JVC(ジュメイラ・ビレッジ・サークル)/エリア

JVCの不動産データ|価格の低さは住戸の小ささで決まります

JVC(ジュメイラ・ビレッジ・サークル)の不動産データを、ドバイ土地局の登記記録の集計から整理します。売買の件数は市内で2番目に多い一方、総額の中央値が低いのは住戸が小さいためです。賃貸の記録が同じ区画名に無いため、利回りは出していません。

JVC(ジュメイラ・ビレッジ・サークル。ドバイ土地局のデータでの区画名は JUMEIRAH VILLAGE CIRCLE)は、ドバイの中では手の届く価格帯として名前が挙がる区画です。ドバイ土地局(Dubai Land Department、以下DLD)が公開している登記の記録を集計すると、この区画の売買は、記録のある区画のうち2番目に多い件数でした。価格の中央値はドバイ全体より低く出ます。ただし、低いのは総額で、面積あたりの単価の下がり方はそれより小さいです。

つまり、この区画の数字は「安い」というより「小さい」です。登記されている住戸の面積の中央値はドバイ全体より小さく、間取りは1ベッドルームとストゥディオで8割を占めます。中央値は小さい順に並べたときの真ん中の値なので、この区画の中央値は、ほぼ1ベッドルームの価格帯を見ている数字になります。家族向けの広い住戸を探している人が、この中央値を予算の目安にすると外れます。

もう1つあります。この区画には当サイトの表面利回りが出ていません。利回りの分子に使っている新規の賃貸契約の記録に、この区画名のものが1件もないためです。売買では2番目に多い件数が記録されているのに、賃貸の側では同じ名前が立っていません。数字が出ていないことと、賃貸の需要が無いことは別の話です。

この記事で示すのは、JVCの数字を他の資料と比べる前に確かめる点です。どの区画名で引いたか、売買と賃貸のどちらのデータセットか、代表値は中央値か平均か、母数はいくつか。水準そのものの数字は本文へ書き写さず、集計の期間と定義を添えて図に置いています。本文に写すと、データを更新したときに本文だけが古いまま残るためです。この区画の指標をほかの数字まで含めて並べたものはJVCのデータにあります。物件を紹介する記事ではありません。当社は値上がり、賃料収入、利回りのいずれも保証しません。

件数は市内で2番目。先に数え方をそろえます

件数の話から始めます。当サイトが「取引」と呼んでいるのは、DLDの記録のうち取引の種類がSalesの行だけです。抵当権の登録(Mortgage)と贈与(Gifts)は数えません。混ぜると件数が3割ほど増えますし、贈与は価格が市場の水準を表さないためです。件数は行数、つまり登記された物件の数で数えています。1つの取引番号が複数行に分かれることがあるので、「取引の件数」ではなく「登記された物件の件数」として読んでください。

この数え方で、JVCの売買は記録のある区画のうち2番目に多い件数でした。1番は空港周辺のマディナット・アル・マタール(Madinat Al Mataar)です。件数が多いこと自体は、良いことでも悪いことでもありません。ただ、中央値のぶれが小さくなるという利点があります。数件しか登記のない区画では、1件の値動きで中央値が跳ねます。

JVCの売買登記の件数を月ごとの棒グラフで示し、オフプランの割合を折れ線で重ねた図。件数は2月が最も多く5月が最も少なく、オフプランの割合は3月から7月にかけて下がっている
棒がその月に登記された売買の件数、折れ線が同じ月のオフプランの割合です。目盛りは左が件数、右が割合で、割合の数値は棒の下の行にも並べました。 出典:Dubai Land Department|Real Estate Dataの登記記録をReheatが集計(期間 2026-01-01〜2026-08-25/確認日 2026-10-09)

図の月ごとの並びを見ると、件数は年の前半に多く、5月に落ちています。8月は25日までの記録なので、月の長さの分だけ少なく出ます。月の形を比べるときは、最後の月をほかの月と同じ長さとして扱わないでください。折れ線のオフプランの割合は、3月から4月にかけて7割弱まで上がり、7月には4割台まで下がっています。

この下がり方には、読み方の順番があります。割合が下がったのは、完成前の住戸の登記が減ったか、完成済みの住戸の登記が増えたか、あるいはその両方です。どちらなのかは、割合だけでは決まりません。動いているのは市場の判断ではなく、その月に何が登記されたかという構成のほうかもしれません。オフプランと完成済みで手続きと書類がどう変わるかはオフプラン物件と中古・完成物件に分けてあり、同じ選び分けをビジネス・ベイで扱ったものがビジネス・ベイのオフプランと完成済みにあります。

総額は3割ほど低く、単価は1割強低い

JVCとドバイ全体を価格の中央値、面積の中央値、面積あたりの単価の中央値、オフプランの割合の4指標で並べた横棒の対比図。総額の差が最も大きく、単価の差は小さい
4つの指標ごとに、上の濃い棒がJVC、下の灰色の棒がドバイ全体です。棒の長さは指標ごとに大きいほうを基準にそろえているため、指標をまたいだ長さの比較はできません。母数と平均値は図の下に併記しました。 出典:Dubai Land Department|Real Estate Dataの登記記録をReheatが集計(期間 2026-01-01〜2026-08-25/確認日 2026-10-09)

図の4つの指標を上から読みます。価格の中央値はドバイ全体より3割ほど低く、面積の中央値は1割ほど小さく、面積あたりの単価は1割強低い水準です。総額の差がいちばん大きく、単価の差はその半分ほどです。差の残りは、登記されている住戸が小さいことで説明が付きます。

ここで平均と中央値を分けておきます。この区画の価格の平均は、中央値より2割以上高く出ます。高額の登記が少数混じると平均はそちらへ引かれるので、当サイトは見出しに中央値を使っています。逆向きの記録もあります。この区画の売買には、価格が1,000AEDを下回る行や、面積あたりの単価が2桁になる行が残っています。市場の価格として読める取引ではありませんが、登記の記録なので除かず、中央値で中心を見る形にしています。

単価のほうを基準にすると、比べ方が変わります。総額は住戸の広さで動くので、広さの違う区画どうしを総額で比べると、価格の水準ではなく部屋の大きさを比べていることになります。区画をまたいで水準を比べるなら、面積あたりの単価のほうです。区画別の単価は平米・sqft単価、全区画の並びはエリア別のデータにあります。価格という言葉で集まった数字の見分け方はドバイの不動産価格を比べるに分けました。

中央値を決めているのは、間取りの構成です

JVCの登記を間取り別に並べた横棒グラフ。1ベッドルームが半数を占め、ストゥディオを合わせると8割になり、3ベッドルーム以上とオフィスは少数にとどまる。右側に間取りごとの価格の中央値を併記している
棒の長さが間取りごとの登記件数、右の列がその間取りの価格の中央値です。間取りの記載がない行と、件数の多い上位8区分の外にあたる行は、棒に入れていません。件数は図の下に書いた全件に対する割合とあわせて読んでください。 出典:Dubai Land Department|Real Estate Dataの登記記録をReheatが集計(期間 2026-01-01〜2026-08-25/確認日 2026-10-09)

図の間取り別の件数を見ると、1ベッドルームが半数を占め、ストゥディオを合わせると8割になります。3ベッドルーム以上は合わせても数パーセントで、オフィスの登記も少数あります。この区画の中央値は、1ベッドルームの価格帯に引かれた数字です。

間取りごとの価格の中央値も図に入れました。ストゥディオと1ベッドルームでは中央値がはっきり違い、2ベッドルームになるとさらに上がります。探している間取りが決まっているなら、区画の中央値ではなくその間取りの行を見てください。区画の中央値は、候補の区画を絞るための入口の数字です。

注意点が2つあります。1つは、間取りの記載がない行が残っていることです。DLDのデータに間取りが入っていない行と、空欄の行を合わせて3桁あり、図の棒には入れていません。もう1つは、オフィスの登記が混じっていることです。住宅だけの数字を見たい場合は、物件の細目で絞る必要があります。「JVCの価格」という1つの数字の中に、住宅以外の登記も入っています。

表面利回りを出していない理由

当サイトの表面利回りは、分子に新規の賃貸契約の年間賃料、分母に売買の価格を置き、どちらも面積あたりに直して割っています。賃貸と売買は別のデータセットで、同じ住戸を追ったものではありません。そのうえで、賃貸と売買のどちらも30件以上ある「区画×物件種別」の組だけに数字を出しています。片側が数件の組で割ると、1件で利回りが跳ねるためです。

割り算の側 当サイトが使う記録 外しているもの
分子(年間賃料) 住宅の新規契約で、1つの契約に1物件のものだけ 更新の契約、労働者宿舎、複数物件の一括契約
分母(価格) 取引の種類がSalesの行 抵当権の登録、贈与
そろえる条件 同じ区画・同じ物件種別・同じ期間 間取りでの突き合わせ(賃貸側の間取りは空の行が多いため)
出す条件 賃貸・売買のどちらも30件以上 片側が30件に届かない組

この条件に、JVCは入っていません。分母の側は十分な件数がありますが、分子の側、つまり住宅で1契約1物件の新規契約の記録に、この区画名のものが1件もありません。0件なので、割り算そのものが成立しません。ほかの資料でこの区画の利回りを見かけた場合、その数字は当サイトとは別の出所か、別の名前で引いた記録から作られています。

賃料の水準そのものを知りたい場合は、DLDがRental Indexという照会のサービスを公開しています。契約の満了日、物件の種別、地域、部屋数、現在の年間賃料を入力すると、賃料の平均と増額についての結果が出る形です。窓口はEjari、Dubai RESTアプリ、DLDのウェブサイト、DubaiNowアプリで、居住資格を問わず使えると書かれています(確認日 2026-10-09)。個別の住戸の賃料は、区画の代表値では決まりません。利回りの考え方は利回り・家賃収入、分子と分母の取り違えが起きる仕組みはドバイ・マリーナの不動産利回り、表面利回りの並び全体は利回りデータにあります。

名前が、データセットと法令でそろっていません

ここまでで2つ出てきました。売買のデータでは JUMEIRAH VILLAGE CIRCLE という名前で引けること、賃貸のデータでは同じ名前の記録が無いことです。3つ目があります。外国人が不動産を所有できる区域を定めた2006年の規則(Regulation No. 3 of 2006)の一覧に、Jumeirah Village という名前が載っていません。

この規則は、区域の名前と区画の番号を組にして指定する形です。名前の近いものとしては Al Barsha South 2 と Al Barsha South 3 があり、どちらも特定の区画番号まで指定されています。本文(第3条)では、外国人は指定された区画について、期間の制限のない所有権、用益権、または99年までの賃借権を取得できるとされています。指定の単位は通称ではなく、区域の名前と区画の番号です。

ドバイ政府の法令ポータルに掲載された、外国人が不動産を所有できる区域を定める規則の画面。区域の名前と区画番号が組で並んでいる
引用キャプチャ外国人が不動産を所有できる区域を定めた規則の原文ページです。一覧は「区域の名前+Plot No.」の組で、たとえば「Al Barsha South 2 Plot No. (002)」「Al Barsha South 3 Plot No. (002)」と書かれています。「Jumeirah Village」という項目はありません。 出典:Dubai Legislation Portal|Regulation No. (3) of 2006(キャプチャ取得日 2026-09-28/表示のファーストビュー。一覧の項目と第3条の文は 2026-10-09 に同じページで再確認しました)

ここから言えるのは、所有できるかどうかを通称では確かめられないということです。読者が確かめられるのは、所有権証明書(Title Deed)に載る区域の名前と区画の番号です。当サイトの集計では、この区画の売買はすべてフリーホールドとして記録されていますが、それは登記の記録がそうなっているという事実で、特定の物件の権利を保証するものではありません。なお、この一覧は規則の本文です。その後の追加や改正を、このページだけでは確認できません。所有権の種類そのものはドバイ不動産の基礎にまとめています。

数字が合わないときに先に見る4点

先に見る点 当サイトの扱い ずれていたときに起きること
引いた区画名 JUMEIRAH VILLAGE CIRCLE(売買データでの表記) 名前の近い別の区画の記録を読むことになります
データセット 売買はTransactions、賃貸はRents 別の母集団の数字を同じ表に並べることになります
代表値 中央値(平均も持っていますが、見出しには使いません) 平均は高額の登記に引かれ、中心から離れます
期間と母数 期間は 2026-01-01〜2026-08-25。件数は図に併記 母数の少ない数字が、全体の姿として読まれます

表の4点のうち、この区画で特に効くのは1番目です。同じ地区を指しているつもりでも、引いた名前が違えば別の記録になります。似た名前を当てはめて引き直さないでください。DLDには名前の近い区画が別々に立っていることがあり、当てはめた側の記録を読むことになります。

残りの3点も、水準の違いではなく定義の違いで差が出るところです。売買と賃貸はデータセットが別、代表値は中央値か平均かで動き、母数が少ないと期間を変えるだけで数字が変わります。相手の数字がどの期間のものかを先に確かめてください。賃料の側を区画と間取りの区分で見たい場合は家賃データにあります。

自分で引くときの入口

手順はこうです。DLDのオープンデータのページでTransactions(売買)を選び、期間を指定し、エリアに JUMEIRAH VILLAGE CIRCLE を入れ、取引の種類をSalesにします。賃貸を見るならRents(賃貸)を同じ期間で指定します。ページにはデータセットが並び、期間、エリア、フリーホールドの有無、登録の区分(Ready/Off Plan)、用途、物件の種別で絞る欄があり、結果はCSVとして保存できます(確認日 2026-10-09)。

注意点が1つあります。照会のフォームにはCAPTCHAが付いています。人がいることを確かめるための仕組みなので、当サイトは機械で越えません。期間を指定すればまとめて取得できるため、回数自体は多くありません。オフプランと完成済みの区分で全体を見たものはオフプランのデータにあります。

まだ埋まっていない項目

  • 賃貸がどの名前で記録されているか。この区画名では0件で、別の名前に入っているかどうかを確認できていません
  • 間取りごとの面積と、面積あたりの単価。当サイトはまだ間取り別に単価を出していません
  • 住宅だけに絞った価格。オフィスの登記を外した数字を別に出していません
  • 建物ごとのサービスチャージの水準。照会はプロジェクト単位の仕組みで、区画の代表値は公表されていません
  • この区画でこれから完成する住戸の数。プロジェクトのデータセットをまだ集計に使っていません
  • 完成済みの中での、中古と新築の在庫の区別。登記の区分はオフプランと完成済みの2つだけです

いずれも空欄のまま残しています。埋めるには、取得したデータに別の集計を足すか、プロジェクト単位・建物単位で照会する必要があります。推測で埋めた数字をこの記事には書きません。

この数字で決められること、決められないこと

決められるのは、候補の絞り込みの入口です。この区画は、面積あたりの単価がドバイ全体より低く、登記されている住戸が小さく、1ベッドルームとストゥディオが中心です。総額を抑えたい人の候補には入りますが、広い住戸を探している人にとって、区画の中央値は目安になりません。完成済みの登記の割合がドバイ全体より高いことも、すでに建っている住戸を買う前提の人には材料になります。

決められないのは、個別の住戸の利回りと賃料です。この区画には当サイトの利回りが出ておらず、賃料の代表値も持っていません。買う候補が決まったら、その住戸の賃料と価格、その建物のサービスチャージ、引き渡しの時期で組み直すことになります。区画の数字は候補を絞るためのもので、買う判断を代わりにはできません。保有中に出ていく費用は購入費用・諸費用に分けてあります。

最後に、更新について書きます。この集計は2026年8月25日までの記録です。DLDの公表は後から修正されることがあり、直近の期間ほど変わる可能性があります。次の月のぶんを足したときに図の数字が動いていれば、変わったのは市場ではなく記録の構成のほうかもしれません。そこを区別するために、当サイトは件数を数字と一緒に出しています。続けて追う場合はJVCのデータを見てください。