sheba Gardens第7期の施工契約も同じ形で整理しています。
完成した実績の側の数字は、DLDが市場の指標として別に公表しています。今回の617戸は、まだその実績には入りません。2026年上期に実際に完成したプロジェクトと住戸の数は2026年上期に完成したプロジェクトにまとめています。予定として公表された戸数と、完成した戸数を同じ列に置かないでください。
この発表で分からないこと
推測で埋めずに、そのまま並べます。2026年10月26日の発表と、2026年9月17日の第1期・第3期の発表からは、次の項目は分かりませんでした。
| 確かめたい項目 | 2件の発表の記載 | どこで確かめるか |
|---|---|---|
| 住戸ごと・間取りごとの販売価格 | 記載がありません | ディベロッパーの公表資料と売買契約 |
| 面積あたりの単価 | 面積の記載がないため出せません | 売買契約と図面 |
| 棟ごとの戸数の内訳 | 記載がありません | 売買契約とDLDのProject Status |
| 支払いプランの区切りと割合 | 記載がありません | 売買契約 |
| 買主への引き渡しの期日 | 記載がありません | 売買契約 |
| 工事が遅れたときの扱い | 記載がありません | 売買契約 |
| 販売の状況と残っている住戸 | 記載がありません | ディベロッパーの公表資料 |
| サービスチャージの水準 | 記載がありません | 管理会社の公表と売買契約 |
| プロジェクト番号とエスクロー口座の銀行 | 記載がありません | DLDのProject Status |
| 着工の日と現在の進捗率 | 記載がありません | DLDのProject Status |
広告や販売の場では、このうちいくつかが口頭で埋められることがあります。そのときは、同じ内容が契約書か公表資料に書かれているかを確かめてください。発表に無い項目を当サイトが補うことはしません。項目をそろえて複数の案件を並べる手順はドバイのオフプラン物件の比較にまとめています。当サイトが出典をどの層で分けているかは出典と数え方に書いています。
工事が進むことと、値上がりは別の話です
主要工事の発注がそろったことは、計画が前に進んでいることを示す出来事です。それは、価格が上がることや、賃料が取れることの根拠にはなりません。当社は、値上がり、賃料収入、利回りのいずれも保証しません。
このコミュニティについて利回りを計算することもできません。住戸ごとの販売価格が公表されておらず、賃料の見込みも示されていないため、分母と分子の両方がそろっていません。数字が出ていないところに利回りを当てはめる説明を受けたときは、その前提が公表資料のどこに書かれているのかを確かめてください。
この記事は、Dubai Holding が公表した2件のプレスリリースと、DLDのサービス案内だけを材料にしています。住戸ごとの価格、販売の状況、引き渡しの時期を含む続報が出た時点で、この記事を更新します。