ドバイに住むための滞在ビザは、ドバイが独自に作っている制度ではありません。区分そのものはUAE連邦のもので、ドバイで申請するときの窓口だけが他の首長国と違います。UAE政府ポータルは、ビザの照会先を首長国ごとに分けており、ドバイだけが GDRFA ドバイ(General Directorate of Residency and Foreigners Affairs – Dubai)で、アブダビ、シャルジャ、アジュマン、ウンム・アル・カイワイン、ラアス・アル・ハイマ、フジャイラは連邦の ICP(Federal Authority for Identity, Citizenship, Customs and Port Security)です。読む資料がドバイだけ分かれるのは、この1点に尽きます。
年数の全体像は、一般規定のページに1行で書かれています。「スポンサーのある在留なら1年、2年、または3年、スポンサーのない在留なら5年または10年まで」。つまり年数の長短は、スポンサーが要るかどうかとほぼ同じことを指しています。先に年数の表だけを見ると、短い区分と長い区分が同じ土俵にあるように見えますが、実際には審査の仕組みが違う2つの系列が並んでいるだけです。
この記事では、UAE政府ポータル、ICP、GDRFAドバイの公表ページで確かめられる範囲だけを使い、区分ごとの年数、スポンサーの有無、金額の条件を並べます。確認日は2026年11月6日です。あわせて、年数より先に効いてくる「180日」の決まりも扱います。移住手続き全体の順番はドバイ移住の基礎、この分野の入口はドバイ移住にあります。
ドバイの窓口はGDRFAドバイで、他の首長国とは別です
最初にここを押さえておかないと、調べものの出発点を間違えます。UAE政府ポータルのビザ照会のページは、問い合わせ先を2つに分けています。ドバイで発給されたビザは GDRFA ドバイの照会画面で、UAE国内からの電話番号は 800 5111、国外からは +9714-313-9999 と書かれています。残りの6首長国は ICP の照会画面で、電話番号は 600522222 です。
この分かれ方は、申請の実務にそのまま出ます。ドバイの会社に雇われる人の在留は GDRFA ドバイが発給し、不動産を持っている人向けの発給も GDRFA ドバイのサービスとして公表されています。いっぽうでグリーンやゴールデン、ブルーといった長期の区分は、ICP が全国共通の案内を出しています。区分の条件は連邦の資料で読み、手続きと手数料はドバイの資料で読むという二段構えになります。
このページに書かれている共通の決まりは、区分を選ぶ前に知っておくと判断が速くなります。18歳以上の申請者は健康診断を受けて医学的に適合であることを示す必要があり、在留が出たら連邦の機関からEmirates IDを受け取ります。Emirates IDの有効期限は在留の期限と一緒に切れます。そして在留を取り消せるのはスポンサーだけで、本人が自分で手続きすることはできませんと明記されています。転職や帰国を考えるときに効いてくる一文です。
年数は「スポンサーが要るかどうか」で分かれます
区分の数は多く見えますが、並べ方を変えると見通しが良くなります。縦にスポンサーの有無、横に公表されている年数を取ると、どの区分がどの系列にいるのかが一目で分かります。
白い枠を空欄にせず残しているのは、公表されていないことと、公表されて「要らない」と書かれていることを混ぜないためです。退職者の在留とブルーの在留は、スポンサーが要るとも要らないとも書かれていませんでした。一般規定の「5年または10年はスポンサーのない在留」という文からそう推測できますが、推測はこの記事の表に入れません。
もう1つ、表の作りから分かることがあります。3年の列が埋まっていません。一般規定は1年、2年、3年という選択肢を挙げていますが、個別の区分のページで3年と書かれているものは、この記事で確認した範囲にありませんでした。区分ごとの案内と全体の規定が、同じ粒度では書かれていないということです。
就労で住む場合は、雇用主が申請する2年です
日本から移る人のいちばん多い入口がこれです。UAE政府ポータルの就労ビザのページは、申請するのは雇用主であり、ビザは2年有効で、発給機関が定める条件のもとで更新できると書いています。本人が自分で申し込む区分ではありません。
同じページは、働くための区分を3つに分けて並べています。技能のある人のためのグリーン、通常の就労ビザ、家事労働者のビザです。つまり雇われて働く人にも、スポンサーの要らない選択肢が用意されているという構えになっています。会社に勤めながら、要件を満たせばグリーンへ移ることを検討できる、という読み方です。
就労で入る場合の順番は、住まいや口座の手続きと絡み合います。Emirates IDが出るまで進まない手続きが多いため、在留が確定する前にできることと、確定してからしかできないことを分けておくと予定が立てやすくなります。口座開設に必要な書類はドバイ・UAEの銀行口座、健康保険の扱いはドバイの健康保険にまとめています。
スポンサーが要らない5年:グリーン・レジデンシー
グリーンは、UAE政府ポータルとICPの両方が同じ枠で説明しています。5年の更新できる在留で、スポンサーを必要とせず、配偶者と子を含む家族を呼び寄せられるという内容です。対象は技能のある労働者、フリーランスと自営業者、投資家と事業の共同者の3つです。
金額と資格の条件は、ICPの案内のほうが具体的です。技能のある労働者については、UAE国内の有効な雇用契約があること、人材省の職業分類で第1から第3の区分に当たること、学士以上の資格を持つこと、そして月給がAED 15,000以上であることが挙げられています。フリーランスと自営業者については、必要な許可を持っていること、学士または専門の学位に相当する資格があること、直近2年のフリーランスの年収がAED 360,000以上であることが条件です。投資家と事業の共同者は、UAE国内の事業への投資または出資を示す書類と、関係する当局からの免許が求められます。
この3つ目は、会社を作って住むという選択肢とつながります。どの形態で登記するかによって必要な免許が変わるため、ドバイでの会社設立の流れはドバイでの会社設立で扱っています。
ICPの案内が「猶予期間が長く取られている」ことをグリーンの利点として挙げている点も、覚えておく価値があります。ただし何か月なのかは、この案内には書かれていませんでした。一般規定の側には、在留が切れたり取り消されたりしたあとに国内にいられる猶予が最長6か月とあり、区分によって違うと書かれています。グリーンがその最長に当たるのかどうかは確認できていません。
5年と10年:ゴールデン・ビザとブルー・ビザ
ゴールデンは、UAE政府ポータルが5年または10年の更新できる在留と書いています。利点として並んでいるのは、スポンサーを必要としないこと、在留を保つために必要な通常の6か月より長く国外にいられること、配偶者と子を含む家族を呼び寄せられることです。対象として挙がっているのは、公共の投資または不動産への投資家、起業家、例外的な才能や希少な専門性を持つ人、優秀な学生、人道分野の先駆者と医療従事者です。
不動産を買って申請する経路については、金額の基準や抵当の扱い、オフプランの扱いをドバイのゴールデンビザと不動産で個別に扱っています。この記事では区分の位置づけだけを示します。
ブルーは、同じポータルが10年の在留としている区分です。対象は環境分野で貢献した人で、国際機関や国際企業の構成員、協会や非政府組織の構成員、世界的な賞の受賞者、環境の分野で際立った活動をしている人や研究者が挙げられています。申請はICPのオンライン窓口へ直接出すか、UAEの関係当局からの推薦を受ける形です。
ゴールデンとブルーは、どちらも「何をして生計を立てるか」ではなく「何を成したか」で判断される区分です。就労やグリーンのように条件を満たせば進めるものではないため、移住の計画の軸にはしにくい位置にあります。
不動産を持っているだけでは、長期の在留になりません
ここは誤解が多いところです。GDRFAドバイには「不動産を所有する外国人へのビザの発給」というサービスが別に用意されていますが、これは長期の在留とは別のものです。
公表されている条件は具体的です。物件を全額所有していることが求められ、銀行の融資を受けた物件は受け付けられると書かれています。土地の所有者については庭を含まないこととされ、物件が完全に建っていて、居住できる状態であることが条件です。収入についても、月収がAED 10,000以上であることが挙げられています。必要書類として挙がっているのは、不動産の登録を扱う当局が発行した所有の証明書です。
| 項目 | GDRFAドバイの公表値 |
|---|---|
| 発給される期間 | 入国した日から60日。その間に在留の発行の手続きを終える |
| 処理時間 | 48時間 |
| 手数料(ビザ) | AED 200 + 付加価値税5% |
| 手数料(知識の料金) | AED 10 |
| 手数料(革新の料金) | AED 10 |
| 被扶養者が国内にいる場合 | AED 500 |
表の1行目が肝心です。このサービスで出るのは入国から60日のもので、年単位の在留ではありません。同じページは、物件の価値が AED 2 million 以上であればゴールデンの在留の対象になると案内しています。長期の在留を不動産で得たいなら、見るべきはこちらです。
退職・国外勤務・学業の3つ
残りの区分を、状況から引ける形で並べます。自分がどこに当たるかを先に決めてから、年数と条件を読むほうが早いためです。
退職者の在留は5年です。条件として、退職の時点で55歳以上であること、UAE国内または国外で15年以上働いていたことが挙げられています。そのうえで、資産か収入のどちらかを示します。AED 1 million 以上の不動産を所有し、かつ AED 1 million 以上の貯蓄があること、または年収がAED 180,000以上であることです。ここにドバイだけの上乗せがあります。ドバイで申請する場合、固定の年収はAED 240,000以上でなければならないと書かれています。全国の基準より高い金額です。ドバイを選ぶ理由を収入で説明できるかどうかが、この区分の分かれ目になります。
国外勤務の在留は1年です。UAEの外にある会社で働きながらUAEに住む人のための区分で、自己スポンサーで入国し、ビザに付く条件に沿って働くとされています。必要なものとして、医療保険、健康診断、UAEの外で働いていることの証明、そして3,500米ドル以上またはそれに相当する外貨の給与証明が挙げられています。年数が1年しかないため、住まいの契約や学校の年度と期間がそろわないことがあります。
学生の在留は、スポンサーが2通りあります。UAEに住んでいる親がスポンサーになる形と、通っている認定された大学や学校がスポンサーになる形です。親が扶養する場合の年齢について、男の子は25歳まで、女の子は結婚するまで年齢を問わず学業のために扶養を続けられると書かれています。申請には、大学や学校が発行した在学の期間を示す証明書が要ります。大学に通う学生の家族も、適切な住まいを確保できる限りUAEに滞在できるとされています。学費の水準と学校の評価はドバイの学費と学校の評価で扱っています。
年数より先に効くのは「180日」です
区分を選ぶときに年数を見比べるのは自然ですが、実務でいちばん影響が大きいのは別の数字です。一般規定は、外国人の居住者が連続して180日を超えてUAEの外にいると、在留は自動的に無効になると書いています。
この決まりには例外が列挙されています。UAE国民の外国人の妻、海外の大学や教育機関で学んでいる学生、治療のため国外へ送られた人(承認された書類が必要です)、UAEを代表する外交・領事の使節に随行する家事労働者、研修や国外の事務所での勤務のために派遣された公的機関の職員、UAEの有効な在留を持つ投資家などです。最後に、ICPの決定で除外されたその他の人、という受け皿も置かれています。
そしてここが、年数の差が実際の意味を持つ場面です。ゴールデンのページは、利点として在留を有効に保つために通常必要な6か月より長く国外にいられることを挙げています。一般規定の側も、ゴールデンとグリーンの保持者は入国許可の手続きを申請する必要がなく、在留が有効なあいだはいつでも直接入国できると書いています。長い区分は、年数が長いだけでなく、国外にいられる期間の扱いそのものが違います。日本と行き来する前提で住むなら、この差は年数以上に重く働きます。
期限が切れたあとの扱いも押さえておきます。居住者には、在留が取り消されたか期限が切れたあとに国内にいられる猶予が最長6か月(区分によって違う)与えられると書かれています。猶予を過ぎて残った場合、訪問・観光・在留のいずれのビザでも超過滞在の料金は1日あたりAED 50に統一されています。また、6か月以上国外にいたあとに戻る人は、国外にいた30日ごと(またはそれ未満)にAED 100の入国許可の料金がかかるとされています。
家族を呼べるかは、区分によって違います
家族の在留は、それ単独で成り立つ資格ではありません。一般規定は、被扶養者の在留の期限は扶養者の期限を超えないと書いています。年数を決めているのは家族ではなく、扶養している人の区分です。
区分による差もはっきりしています。ゴールデンとグリーンのページは、どちらも配偶者と子を含む家族を呼び寄せられることを利点として挙げています。就労の区分について同じ記述があるかどうかは、この記事で確認したページには見当たりませんでした。収入や住まいの条件を含む家族の在留の具体的な要件は、ICPの案内が全国共通で出しているものをアブダビの家族ビザで詳しく扱っています。ドバイで申請する場合の金額が同じかどうかは、GDRFAドバイの該当サービスで確かめてください。
確認できなかったこと
この記事で埋められなかった項目を、そのまま残します。推測で補うより、空欄の位置が分かるほうが確かめやすいためです。
| 項目 | 状態 | 理由 |
|---|---|---|
| 学生の在留の年数 | 未確認 | 確認した公表ページに年数の記載がありません |
| 3年の在留が付く区分 | 未確認 | 一般規定は3年を挙げていますが、該当する区分のページを特定できませんでした |
| 退職・ブルーのスポンサーの有無 | 未確認 | 条件の一覧にスポンサーの扱いが書かれていません |
| グリーンの猶予期間の長さ | 未確認 | ICPは猶予が長いと書くだけで、月数を示していません |
| ドバイの家族ビザの収入の条件 | 未確認 | GDRFAドバイの該当サービスを今回は確認していません |
| 各区分の申請手数料 | 未確認 | 不動産所有者向け以外は、手数料の表を確認できていません |
いちばん影響が大きいのは最後の2行です。家族を連れて移る人は、収入の条件と手数料が分からないと予算が組めません。ここは確認できた時点で追記します。
読み終えたあとに決めること
区分の数は多いものの、選ぶ道筋はそれほど複雑ではありません。まずスポンサーが要るか要らないかで系列を決め、次にその系列の中で自分の状況に当たる区分を1つ選びます。系列が決まれば、読む資料も自然に決まります。スポンサーのある系列は手続きの主体が雇用主や大学なので、ドバイのGDRFAの案内を見ます。スポンサーのない系列は条件が全国共通なので、ICPの案内を見ます。
数字で先に確かめておくとよいのは3つです。月給がAED 15,000に届くかどうか(グリーンの技能枠)、フリーランスの直近2年の年収がAED 360,000に届くかどうか(グリーンの自営枠)、そして退職で移るならドバイの年収AED 240,000という上乗せです。どれも公表されている金額なので、自分の数字と突き合わせられます。
最後に、年数だけで選ばないでください。日本との行き来が多い人にとっては、国外に連続していられる期間のほうが生活への影響が大きく、そこはゴールデンとグリーンだけが別扱いになっています。税の扱いをどう考えるかはドバイ移住と税金、日本側の転出の手続きはドバイ移住の転出届で扱っています。