「アブダビ ディベロッパー ランキング」で探すと、社名に星や点数が付いた一覧に行き当たります。数字の出どころが書かれていないので、同じ手順をたどっても同じ順位にはなりません。先に結論を書きます。確認日時点で、アブダビのディベロッパーを会社単位で並べられる公表値は見つかりませんでした。一方で、案件単位なら順位にできます。アブダビ政府が金額つきで発表した開発案件を、発表額の大きい順にそのまま並べられるからです。
この記事は、その順位表と、順位を作るときに使った基準・期間・母数を先に示します。そのうえで、案件の順位を会社の優劣に読み替えてはいけない理由、会社単位で並べようとすると何がそろわないのか、そして読者が自分で別の指標の順位を作り直す手順を書きます。数値はすべて、確認日時点で当サイトが実際に開けた公表ページから転記したものだけです。開けなかったページについては、開けなかったと書きます。
この順位の基準・期間・母数を先に示します
並べ替えの基準は公表された総開発価値または事業費で、1つの値だけを使います。対象は、アブダビ域内の住宅を含む開発案件のうち、アブダビ政府メディアオフィスの英語ページに開発主体の社名と金額が出ているものです。期間は2025年1月1日から2026年9月12日までの発表で、母数は当サイトが確認日時点で確認できた4件です。金額の公表が無い案件は「-」で残し、順位の対象外にします。同額なら同順位にします。
順位の材料として使える値と、使えない値を先に分けておきます。ここを飛ばすと、性質の違う数字が同じ列に並びます。
| 指標の候補 | 順位に使えるか | 理由 |
|---|---|---|
| 発表された総開発価値・事業費 | 使える | 政府の発表に金額として書かれており、誰でも同じページで確認できます |
| 発表された戸数・区画数 | 条件つきで使える | 案件ごとには公表されていますが、会社別の内訳が出ていない発表があります |
| 会社の通期の販売額・売上高 | 今回は使えない | 公表しているのは上場2社で、うち1社は当サイトの取得経路で公表ページを開けませんでした |
| 引き渡しの実績・遅延の記録 | 使えない | 会社別の集計を公表しているページを確認できませんでした |
| 編集部の点数・星・おすすめ度 | 使わない | 読者が同じ順位を再現できません |
最後の行が、他の一覧との違いになります。当サイトは、基準にした公表値と出典と確認日を同じページに出せないかぎり順位を作りません。広告の有無で並べ替えることもしません。
発表額で並べた、アブダビの開発案件
金額が公表されている案件を、大きい順にそのまま並べます。金額は発表時点の表記で、いずれも複数年にわたる開発の総額です。
| 順位 | 案件 | 開発主体として名前が出ている会社 | 公表された金額 | 規模として書かれている数値 | 発表日 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 市民向け住宅13コミュニティ | Aldar Properties/Bloom Holding/Modon Properties/Lead Development Real Estate/IMKAN Properties | AED106 billion | 住戸25,244戸(AED94 billion)+区画 約14,876(AED12 billion) | 2025-09-24 |
| 2 | Marsa Al Saadiyat | Aldar | AED100 billion | 6.4 million sqm、居住者58,000人超 | 2026-07-22 |
| 3 | Al Maryah Island の拡張 | Aldar(60パーセント)/Mubadala Investment Company(40パーセント) | AED60 billion 超 | 約500,000 sqm の区画に延べ1.5 million sqm、住戸3,000戸超 | 2025-12-10 |
| 4 | Value Housing Programme の2件 | Aldar/自治体交通局(DMT) | AED2.8 billion | 賃貸住戸9,000戸、2029年完成予定 | 2026-04-17 |
| - | Hudayriyat Island のマスタープラン | Modon Properties | 金額の記載がありません | 51 million sqm 超(アブダビ島の53.8パーセントに相当と記載) | 2023-06-13 |
最下行は、金額が公表されていないため順位の対象外です。発表日も対象期間より前になります。規模が小さいという意味ではなく、同じ形の数値が出ていないという意味です。値が無い案件を表から消すと、公表が丁寧な会社ほど大きく見える表になってしまうので、行として残しています。
この順位を読むときの注意が3つあります。第1に、発表額はこれから開発する総額であって、その会社が去年売った金額でも、完成させた戸数でもありません。第2に、1位の案件は5社の共同で、会社別の内訳は公表されていません。だから「1位の会社」を決めることはできません。第3に、発表額は着工前に出る数字なので、途中で計画が変わることがあります。当サイトは、発表の内容が変わったかどうかを90日ごとに見直します。
1位の案件は、外国人が買えるものではありません
金額が最大の案件について、発表の中身をもう少し細かく見ます。2025年9月24日の発表は、アブダビ住宅局とアブダビ・プロジェクト&インフラセンター(ADPIC)が複数の開発会社と結んだ協定で、UAE国民向けの住宅とすることが明記されています。つまり市場で買える在庫ではありません。ランキングの1位を見て「この会社の物件を検討しよう」と読むと、前提から外れます。
発表に書かれている数値はこうです。総額はAED106 billion、内訳は今後5年で建設する住戸25,244戸がAED94 billion、区画 約14,876がAED12 billionです。地域別の内訳も公表されています。
| 地域 | コミュニティ数 | 住戸数 | 金額 | 名前が出ている会社 |
|---|---|---|---|---|
| アブダビ市 | 6 | 14,444戸 | AED55.38 billion | Aldar Properties/Bloom Holding/Modon Properties |
| アルアイン | 5 | 10,480戸 | AED36.95 billion | Aldar Properties/Bloom Holding/Lead Development Real Estate/IMKAN Properties |
| アルダフラ(アル・シラとマディナ・ザイード) | 2 | 320戸 | AED1.59 billion | Aldar Properties |
地域までは分かりますが、どの会社が何戸を担当するかは発表に書かれていません。ですから、この表から会社別の戸数ランキングを作ることはできません。作れるのは「アブダビ市・アルアイン・アルダフラの3地域すべてに名前が出ているのはAldarだけ」という、発表の読み取りまでです。
外国人の購入検討にとって、この案件が無関係かというとそうでもありません。同じ5年間に同じ建設市場で25,244戸の住宅が動くので、資材と施工の需給、そして周辺の道路や学校の整備に影響します。ただしそれは環境の話であって、買える物件の話ではありません。買える区域がどこかはアブダビのエリア比較にまとめています。
会社単位で並べようとすると、値がそろいません
ここからが、会社の順位を作れなかった理由です。会社を規模で並べるなら、同じ定義・同じ期間の数値が全社にそろっている必要があります。確認日時点の状態は次のとおりでした。
| 会社 | 上場の有無 | 2025年通期の公表 | 当サイトで転記できたか |
|---|---|---|---|
| Aldar Properties PJSC | ADX上場 | 公表あり | 転記していません(aldar.com と adx.ae が確認日時点でアクセスを拒否し、公表ページを開けませんでした) |
| Modon Holding PSC | ADX上場 | 公表あり | 転記できました(自社の公表ページを取得) |
| Bloom Holding | 非上場 | 通期の販売額・戸数の公表を確認できません | - |
| IMKAN Properties | 非上場 | 同上 | - |
| Lead Development Real Estate | 非上場 | 同上 | - |
| Miral | 政府系(非上場) | 住宅の販売額・戸数の公表を確認できません | - |
2025年の通期の数値を当サイトが転記できたのは、6社のうち1社だけです。母数が1社の並びは順位になりません。ここで「確認できた1社を1位」と書くと、値を公表していない会社や、公表していても当サイトが開けなかった会社が、順位の下にいるかのように読まれます。それは事実ではありません。
Aldarについて補足します。同社は上場企業なので決算を公表していますが、確認日に当サイトの取得経路から会社サイトと取引所のページを開いたところ、どちらもアクセスを拒否されました。拒否されている経路を回り道して取りに行くことはしませんし、他社メディアが引用した数字を公式の値として書き写すこともしません。だから、この記事にはAldarの決算の数値が1つも出てきません。数字が無いことと、会社が小さいことは別です。
図の左側は、この記事で確認できた政府発表のうち、開発主体として社名が出た件数を数えたものです。Aldarが4件、Modonが2件、Bloom Holding・IMKAN Properties・Lead Development Real Estateがそれぞれ1件でした。これは発表に名前が出た回数であって、供給した戸数でも売上でもありません。広報の出し方と、政府が関与する案件かどうかで簡単に変わります。順位のかわりに使えるものではなく、「公表の裏が取れる範囲ではAldarの案件がいちばん多く出てくる」という事実を数えただけのものとして読んでください。
Modonの数字は、アブダビだけの数字ではありません
唯一転記できたModonの公表値も、そのまま「アブダビでの実績」として読めません。2026年2月18日の発表によると、2025年通期のグループ売上はAED13.8 billion、純利益はAED3.9 billion、不動産販売額はAED36.3 billion、受注残高(revenue backlog)はAED46.0 billionです。不動産セグメントの売上はAED7.4 billionと書かれています。ただしこの販売額には、エジプトのラス・エル・ヘクマの初回販売分(2,109戸、AED5.8 billion)が含まれます。アブダビ域内だけの内訳は、この発表からは取り出せません。
同じ会社の別の発表も、定義が違います。2026年7月7日、Modonはフダイリヤット島のHudayriyat Golf Estatesについて、発売から数日でAED13 billionを超える販売額に達し、1,700戸が売れたと公表しました。購入者の15パーセントがUAE非居住者、81パーセントがModonにとって新規の顧客だとも書かれています。これは単一案件の立ち上がりの数字で、通期の実績とも、他社の総開発価値とも比べられません。島そのものの状況はフダイリヤット島の不動産にまとめています。
3つの数字(通期の販売額、単一案件の販売額、案件の総開発価値)は、どれもAEDで書かれています。単位が同じだと同じ列に入れたくなりますが、数えている対象が違います。順位表を作るときに最初にやることは、大きい順に並べることではなく、同じものを数えている値だけを残すことです。
市場全体の数字で割り算をしないでください
会社の規模を市場全体と比べたくなったときの注意です。アブダビ政府メディアオフィスは2026年2月20日、2025年の不動産取引が総額AED142 billion、件数42,814件に達したと公表しました。内訳は、売買がAED99.4 billionで25,604件、抵当がAED42.7 billionで17,210件です。海外直接投資はAED8.2 billion、新規に登録された開発プロジェクトは56件、不動産分野の免許は3,566件と書かれています。
ここで、たとえば「Marsa Al SaadiyatのAED100 billionは市場の大半を占める」といった計算をしないでください。片方は複数年にわたる1件の総開発価値で、もう片方は1年間に登録された取引の合計です。数える期間も、数える対象も違います。市場全体の数値が何を数えているのかはアブダビ不動産の市場規模で詳しく分解しています。
比較に使えるのは、同じ発表の中で並べられている値か、同じ定義で公表されている値だけです。異なる発表からAEDの数字を拾って比を作ると、それらしい割合が出てしまうぶん、間違いに気づきにくくなります。
「トップ10ディベロッパー」を当サイトが出さない理由
アブダビ不動産センター(ADREC)は市場レポートを公表しており、そこには会社別の数値も含まれていると案内されています。ただし確認日に当サイトの取得経路から adrec.gov.ae を開いたところ、ニュース欄も含めてアクセスを拒否されました。取得できなかったレポートの中身を、他の記事から引き写して載せることはしません。会社別の数値を確認したい場合は、ADRECのサイトを直接ご覧ください。当サイトは、取得できるようになった時点でこの記事に追記します。
順位を出している一覧を読むときは、次の3つを確かめてください。並べ替えの基準になった数値が1つ書かれているか、その数値の出典ページと確認日があるか、値が確認できなかった会社が「-」で表に残っているか。3つのうち1つでも欠けていれば、その順位は再現できません。点数・星・「おすすめ度」は、書いた人の判断であって公表値ではありません。
自分で別の指標の順位を作り直す手順
この記事の順位は、公表値のそろい方が変われば変わります。読者が自分で作り直せるように、手順を残します。
第1に、知りたいことを1つの指標に落とします。「規模が大きい会社」ではなく、「これから供給される住戸が多い会社」「去年いちばん売った会社」「引き渡しが遅れていない会社」のどれなのかを決めます。第2に、その指標を公表しているのが誰かを決めます。政府の発表なのか、会社自身の公表なのか、登録簿なのかで、値の意味も更新の頻度も変わります。第3に、期間と地域をそろえます。通期なのか半期なのか、アブダビ域内だけなのかグループ全体なのかを、必ず値の隣に書いておきます。第4に、値を確認できなかった会社を「-」で残し、母数を書きます。ここまでやると、順位が作れないときに「作れない」と分かります。
指標が決まったら、会社そのものの確認は別の手順になります。開発登録簿への登録、プロジェクトの登録とエスクロー口座、支払先の名義という3つの照会は、順位とは関係なく全社に同じようにかかります。手順はアブダビのディベロッパー比較にまとめています。順位を見るより先に、こちらを通してください。
この記事で確認できなかったこと
Aldarの2025年通期の公表値は転記できませんでした。会社サイトと取引所のページが確認日時点で自動取得を拒否していたためです。ADRECの市場レポートに含まれる会社別の数値も、同じ理由で転記していません。
会社別の引き渡し実績、遅延の件数、完成までの期間も確認できませんでした。買主にとっていちばん知りたい項目ですが、会社別の集計として公表しているページを見つけられていません。非上場のBloom Holding、IMKAN Properties、Lead Development Real Estateについては、通期の戸数も販売額も公表を確認できませんでした。
ADRECのDARIには登録済みディベロッパーのディレクトリがありますが、画面が読み込みのあとに描画される作りで、確認日時点で機械的に一覧を取得できていません。登録の有無そのものは、DARIの画面と相手から受け取る証明書で確認できます。
順位は、買ったあとの結果を約束しません
当社は、値上がり、賃料収入、利回りのいずれも保証しません。発表額の大きい会社を選んでも、工事の遅れ、周辺の供給、管理費、空室、売却時の買い手の有無は変わりません。規模は、会社が続く可能性や施工体制の厚みを推し量る材料の1つにはなりますが、個別の住戸の条件を保証するものではありません。
順位の高い会社の案件だからという理由で、登録とエスクローの確認を省かないでください。守られ方は会社ではなくプロジェクト単位で決まります。引き渡しのときに何が行われるかはアブダビ不動産の引き渡しで扱っています。
まとめ
アブダビのディベロッパーは、確認日時点で会社単位の順位にできませんでした。同じ定義の公表値が全社にそろわないためです。かわりに並べられたのは案件で、金額が公表されている4件を発表額の大きい順に示しました。1位のAED106 billionはUAE国民向けの住宅計画で、市場で買える在庫ではありません。
会社を見るときは、発表額の順位ではなく、指標を1つ決めてから公表元・期間・地域をそろえてください。値が無い会社は「-」で残し、母数を書けば、順位が作れないことも含めて読者自身で確かめられます。当サイトは、Aldarの公表値やADRECの会社別データを取得できるようになった時点で、この記事の順位を作り直します。