アブダビの物件一覧でヴィラの側へ切り替えると、間取りの数字の横に区画の広さが並びます。アパートメントを見ていたときには無かった欄です。戸建てなのだから土地が付いてくる、そして広さで比べられる。そう読むのが自然に見えます。
先に結論を書きます。アブダビでヴィラを買うと、アパートメントを買う場合と比べて3つのことが変わります。1つ目は、権利証を取り出すメニューが住戸用と土地用に分かれていること。2つ目は、建物を使ってよいことを示す書面の名宛人に、管理会社ではなく所有者が入ること。3つ目は、公表されている価格と賃料の数字が、ヴィラとアパートメントで別々に出ていることです。
そしてもう1つ、先に断っておかなければならないことがあります。区画の広さで絞り込める公表データを、当サイトは持っていません。ADRECが公開しているダッシュボードの取得経路に、区画の面積という区分が無いためです。広さの話は、公表データではなく物件資料と図面で確かめることになります。この記事の最後に、何で絞り込めて何で絞り込めないかを並べました。
以下は、アブダビ不動産センター(ADREC)とその電子基盤であるDARI、UAE政府ポータル、アブダビ自治体交通局(DMT)の公表ページで確かめられた範囲だけです。外国人が取得できる権利の4区分はアブダビ不動産の所有権は4種類に、住戸という単位の扱いはアブダビのアパートメントに書いているので、ここでは繰り返しません。見るのは、ヴィラを選んだときに増えるものだけです。
権利証のメニューが、住戸と土地で分かれています
DARIの証明書のメニューには、住戸の権利証と土地の権利証が、別々の項目として置かれています。英語の表記はそれぞれ Title Deed (Unit) と Title Deed (Land) です。同じ「権利証」という言葉でも、たどる項目が違います。
土地の権利証を取り出す手順は、案内に段として並んでいます。統一番号(UID)、UAE PASS、またはエミレーツID(EID)でDARIにログインし、Services からCertificates を開き、Title Deed Land を選びます。対象の物件を選んでNext を押すと、申請が送信され、承認のためDMTへ送られたという表示が出ます。
案内には、途中の分岐が1つ書かれています。2017年以降に所有者または物件の情報に変更があった場合、申請は自動的にDMTの承認へ回るというものです。中古のヴィラを買う場合、前の所有者から自分へ名義が移った時点でこれに当たります。つまり、新しく買った人がこの経路を通らないことは、実務上ほとんど考えにくいことになります。
書かれていないことも、同じくらいはっきりしています。手数料の額、承認にかかる日数、権利証に載る項目の一覧は、この案内ページにありません。そして、あるヴィラがどちらのメニューで登録されているのかを、買う前に公表ページだけで判定する方法も示されていません。画面で対象の物件を選ぶ形なので、所有者になれば操作して分かりますが、検討している段階では分かりません。
この点を推測で埋めないでください。区画が独立して登記されているヴィラと、一団の開発の中にある住戸として登記されているヴィラが、同じ言葉で売られている可能性があります。資料に「ヴィラ」と書いてあることは、土地の権利証が出ることを意味しません。契約の前に、売主または仲介に対して、その物件について発行される権利証がどちらなのかを尋ねてください。
外国人が取得できる範囲は、ページによって書き方が違います
ヴィラは地面の上に建ちます。ところがADRECが規制のページに載せている条文の訳は、UAE国籍でもGCC諸国の国籍でもない自然人・法人の登記について、投資区域内にある、地上階以外の不動産・住戸・階に限るという書き方になっています。この文言をそのまま当てはめると、地上に建つ住宅がどう扱われるのかが読み取れません。
一方、UAE政府ポータルは2019年の改正に触れ、投資区域内にある不動産について、UAE国籍でない自然人・法人がすべての原始的な権利と物的権利を所有し取得する権利を持つとしています。こちらは階についての限定を含みません。同じポータルの別の箇所には、所有できるのは階と住戸であって土地ではない、という記述も残っています。
3つの記述の適用関係は、どのページからも読み取れませんでした。読み取れない以上、当サイトの側でどれかに寄せた説明は書きません。ヴィラを検討する場合は、対象の物件についてどの権利が登記されるのかを、契約の前にADRECか登記の窓口で確かめてください。この確認は、アパートメントを買うときよりもヴィラを買うときのほうが重い意味を持ちます。
投資区域そのものは、UAE政府ポータルが9つ挙げています。
| 投資区域(ポータルの表記) | 当サイトの個別ページ |
|---|---|
| Yas Island | ヤス島 |
| Saadiyat | サディヤット島 |
| Reem | アル・リーム島 |
| Mariya | 個別ページはまだありません |
| Lulu | 個別ページはまだありません |
| Al Raha Beach | 個別ページはまだありません |
| Sayh Al Sedairah | 個別ページはまだありません |
| Al Reef | 個別ページはまだありません |
| Masdar City | 個別ページはまだありません |
ポータルはこの9つを列挙しているだけで、どの区域にヴィラの供給があるかは書いていません。区域の一覧は、ヴィラを探せる場所の一覧ではありません。区域ごとの性格の違いはアブダビのエリア比較で扱っています。
建物を使ってよいことを示す書面は、所有者に届きます
アパートメントを買った場合、建物についての手続きは管理会社が担うことが多くなります。ヴィラでは、その建物が自分の物件そのものです。ここで効いてくるのが占有証明書です。
DMTが2026年8月5日付で出した発表は、この書面を建物が使用にあたって安全であり、適用されるすべての基準に適合していることを証明する、自治体の公式な書面と定義しています。そして、物件の種類に応じて最長5年の有効期間が与えられ、期間が切れたあとは更新されるまで使用が禁じられる、と書かれています。
発表の宛先は、首長国内の不動産の所有者と不動産の運営事業者です。2026年9月16日までに申請または更新を自治体の電子許可システムから行うよう求め、正式な手続きを開始していた場合には、さらに6か月、またはUPPCが承認するその他の期間が与えられるとしています。期限までに行動しなかった場合については、該当する自治体が最大 AED 1 million の行政罰金を科し、確認されたすべての違反の是正を求めると書かれています。
買う側にとって重いのは、罰金よりも次の一文です。発表は、有効な占有証明書が無い住戸について、ADRECがTawtheeqを通じた新規の賃貸借契約の登録を止めるとしています。貸して収入を得る入口が、建物の側の書面に紐づいていることになります。制度の経緯そのものはアブダビの占有証明書の期限にまとめました。
ここで、当サイトが断定できない点を書いておきます。この発表はヴィラを名指ししていません。宛先が所有者と運営事業者であること、そして物件の種類に応じて有効期間が変わると書かれていることから、戸建てが対象外だと読む理由は見当たりません。ただしTawtheeqについての一文は住戸(units)という語で書かれており、ヴィラがそこに含まれると明記されているわけではありません。含まれる前提で確認しておくほうが安全ですが、公表資料が明記していないことは明記していないと書きます。
ヴィラを検討するときに、公表資料で裏が取れることと取れないことを並べておきます。
| 確かめること | 根拠になる公表資料 | 公表資料に書かれていないこと |
|---|---|---|
| 権利証が住戸用か土地用か | DARIの証明書メニューが2つに分かれていること | ヴィラでどちらが出るか、手数料、日数 |
| 有効な占有証明書があるか | DMTの2026年8月5日付の発表(最長5年・更新まで使用禁止) | ヴィラを名指しした記載、国外の買主が照会する方法 |
| 買ってすぐ貸せるか | 同じ発表(有効な証明書が無い住戸はTawtheeqの新規登録を止める) | ヴィラが住戸に含まれるかどうかの明示 |
| 外国人が取得できる権利 | ADRECの規制ページとUAE政府ポータル(2019年の改正を含む) | 3つの記述の適用関係 |
| 区画の広さ | 該当する公表データを確認できませんでした | ADRECの取得経路に区画の面積という区分がない |
この表で右の列が埋まっているのは、調べ足りなかったからではありません。公表ページに記載が無いものを、当サイトの側で補って書かないための列です。右の列に何かが書いてあるということは、契約の前に人へ尋ねる項目がそれだけあるという意味になります。
公表されている数字は、ヴィラとアパートメントで別々に出ています
ADRECが2026年8月18日付で出した2026年上半期の市場レポートについての発表は、価格と賃料の変化を種別ごとに書き分けています。ヴィラの数字だけを取り出せる、数少ない公表値です。
読み方で注意が要るのは2つです。1つ目は、再販価格と新規賃貸価格が別の指標であることです。発表の表記は repeat sales prices と new-lease prices で、どちらも平均価格そのものの変化率としては書かれていません。同じ物件が繰り返し売られたときの価格の動きと、新しく結ばれた賃貸借契約の賃料の動きを、それぞれ見ていることになります。
2つ目は、首長国全体と投資区域内で数字が分かれていることです。新規賃貸価格のヴィラは、首長国全体で9パーセント、投資区域内で16パーセントとされています。外国人が取得できるのは投資区域なので、全体の数字だけを見ると低く見積もることになります。ただし、この差が生まれた理由を発表は説明していません。物件の質なのか、借り手の属性なのか、対象になった区域の構成なのかは、当サイトからは示せません。
アパートメントとの関係も、3組すべてで同じ向きです。完成物件の再販価格はアパートメント20パーセントに対してヴィラ12パーセント、新規賃貸価格は首長国全体で17パーセントに対して9パーセント、投資区域内で21パーセントに対して16パーセントです。どの指標でも、ヴィラのほうが変化率が小さく出ています。これは値動きの大小についての事実であって、どちらが有利かを示すものではありません。当社は値上がり、賃料収入、利回りのいずれも保証しません。数字そのものの読み方はアブダビ不動産の価格データとアブダビの家賃データで扱っています。
区画の広さで絞り込める公表データはありません
この子カテゴリの見出しは「エリアと区画の広さの区分」です。前半はできて、後半はできません。
当サイトがADRECの公開ダッシュボードから取得している経路には、自治体、地区、コミュニティ、プロジェクト名、物件種別、間取りという区分があります。物件種別には apartment、villa、duplex といった値が入り、間取りは studio から 6+ beds までの寝室の数です。区画の面積という区分は、この経路にありません。
結果として、ヴィラを公表データで見るときの手順はこうなります。エリアまでは公表データで絞り、広さは物件資料と図面で確かめます。寝室の数は公表データの側にあるので、広さの代わりに使うことはできますが、同じ3ベッドルームでも区画の広さが何倍も違うことは珍しくありません。代替であって同じものではない、という前提を外さないでください。
エリアの側については、地区ごとの数字を当サイトのエリアページに置いています。2026年上半期の売買額でいちばん大きかった地区や、伸び率の高かった地区の内訳はアブダビ不動産の2026年上半期レポートにまとめました。ただし、これらの数字はヴィラに限った集計ではありません。地区の合計であり、アパートメントを含みます。ヴィラだけを取り出した地区別の集計は、公表資料の範囲では作れませんでした。
この記事で確認できなかったこと
第一に、ヴィラについて発行される権利証がどちらのメニューになるかです。DARIの案内は住戸と土地でメニューを分けていますが、戸建てがどちらに入るかを事前に判定する説明はありません。
第二に、外国人がヴィラを取得する場合に適用される条文です。ADRECの規制ページの文言、UAE政府ポータルの2019年の改正についての記述、土地は含まないという記述の3つが、どの範囲でそれぞれ適用されるのかを読み取れませんでした。
第三に、占有証明書がヴィラを含むかどうかの明示です。宛先は所有者と運営事業者ですが、Tawtheeqについての一文は住戸という語で書かれています。
第四に、区画の広さについての公表データです。ADRECの公開ダッシュボードの取得経路に、区画の面積という区分を確認できませんでした。
第五に、ヴィラだけを取り出した地区別の集計です。発表とダッシュボードのどちらにも、地区とヴィラを掛け合わせた公表値を確認できませんでした。
まとめ
アブダビでヴィラを買うときは、アパートメントとの違いを3つに分けて見てください。権利証のメニューが住戸用と土地用に分かれていること、建物の使用についての書面の名宛人に所有者が入ること、そして公表されている価格と賃料の数字が種別ごとに分かれていることです。
権利証については、土地の権利証がDARIの別メニューとして用意されています。2017年以降に所有者または物件の情報が変わっていれば、申請は自動的にDMTの承認へ回ります。手数料と日数は案内ページに書かれていないので、契約の前に尋ねる項目になります。
占有証明書は、物件の種類に応じて最長5年の有効期間を持ち、期間が切れたあとは更新まで使用が禁じられます。有効なものが無い住戸については、ADRECがTawtheeqでの新規の賃貸借契約の登録を止めると公表されています。ヴィラでは、この確認に動く相手が管理会社ではなく自分になります。
数字は、2026年上半期の発表で、完成物件の再販価格がヴィラ12パーセント、新規賃貸価格が首長国全体で9パーセント、投資区域内で16パーセントとされています。外国人が買えるのは投資区域なので、全体の数字だけを見ないでください。そして区画の広さについては、公表データで絞り込む手段がありません。エリアまでを公表データで詰め、広さは資料と図面で確かめる、という分担になります。